Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

横浜流星と藤井道人を結ぶ固い絆「2人の関係に名前をつけるなら“兄弟”」

ぴあ

藤井道人、横浜流星 撮影 / 奥田耕平

続きを読む

撮影中も、ずっと雑談が続く。まるで無二の親友に会ったような顔で、2人は楽しく笑い合っている。そのリラックスした表情だけで、この2人の間には揺るぎない絆があるのだということがわかる。

第43回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を含む主要3部門を獲得した映画『新聞記者』。今や最も売れている監督と呼んでも過言ではない藤井道人の作品が、Netflixでリブートする。

“新聞業界の異端児”と呼ばれる記者に、米倉涼子。組織の論理に翻弄される若手官僚に、綾野剛。そして映画版では登場しなかった新聞配達をしながら大学に通う就活生・木下亮を横浜流星が演じる。

計4度目となる横浜流星×藤井道人のタッグはいったいどんなドラマを見せてくれるだろうか。

黒澤明監督に三船敏郎さんがいたように、僕には横浜流星がいる





──今回、新たにつくられた木下亮という役に横浜流星さんを起用された理由はなんだったのでしょうか。

藤井 Netflixとやるのは『野武士のグルメ』、『100万円の女たち』に続いて3本目。Netflixで配信されることによって海外からどれだけ豊かな反応があるかは僕なりに理解しているつもりです。その上で、米さん(米倉涼子)、(綾野)剛さんと共に、世界という土俵に連れて行きたいと思ったのが、流星でした。

横浜 ありがとうございます。

藤井 流星とは『全員、片想い』という映画の打ち上げで初めて顔を合わせて、そのときはまだお互い売れていない者同士で。そこから『青の帰り道』、amazarashiさんの『未来になれなかったあの夜に』のMV、そしてコロナ禍で撮影した『DIVOC-12』と、一緒にやってきた歴史が僕たちにはある。今まで流星がやってきた役とはまた違う役だけど、それがどんなふうに海外から評価されるかという期待がありました。

横浜 僕にとっては藤井さんからのオファーは特別なもの。藤井組に参加するたびに、なんか帰ってきたという感覚になります。

──藤井監督はなぜ横浜さんと何度もタッグを組みたいと思うのでしょうか。

藤井 僕はインディーズからずっと同じチームでやってるんですね。俳優部も、チームの部署のひとつ。だから、毎回題材が違っても、自分の大好きな俳優さんにこの役を演じてもらったらどうなるんだろうと考えるのは結構普通のことだと思っているんですよ。

黒澤明監督に三船敏郎さんがいたように、黒沢清監督に役所広司さんがいるように、僕の中で20代の男性の俳優さんが必要になったとき、真っ先にタッグを組みたいなと思うのが、流星。だからあんまり特別な意識はなく、今回も悩まずに流星に決めました。

横浜 もう幸せですのひと言です。僕も藤井監督からオファーがあったら、やると決めています。



藤井さんの現場は、自然に役として生きられる





──ぜひ藤井監督から見て、横浜さんという役者のどんなところが優れているかを聞きたいです。

藤井 誤解を恐れずに言うと、優れていないから好きなんです。世の中的には、横浜流星というとキラキラしたイメージだったり顔がカッコいいというのがあるかもしれないですけど。僕はあんまりそうは思っていなくて。

これだけ世の中から求められても、いつ自分が芝居ができなくなるかを考えて、怖くて天井をずっと見ているような陰鬱としたところが自分と似ている。そんな素朴さだったり人間らしさが好きなんです。

その上で俳優としての魅力を挙げるなら、やっぱり目ですね。饒舌というのともまた違う、すごく感情が宿る目をしている。撮っているときも、彼の目に委ねているところはあります。

横浜 僕は、藤井さんの現場に行くと、自然と役としていられる。その環境をつくってくださることに感謝しています。

──どういうことでしょうか。

横浜 藤井さんの現場に帰ってくると、必ず1回目は芝居が硬いって言われるんですよ。藤井さんの作品って、架空のキャラクターではあるんだけど、どこか僕たちのいる世界線でその人たちも生きているような、すごくリアルな人間の描き方をする。それを演じるには、ちょっと他の現場とは違うアプローチが必要で。なかなか最初はその感覚を思い出せないんですけど、徐々に藤井さんが僕にそのやり方を取り戻させてくれる。今回も、気づいたら自然と亮としてその場で生きることができました。

藤井 補足すると、連ドラってスケジュール上、すさまじい速度で撮っていくことになるので、それをこなすには途中でどうしても自分で正解を決めていかなきゃいけないことになるんですよ。それって俳優にとっては、とても孤独なことで。

だからいつも流星とやるときは、「大丈夫、総合芸術だから。1人でかぶらなくていいんだよ」と声かけするところから始めます。うちの組の撮影部は素晴らしいし照明部も素晴らしいし、いい録音部がいるから、どんな音で喋っても必ず拾ってくれる。スタッフを信じられない環境では、俳優部がつい無理をしてしまう。でもそうじゃないんだと。全部自分で背負わなくても、うちは大丈夫だからねと安心してもらうことは、いつも大事にしています。

横浜 亮に関して言えば、序盤はとにかくどこにでもいる就活生でいようと考えていました。まったく政治に関心のない、普通の大学生。だから、変に色やキャラクターをつけず。僕も政治にそこまで詳しくないので、亮と共に学ぶつもりで、その場で感じたことにそのまま反応することを意識してやっていました。



