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【インタビュー】誰かのためになるようなバンドになりたい! 下北沢発爆裂エナジーポップバンド・シャンプーズとは?

ぴあ

シャンプーズ Photo:吉田圭子

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爆裂な勢いでエネルギーをほとばしらせるギターサウンド、心のうちを叫び、言霊を現実にさせるようなパワーで歌うボーカルで、青春の美しく脆く、またシニカルで鬱屈した感情を鮮やかに描く下北沢発ギターロック・バンド、シャンプーズ。今年6月にデジタル・シングル「光る街」をリリースした4人が、早くもニュー・シングル「メイ」をリリースした。疾走感のあるポップでパワフルなシャンプーズ印の曲とはまた違い、この「メイ」はミディアムテンポでじっくりと出会いと別れのストーリーを描いていく曲で、切ない記憶の琴線に触れ、その空気や温度、匂いをリアルに感じさせる1曲になっている。グッと引力の強い曲は新たなリスナーを掴んでいきそうだ。
今回はバンドの成り立ちを紐解きながら、シャンプーズとは、そして「メイ」についての話を聞いた。

――シャンプーズはどんなふうにはじまっているんですか。

モミー:結成は2017年の2月で、本格始動が11月くらいからでしたね。僕が新しいバンドを組みたいとスタートしたんですけど、このバンドはちゃんとしようと。人目に多く触れるようにとか、自己満足じゃなく関わってくれた人たちに幸せを分け与えられて、誰かのためになるようなバンドになりたいなと思って。それには強いメンバーとやらないといけないと思ったんです。それでまず樹里さんに声をかけて。ほかもサポートでもいいからーーいいメンバーはどこかに所属しているから、どこかから引き抜かないといけないなと。

モミー(Vo)

マリオ:(笑)。

モミー:どこかに所属している・いないに関わらず、自分がいいと思った人と一緒にやりたいと思って。

――まず声をかけたギターの樹里さんとは、もともと知り合いだったんですか。

モミー:一度しか会ったことがなかったんですけど、そこでの印象が強かったんです。樹里さんも、いいボーカルだなって思っていたらしくて。恥ずかしながら相思相愛的な感じでスタートしたという感じです(笑)。

――ではマリオさんはどういう経緯で?

マリオ(Dr)

マリオ:僕はモミーさんが弾き語りで出ていたライブ・イベントに、別のバンドのサポートで出演していたんです。そのとき、弾き語りなのにアコギの弦を2本切って、その場で弦を変えてっていう面白いことをしていて。ライブ後に“よかったですよ”って声をかけたんです。そこでいろんな話をして、モミーさんがこれからバンドをはじめるという話があったので、じゃあサポートからでもどうですかって話をしたか、されたのかは忘れちゃったんですけど……。

モミー:こいつを引き抜くぞっていうので、僕から“うちでもサポートやってよ”って言ったんです。

マリオ:だそうです(笑)。それでサポートを経て、「下北沢にて」というサーキット・イベント出演のオーディションに受かったときに、このバンドよさそうだなと思って僕が参加したという感じでした。

モミー:狙いどおりでしたね。

――ざしきわらしさんはどうですか。

ざしきわらし:私は別のバンドをやっていたんですけど、そのバンドが解散してしまったときに、サポートでやってくれないかと声をかけてもらったんです。最初は断っていたんですけど、何度か誘ってもらって。そんなに言ってくれるならとサポートからはじめて。

ざしきわらし(Ba)

マリオ:簡単に言うと、ゴリ押したらいけたんだよね。

モリー:もともとざしきは初代ベースの高校と大学の同級生で、初代の時点から存在は知っていて、いいベーシストだなと思っていて。そこから月日が流れて、前のベースが抜けたタイミングで、女性の歌えるベーシストというのでパッと思いついたのがざしきわらしで。それで連絡をしたら、“私は別にやりたいことがあるから、やらない”って言われたんです。そこからしばらく経っても、やっぱりざしきわらししかおらんなと電話で1時間くらい喋ったら、“じゃあ、サポートくらいからだったら”と言ったので、そこからズルズルと引き摺り込んだ感じです。これも狙いどおりで(笑)。

