大久保佳代子 (オアシズ)の 人生そろばん
「食べられるうちが華」か「太らないうちが華」か
毎週連載
第113回
21/3/7(日)
前回「太らないよう気をつけている」という話をしましたけど、葛藤もあるんです。
親友いとうあさこさんは、食に関しては妥協を許さない人で、「もう50歳でしょう。あと何回食事が出来るかを考えたら、1食も後悔したくないし妥協したくないの。一食一食を大事にしていきたい。食べられるうちが華だし」という持論を持っていて。言っていることは非常に分かります。肉を食べている時など、「いつまで食べられるかな?」と思う時ありますから。今年の正月も「油断して餅が食べられるのは、あと何年かな?」とか。噛み千切れる丈夫な歯があって、スムーズに通す喉があって、消化できる丈夫な胃があってこそ肉も餅も食べられるわけです。確かに健康寿命が何歳までかを考えたら、美味しく食事が出来るのは、あと何回だろうと考えてしまいます。健康寿命を75歳としたら、25(年)×365(日)×3(回)=27375回。計算したらまずまずありました。
でも今の私は、やはり太りたくない。食べたいモノを我慢するストレスより太っていることのストレスのほうが大きく、それなりの体型をキープすることで自分への自信になるし、自信があると仕事でもプライベートでも前向きに行動ができるから。あさこさんは、おそらく逆で、多少太ろうが食べたいモノを我慢するというストレスのほうが耐えられないのだと思います。どちらが正解なんてことはなく、その時の状況によって変わっていくんでしょうね。
ただ、いくら「太らないようにしている」と言っても年齢による劣化は避けられないわけで。年とともに熟成した身体の肉は、間違いなく柔らかく張りがなくなってきています。結果「乳首の位置が下がってくる」「お尻が下に細長くなってくる」という厳しい現実が。あとケガをしたら、なかなか傷が治らないから、常に身体のどこかに傷跡や痣があるという汚さも辛いです。いくら野菜中心の食事をしてエクササイズをしても、老いには敵わなくなる時がやってきます。
そんな時がきたら、思い切ってシフトチェンジし、食べたいモノを思う存分食べようと思います。
朝から、バターたっぷりのクロワッサンとか食べたいな。夜だって、ワインにこってりしたクリーム系パスタを食べたい。いやでも、その時にはもう消化機能が衰えていて食べられなくなっているのかも。やはり、早めにシフトチェンジするべきか…。早急な決断をしたほうが良いかもですね。
明らかに太りはじめたら、「大久保さん、チェンジしたんだな」と思ってください。
構成・文:松田義人(deco)
プロフィール
大久保佳代子おおくぼ・かよこ
1971年、愛知県生まれ。相方・光浦靖子とともに、1992年にオアシズを結成。OLと並行してお笑い芸人として活動をし、2010年以降はお笑い一本に。数多くのレギュラー、連載を持つ。
http://www.p-jinriki.com/talent/oasiz/
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