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絶好調『アナ雪2』&完結『スター・ウォーズ』 それでも「2020年の正月映画」は危機的状況?

リアルサウンド

19/12/19(木) 16:00

 先週末の映画動員ランキングは、『アナと雪の女王2』が土日2日間で動員60万7000人、興収7億8000万円をあげて4週連続1位に。累計では、早くも動員568万人、興収73億円を突破している。トップ10の半分を占めた初登場作品の中で最上位の2位につけたのは、『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』の続編『ジュマンジ/ネクスト・レベル』。土日2日間の動員は13万人、興収は1億8700万円。同シリーズは『スパイダーマン』現行シリーズと並んで、ソニー・ピクチャーズを窮地から救ったと言われている成長著しい新興フランチャイズ作品。同じ週末に公開されたアメリカでは2位の『アナと雪の女王2』にトリプルスコア近い差をつけて大ヒットしていることをふまえると、海外と日本での人気の差は大きいと言わざるを得ない。

参考:『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』のココに期待! 公開後もコンテンツは盛りだくさん

 初登場3位の『屍人荘の殺人』、初登場4位の、数年前までは年末に『スター・ウォーズ』とデッドヒートを繰り広げていた『妖怪ウォッチ』シリーズの最新作『映画 妖怪学園Y 猫はHEROになれるか』、先週の2位から5位にランクダウンして今後再浮上する気配もない『ルパン三世 THE FIRST』、初登場8位となった東映渾身の正月映画『カツベン!』と、今年の大手配給会社の正月映画はいずれもかなり厳しい出足となっている。先週末、全国300スクリーン以上で公開された『映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!』はぎりぎり10位、全国200スクリーン以上で公開された『ぼくらの7日間戦争』にいたってはトップ10圏外と、さらに目も当てられないような状況だ。

 今週末に『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の公開が控えている片渕須直監督は、こうした状況も受けてのことだろう、公開前日である12月19日に「この冬は映画館への出足がかなり鈍くなっているようです。うちの映画よその映画関係なく。どの映画でもいいから、みなさん、映画館にお運びいただけると、ありがたいです。スターウォーズも、寅さんも、すずさんも待ってます」(一部抜粋)とツイートしていた。先日、2019年(前年12月から今年11月まで)の邦画と洋画を合わせた興収総額が2016年の2355億円を上回って過去最高となる見通しであることが発表されたばかりだが、「2020年の正月映画」はそこからいきなり危機的な状況に陥っているのだ。

 おそらく2020年の正月興行は、11月から大ヒットが続いている『アナと雪の女王2』と今週末公開の『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の両ディズニー作品が2強となって、全体としてはそれなりの数字に落ち着くことだろう。しかし、そのディズニーも盤石ではない。いち早く『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』を観たが、作品の評価はひとまず別の機会に譲るとして、熱心なシリーズのファンによるスタートダッシュは間違いないとしても、今回はこれまでのトリロジーで『ジェダイの帰還』(1983年)、『シスの復讐』(2005年)にあったような3作目ブーストが効くとは思えない。また、公開直前の世間の盛り上がりに関しても、これまでとの温度の違いを肌で感じている。おそらく前作『最後のジェダイ』へのファンの失望がその理由として筆頭に挙げられるのだろうが、『スター・ウォーズ』に代わってマーベル・シネマティック・ユニバース作品(これも『スパイダーマン』以外はディズニーだが)がエンターテインメント映画の王座に君臨するようになった時代の変化による影響、そしてスピンオフ作品の乱発(特に、もはやなかったことのようにされている『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の失敗)による『スター・ウォーズ』ブランド低下の影響も、少なくないのではないか。(宇野維正)

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