――モミーさんのバンド像としては、歌える女性のメンバーがシャンプーズとして必要だったんですね。

モミー:僕はシンメトリーが好きなんです。僕が真ん中にいて、こちらにちょっとジェンダーレスな感じのメンバー(樹里)がいて、反対側に女性のメンバーを入れたいなという感じで。最初にバンドを組む時点でそういうプランだったんですよね。女性を入れたらバランスもいいし目を引く気がするし、あとは僕自身ステージ上で自分ひとりで戦っているという状況があまり精神的によくないので。いろんなところに目がいって、4人で戦っている形がこれかなと思って。最終的に点を決めるのはボーカルだったりするんだと思うんですけど、単純に面白いじゃないですか。何者なのかな?っていうギターがいて、男のボーカルがいて、歌える女性のベースがいて、ドラムがいてっていう、いっぱいいて面白いじゃないですか。

樹里(Gt)

――たしかに目を引きますね。

モミー:僕は戦隊モノだって言ってるけど、樹里さんがよく言うのはアベンジャーズで。みんなが多方面で活躍できるバンドになれたらすごくいいんじゃないかなという理想のもとですね。単純に、いろんなことできますからね。ざしきの声が合わない曲だったらドラムに歌ってもらえばいい。彼も器用だからできるし。いろんな武器がある状態で勝負したほうが面白いなって考えているかもしれないーーああ、なんか真面目だね、つまんねえな。

ざしきわらし:いや、いいんだよ(笑)。

マリオ:面白さ求めてないから。

ステージ上に持ち込むのは得意なことだけでいい

――(笑)。シャンプーズとして、どんな音楽をやるかっていうのも頭にあったんですか。

モミー:僕はそんなに音楽の好きな幅が広いほうじゃなくて。まして自分がやるとなったら、結構絞られちゃうので。僕が好きなものは、銀杏BOYZだったりブルーハーツだったり、俗にいう青春パンクを軸に好きなものが広がっていて。そういうのに女性の声が入っているバンドってそんなに多くないし、見た目としてもがっつり激しい音に振ってるバンドで女性がふたり居るように見えるバンドって、あまりいないかなと思って。

――みなさんそれぞれの音楽ルーツや好きなものは近いんですか。

マリオ:バラバラですね。

樹里:僕はジャンルは偏りなく、好きなものが好きという感じで。最近はファンクやフュージョンが好きですね。

ざしきわらし:私は小さい頃からずっとJ-POPを聴いて育ってきたんですけど、洋楽も聴きますし、昔の歌謡曲とかも好きですし、結構幅は広い方かなって思ってます。

ざしきわらし(Ba)

マリオ:僕はUVERworldが大好きで、それを聴いて育ってきて。バンドをやるにあたっていろんなジャンルを聴いていった感じです。

モミー:でも彼のプレイスタイルを見たら、一発でUVERworldですね。

マリオ:そうでもないと思うよ。

モミー:音数の多いフレーズだったり、スピードも速いのも叩けるし、手数が多いドラムを叩くので。

――先ほどの話ではないですが、そういう個々の持ち味はシャンプーズの曲でどんどん活かそうという発想?

モミー:基本的に人って得意なことだけやっていればいいと思ってるんです。バンドはとくに得意なところだけやって、お客さんにいいところだけ見てもらって楽しんでもらえばいい……という言い方だとちょっと誤解を招くかもしれないですけど。でも、ステージ上に持ち込むのは得意なことだけでいいと僕は思っているので。マリオが得意なことはこれだよね、樹里さん得意なことはこれだよねって、極力構成するというか。

――まさにアベンジャーズ感ですかね。7月30日にデジタル・シングル「メイ」がリリースとなりましたが、この「メイ」はこれまでの疾走感たっぷりの青春パンク、パワフルなギターポップという曲とはまた一味ちがう、じっくりと感情を描いていくような叙情的な曲になりましたね。この曲の制作背景はどのような感じだったんですか。

マリオ:この曲自体がそもそも3回くらい編曲をしているんです。

モミー:めっちゃ王道として作ってるつもりなんですけどね、俺は。

マリオ:今までのシャンプーズにない曲になっていると思います。

マリオ(Dr)

――リズムも溜めに溜めていたり、ボーカルも生々しく感情がほとばしるもので、ライブで聴いているような臨場感が出ていますね。聴き手に刻みつけていくような曲であり、余韻がある曲です。