藤井さんからのオッケーは、安心できる





──個人的には、4話の横川繭(小野花梨)にある真実を告げるシーンの横浜流星さんの芝居にうなってしまいました。

藤井 確かに良かったですよ。

横浜 あそこのシーンは、繭に悪気はないのはわかるけど、でも亮は亮でもういっぱいっぱいで。そんな中で、ああいう言葉を浴びせられかけたら、もう言うしかなかったのかなと。そのあと、うわーって叫びながらバイクを走らせるんだけど、そこも含めてあんまり自分がどんなことを考えながらやっていたのかとか覚えていなくて。亮として感じたままにやったら、ああなったというのがいちばん近いかもしれないです。

──監督としても、モニターで見ていて絶対にこの表情は撮り逃せないというお芝居がいっぱいあったのではないかなと思います。

藤井 現場には僕専用の再生機があって、「モニターおばけ」とあだ名がつけられるぐらい、モニターにかじりついています(笑)。

俳優の芝居を見るときに大事にしているのは、自分が主観的になりすぎないこと。現場の勢いに任せてOKを出しても、意外と編集の段階になって、すごく泣ける芝居だけど前後と感情がつながっていないよねということがあったりするんですよ。だから、どんなにいい芝居が撮れたと思っても、なるべくもう1回撮る。大切なものを見落とさないように、まばたきひとつ見逃さないぞという意識で見ていますね。



横浜 だから、藤井さんからのオッケーは信頼できるんです。どれだけ監督がオッケーと言っても、本当にこれで大丈夫なんだろうかという不安が残るんです。だけど、藤井さんは絶対に僕らの芝居を見逃さないから。藤井さんからオッケーをもらえると安心します。

──11月に行われた「Netflix Festival Japan 2021」で、藤井監督は横浜さんの演じる亮について「彼のベストアクトだと言っても過言ではない」とおっしゃっていましたね。

藤井 毎回、僕は今やっている作品が最高傑作だと思っているので、それに出ている俳優たちの演技も必然的にベストアクトだと信じているんです。だから次にやるときは、またそれが流星のベストアクト。来年更新しちゃうかもしれませんし、毎回更新していかなきゃいけないものだと思っています。

横浜 うれしいです。自分も藤井さんとやるときは現状維持じゃなく超えていきたいなと思っているので。だから毎回ワクワクしているし、その分ハードルはどんどん高くなってきますけど、そこは絶対超えていきたいなという気持ちでいます。

30代40代になっても、このままの2人でいられたら





──新聞記者の役割について、劇中で「社会的に弱い立場の人の声を伝えていくこと」というような言葉がありました。お2人はエンターテイメントとつくる人間の役割はなんですかと聞かれたら、どうお答えになりますか。

藤井 辞めないことですね。コロナ以降のこの2年近い期間の中で、改めて僕たちの役割がはっきりしたなという感覚があるんですよ。家にいる時間が増えて、孤独を感じる人も増えた。そんな人の暗い部分にそっと寄り添ってあげられるエンターテイメントをつくって提供する。辛いときだからこそ、そういうものをちゃんと届けられる1人でいたいと考えるようになりました。

というか、僕にはそれしかできない。だから、続ける。決して辞めないということが自分の役割かなと思っています。

横浜 僕も同じです。もともとこの仕事をすると決めたときから、一生をかけてやっていくぞという覚悟はありましたけど、それが改めて強くなったというか。死ぬまで作品をつくり続けて届けたいなという想いがあります。

──かれこれ5年の付き合いになるそうですが、お2人の歴史の中でお互い変わったことと変わっていないことを教えてください。

藤井 流星はほとんど変わってないですよ。本当、2人で会うと、マジで地味ですから(笑)。そういうところは全然変わらないですね。

横浜 そうですね。だから居心地が良いし、ずっと一緒にいれるんだと思います。

藤井 その中で強いて変わったことを挙げるとすると、単純に自販機に飲み物を買いに行ったら、そこに流星の広告があるみたいな(笑)。何の気なしにテレビを観ていると、流星が風邪薬のCMをやっているとか(笑)。インディーズから一緒にやってきた人が、いろんな方たちの助けと応援があって、こうして活躍していること。横浜流星という俳優をたくさんの方が好きになってくれていることは、はたから見ていて嬉しいですよね。

横浜 僕も最近周りの役者から藤井さんの名前を聞くことがすごく増えたんですよ。みんな、藤井さんの作品に出たい出たいって言っていて。そりゃそうだよなと思うし、そんな藤井さんとこうして何度もご一緒させてもらえていることは本当に幸せなことなんだなって改めて感じます。

──きっとこの先も作品づくりを続けていくと思いますが、これからもどんな関係であれたらと思いますか。

藤井 このままがいいよね。30代40代になって、お互いどんなふうに環境が変わっていくかわからないですけど、ずっとこの感じでいられたら。

横浜 変わりたくないですよね。僕が変わることはないと思っているんですけど、もしダメな方に変わったらすぐ藤井さんは言ってくれると信じています。

──では、2人の関係性に名前をつけるとしたら。

藤井 戦友であり、友達であり、といろいろ考えられるけど、そういうのを全部抜きにして言うなら“兄弟”。

横浜 だと思います。それくらい固い絆で結ばれているし、藤井さんといるときは同世代といるときよりちょっとだけ僕もヤンチャなところが出ます(笑)。

藤井 そうかもね(笑)。で、ここに綾野剛という兄貴分がいて。3兄弟という感じです。









ぴあアプリ限定!

アプリで応募プレゼント

横浜流星さんのサイン入りポラを1名様に!

【応募方法】

1. 「ぴあアプリ」をダウンロードする。

こちらからもダウンロードできます

2. 「ぴあアプリ」をインストールしたら早速応募!

撮影 / 奥田耕平、取材・文 / 横川良明



アプリで読む