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ヒストポリス - 絶滅と再生 -

20/8/5(水)

やくしまるえつこ「私は人類」

「ヒストポリス」とは「ネクロポリス(死者の都市)に対抗する概念で「生命を宿す都市」の意味。金沢21世紀美術館の高橋洋一氏をゲストキュレイターに迎え、やくしまるえつこ、ジャリラ・エッサイディ、Synflux、BCl/ゲオアグ・トレメル。ガイ・ベン=アリ、須賀悠介の6作家による展示。まず展覧会のタイトルにガツンとやられた。新型コロナウィルス感染拡大を予告するようなタイトル。しかもこの時期に開催とは......。展覧会準備にはかなりの時間が必要であるため、コロナ禍に合わせて急遽キュレーションされた展覧会ではない。だからこそ、作品を通して提起される問題点と向き合う時間に、次第次第に背筋が寒くなる。 自然と人間とテクノロジーの関係が問われる事態となったこのパンデミック下、人類の地球支配と科学との関係を改めて考えざるを得ない。人類が長年希求してきた「不死」の可能性を切り開くiPS細胞の開発、人の身体を存続させるパーツを形成するために改変されていく動物たち......。私たちはどこまで自然の権限を超えた革新に突き進むのか、という問題提起が次々と展開する。 個人の身体は消滅しても「家族」という形で血の遺伝子が受け継がれ、「血の遺伝子」ではなくとも「文化的遺伝子」の継承が人類の文化を継続してきていることを思うと、人類が消滅した後であっても、微生物を通して人類が創出した「音楽」の記憶を伝えられるのではないかという、やくしまるえつこの「私は人類」や、低速の銃弾の貫通を防ぐ「防弾皮膚」を開発したジャリラ・エッサイディ、最強の放射線耐性を持つ「デイノコッカス・ラディオデュランス」という微生物の展示を見ながら、現在の科学はどこまで現在の形態としての物質的「人類」を存続させられるのだろうか?と思わざるを得ない。 人類の「記憶」が継承されるならば、継承者は人類でなくても良いのかもしれない(手塚治虫の『鳥人大系』が脳裏をよぎる......)。

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