モミー:よかったです。2019年の5月に、Shimokitazawa SOUND CRUSINGというフェスに初出演をしたんです。そのときに友だちが連れていた女の子がめちゃくちゃかわいくて、一目ぼれして。この子と付き合いたいという、その衝動で作ったのが最初だったんです。

――歌詞にも、今言ったようなシーンが切り抜かれていますね。

モミー:Bメロの途中くらいまでそれなんですよ。で、それで1曲作ってすっげえだせえポップスができたんです。そこからその子と付き合えることになって、最初のすごくいいところから、段々と雲行きが怪しくなって、振られるという、その3段階で編曲をしてるんですよ(笑)。だっせえポップスから、ちょっと毒が入っていい感じになって、最後こういう仕上がりになってという。振られることでよくなった曲なんじゃないかなって思いますね。

――本当に実体験なんですね。

モミー:僕は実体験がメインで、ゼロから話を盛って作ることはできないので。基本的には自分の経験とか過去をああだこうだと掘り返して、それに多少の脚色を入れて作るのが基本なので。この曲だけじゃなく、全部そうですね。

――そのせっかくの出会いで、いちばん盛り上がるようなテンションの段階で作ったものが、ダサいものになったというのがなんとも……。

マリオ:悪い言い方をすれば、本人は浮かれてたんでしょうね。

モミー:弾き語りの段階では、これはいい曲なんじゃないかなあって思ってバンドに持っていって、やってみたらすげえダサくて。

マリオ:なんか違ったんだよね。

モミー:一旦ダメだわって言って。

マリオ:それでしばらく放っておいた感じでした。そこからまた、モミーさんが編曲してきて。

――その時点で、何かあったんでしょうね。

マリオ:あったんでしょうね(笑)。で、元々のものよりよくなって。何日後には、雲行きがあやしいどころか、別れたらしく。

モミー:展開が早かったんですよ。状況が悪くなって。そうなると、黒いものが出てくるじゃないですか(笑)。サビとかは振られた後に作ってると思いますね。

楽しいと楽しくないの二極しかない

――曲の後半は、そのサビを重ねていく構成で激情感がどんどん迫力を増していって。歌詞は繰り返しですが、感情の変化がうかがえるものになっているのがドラマティックです。

モミー:あら、よかった……。

マリオ:なんかやけに他人事みたいじゃない?

モミー(Vo)

モミー:褒められ慣れてないので(笑)。度々言ってますけど、こうして取材を受けたり、事務所に入ることが決まったりとか、いろんなフェスに出れるようになるというのは、もちろんそこを目指してやってきたんですけど、ずっと信じられないというか。ここにいる自分と、それに憧れ続けていた自分がずっとふたりいるような状態で。だから褒められ慣れてもないから、こういう他人事みたいな感じに映るのかもしれないですね。だって、みなさんみたいな人たち(取材する側)は、ずっとつちのこだと思ってたんですよ。

――実在しないと思っていたんですね(笑)。

モミー:妖怪とかと一緒でいるいるって言ってるけど、どこにもいないじゃん!って思って。その人たちを見つけるんだっていう思いも兼ねて新しくバンドをはじめて。どうにかアンダーグラウンドからオーバーグラウンドに這い上がるぞって、はじめたバンドで。そこに近づいていってる今の状態はすごく嬉しいし、ありがたいとともに、信じられない気持ちは常にありますね。

――モミーさんが、シャンプーズを新たにスタートした思いが伝わります。改めて「メイ」のお話を続けますが、この曲は終盤にたっぷりと溜めのあるリズムや歌になっていたり、ライブ感や迫力が詰まったものになっています。レコーディングはどのような感じで行なっていたんですか。

モミー:最初はクリックで録ろうかなと言ってたんですよね。エンジニアさんがライブ音源をいろいろ聴いてくれて、絶対クリックなしで録った方がいいよっていうので、クリックなしでフリーテンポでやっているんです。そもそもテンポが変わる曲だから、クリックで録るのは難しいなと思っていたので。でもまあ、楽曲自体はすんなり録りましたね。歌は、それなりにしんどかったです。最後の方はもう、上半身裸になって歌っててーー。

