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『99.9』コメディとシリアスの往復が生む独特の味わい 松本潤と風間俊介の共演も

リアルサウンド

20/6/8(月) 6:00

 『99.9-刑事専門弁護士- SEASON I特別編』(TBS系)第2夜は、2016年の放送当時、最終話と並ぶ最高視聴率19.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した第2話を放送。正当防衛の真相を求めて深山大翔(松本潤)たちが奔走する。

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 第1夜ではDVD-BOXにも収録されていた松本、香川照之、榮倉奈々のオーディオコメンタリーも副音声で放送され好評を博した。第2夜でも冒頭でリモート中継による3人のコメントが挿入されたが、「骨格が出来上がっていく」(松本)、「第2話が一番僕は好き」(香川)ということで、キャストにとって印象深いエピソードだったようだ。

 日本の刑事司法では「疑わしきは罰せず」という原則があるため、有罪の根拠を崩せば被告人は無罪となる。それにもかかわらず99.9%という驚異的な有罪率を誇っているのには理由があり、物量や人員で圧倒的に有利な検察が慎重に起訴を行っているという背景がある。有罪を覆すためには、根気よく個々のケースに取り組むことが必須条件となる。

 第2夜で深山たちの元に持ち込まれたのは殺人事件の弁護。山下一貴(風間俊介)は居酒屋で居合わせた木内光(岡山天音)と言い争いになり、店外でナイフを持ち出した木内を逆に刺し殺してしまう。殺意を認定するには一般に凶器の使用方法や回数が問題とされるが、正当防衛を主張する山下の供述が事実と食い違っていることに深山は疑問を持つ。

 聞き込みを続ける中で木内の前科と共犯者の存在、木内の祖父で「朝霧インターナショナル」会長の朝霧慶一郎(国広富之)による隠ぺい工作が次第に明らかになる。事件は最終的に婚約者を殺された山下による正当防衛を装った復讐であることが判明するのだが、関係者それぞれの思惑が新たに発見された事実と組み合わさることで、何重にも入り組んだ構図となっていた。

 深山が事件の構図に気付くきっかけとなったのが、静岡の方言「だもんで」。お得意のギャグと思わせておいて、ちゃっかりと物語の核心部に踏み込むトリッキーな種明かしは、『99.9』ならではの秀逸な展開だった。深山と佐田(香川照之)の流血も最初はギャグだが、最後はストーリー上で回収(顧問先の恫喝に対抗する手段)するなど、コメディとシリアスのダブルミーニングが至るところに張り巡らされている。そんな調子だから「いただきマングース」など深山のダジャレもつい深読みしてしまう。これらの“あざとい”演出は一歩間違えれば滑りっぱなしの結果に終わるところ、脱線したと見せかけて一気に物語の本筋に迫る手さばきが『99.9』独特の「味」にもなっている。

 刑事専門ルームの一翼を担う立花彩乃(榮倉奈々)も要所要所で腕っぷしときっぷの良さを発揮。メインキャラクターに普通の人が出てこない『99.9』の中でも、特に腹の読めないキャラクターが深山たちの上司で班目法律事務所所長の班目春彦(岸部一徳)だ。第2夜では班目という人物の底知れなさも描かれていた。真実を追求する姿勢を見せつつ、顧問先を変えようと虎視眈々と気を窺う班目には深山父子との因縁もあり、ドラマの進展とともに過去が明かされていくことになる。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。

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