Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

吉岡聖恵、阿部真央、鈴木このみ……節目の時期を迎えた女性アーティストの新作

リアルサウンド

18/10/23(火) 8:00

 ソロボーカリストとして本格的な活動をスタートさせた吉岡聖惠、メジャーデビュー10周年を目前にした阿部真央など、様々な節目の時期を迎えた女性アーティストの新作をピックアップ。既存のイメージを刷新しながら活動を続ける彼女たちの新たな表現を堪能してほしい。

(関連:“ちょいダサ”の魅力でトップへ いきものがかり・吉岡聖恵のピュアネスに感嘆

 現在“放牧中”のいきものがかりのボーカリスト・吉岡聖恵による初のカバーアルバム『うたいろ』。大瀧詠一のトリビュート盤に収録された「夢で逢えたら」(大瀧詠一)、CMソングとして制作された「糸」(中島みゆき)のカバーを含む本作には、「少年」(ゆず)、「初恋」(村下孝蔵)、「さらば恋人」(堺正章)など、歌謡曲、J-POPのスタンダード、つまり、吉岡自身のルーツミュージックを色濃く反映した楽曲が収録されている。いきものがかりにも関わりが深いプロデューサー島田昌典、本間昭光が手がけたオーセンティックなアレンジも、彼女の表情豊かなボーカルを的確にバックアップ。何よりも“歌うことが楽しい”“歌うことが好き”という気持ちが強く伝わってくることが、本作の魅力だろう。

 2019年のメジャーデビュー10周年に向けた“Road to 10th Anniversary”を継続中の阿部真央。今年3月に8thアルバム『YOU』をリリースし、ライブハウスツアーを開催。11月からスタートする全国ホールツアー『阿部真央 らいぶNo.8 ~ Road to 10th Anniversary ~』に先がけて届けられたニューシングル『変わりたい唄』には現在の彼女のモードが強く刻まれている。中心にあるのは〈変わりたい もっと自分を生きたい〉というフレーズだろう。デビュー以来、アーティストとしてのアイデンティティを模索し、音楽的な変化を繰り返してきた彼女。プライベートでも結婚、出産、離婚を経験した彼女はいま、本当の意味で“自分自身”を掴み取ろうとしているのだと思う。いまや盟友とも言えるakkinのアレンジによるロックサウンドも、強い意志を掲げて楽曲のテーマによく似合っている。

 E-girls卒業から1年以上が経ち、ソロシンガーとしての個性も徐々に確立してきたDream Amiから7thシングルが到着。自ら作詞を手がけたニューシングルの表題曲「Wonderland」は、映画『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』の主題歌として制作されたポップナンバー。きらびやかなシンセサウンド、心地よく飛び跳ねるトラック、ブライトな光を感じさせるメロディととともに描かれるのは、〈全てをプラスに変えていこう 自分らしい Wonderland〉というポジティブなフレーズ。“予想外の環境に置かれた主人公が自分の居場所を見つける”という映画のストーリーに寄り添うと同時に、彼女自身のキャラクターにも映える楽曲に仕上がっている。どこまでも開放的なボーカルもチャーミング。

 6月にリリースされたシングル『流星 / 約束』で活動再開。8月16日の日本武道館ワンマンライブで完全復活を強く印象付けた藍井エイル。大人気アニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』(TOKYO MXほか)のエンディングテーマとして注目を集めているニューシングルの表題曲「アイリス」は、彼女のシンガーとしての高いポテンシャルを改めて証明する楽曲だ。ラテンの香りを感じさせるメロディに豊かな感情を与えるとともに、ロック的なダイナミズムを加えながら、〈支えてくれたその腕に/甘えてみてもいいかな〉という切実なフレーズへと結びつけるボーカル力は、まさに絶品。LiSAと並び、現在のシーンのなかで、もっとも強烈なカタルシスを生み出せるシンガーであることは間違いないだろう。

 一瞬のブレスの後、最初に聴こえてくるのは〈世界の果ての色が 何色かわかったよ〉というフレーズ。心地よいスピード感に溢れたサウンド、希望に向かって走るような爽快なメロディライン、そして、未来に対するポジティブな思いを込めた歌詞がひとつになったこの曲は、彼女自身のイメージにぴったりと寄り添っている。TVアニメ『LOST SONG』(TOKYO MXほか)の主人公・リン役で本格的な声優デビューを飾るなど、活動の幅を広げている鈴木このみのニューシングル『蒼の彼方』(TVアニメ『ソラとウミのアイダ』(TOKYO MXほか)エンディングテーマ)は、凛とした意志とキュートな佇まいが真っ直ぐに伝わってくるアップチューン。15才でデビューしてから約6年。彼女はいま、シンガーとしての個性をしっかりと手にしつつあるようだ。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む