マリオ:側から見たらめっちゃ面白かったですけどね。

樹里:“イギー・ポップだ、イギー・ポップがいるぞ!”って感じでね(笑)。

モミー:パッション入れてやらないといけない曲にしちゃうから、やっぱりレコーディングで苦労するんですよね。ただきれいに歌ってりゃいいような曲を作ればいいと思うんですけど、それだと自分がやってて面白くないから。

――そうですね。これまでにないタイプの曲だと思いますが、シャンプーズのなかでもこの「メイ」という曲の立ち位置は特殊な感じなんですか。

モミー:長いのでめちゃくちゃライブで使いづらいんですよね。

マリオ:いや、そういうことじゃねえよ!

樹里:尺の話じゃないから(笑)。

樹里(Gt)

――うねりやドラマがある曲だから、むしろ長さはまったく感じないですけど(笑)。

モミー:感傷を刺激するような感じはありますね。他の曲は結構、そういうのを笑い飛ばしていこうじゃないけど、いろいろあるけど今楽しければいいじゃんみたいな曲が多いので、ライブでガーンとやると、自分でも楽しー!ってなるんですけど。僕、中間がないですよね。楽しいと楽しくないの二極しかないから。「メイ」のような、真ん中にくる曲はなかなか今ライブで使うことが少ないんですよ(笑)。MVも作るので、みんな聴いてくれると思うんですけどね。

樹里:実際、聴いてくれている人もみんな好きだって言っているからね。

モミー:とくに30分くらいのステージだと、喜怒哀楽を全部持ってくるとどれも平均的になっちゃう感じがして。どこか尖っているところを見せないと、みたいな感覚はどこかにあるんですよね。だからこういう泣きがあるような曲を入れると、どこか喜怒哀楽の喜の足を引っ張っている感覚になってしまうというか。

――そうなんですね。でもその、泣きとか哀愁感というのは、シャンプーズのいろいろな曲で滲んでいるものでもありますし、肝になっているなと思います。

モミー:そうですね。僕がそこが好きなんですよね。哀愁っていう、漠然としたその言葉やそのニュアンスが好きだから、なんとか哀愁感を入れたいとなるんですよね。ただかっこいいバンドって、あまり好きじゃないんです。苦労とか、後悔とか、くよくよしたりとか、その人の人間味が見え隠れするのが好きなんです。表に出る人はとくにそうですね。(銀杏BOYZの)峯田さんもそうだし、僕は彼に憧れて音楽をやっているんですけど。そういう人間的な部分が見える人が好きで、自分もそうなりたいっていうのがある。別に自分が二枚目とかだったら、かっこいい曲をやればいいと思うんですけど、そうじゃないところ、自分が持っているもので勝負したいんですよね。

Text:吉羽さおり Photo:吉田圭子

■リリース情報
デジタル配信シングル 『メイ』
ダウンロード・サブスクで配信中
配信サービスについてはこちら(https://linkcloud.mu/22768c07

■ライブスケジュール
9月18日(土)~20日(月・祝) 『TOKYO CALLING 2021 』
※シャンプーズ は 19日(日)下北沢編に出演
詳細は⇒https://tokyo-calling.jp/

10月8日(金)~10日(日) FM802 MINAMI WHEEL 2021
※シャンプーズは10日(日)に出演
詳細は⇒https://minamiwheel.jp/

11月6日(土) 『KNOCKOUT FES 2021 autumn 』
詳細は⇒http://knockoutfes.com/

■プロフィール
下北沢発爆裂エナジーポップバンド「シャンプーズ」。
メロディックパンクや青春パンク、パワーポップなどのギターミュージックを通過したドライヴィンなサウンドに圧倒的パフォーマンスとエモーショナルな歌でダイレクトに観客の胸を刺す。ポップでキャッチーなメロディー、そして一度観たら忘れられない強烈でエモーショナルなライブパフォーマンスは、オーディエンスやアーティストから非常に高い評価を得ており、他のアーティストより圧倒的な月間ライブ本数はその評価の裏付けとなっている。

■関連リンク
Official site:https://shampoos.wixsite.com/shampoos
Twitter:https://twitter.com/shampoos777
Instagram:https://www.instagram.com/shampoos_band/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCKI1PnR6IX880rQhNjRfWsg

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