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ポルノグラフィティ、音楽でファンと繋がったリアル×デジタルのハイブリッドなステージ 新曲「REUNION」も披露

リアルサウンド

20/12/10(木) 19:00

 ポルノグラフィティが12月4日にオンライン配信と有観客のハイブリッドライヴ『CYBERロマンスポルノ’20〜REUNION〜』を開催した。

 ポルノグラフィティにとって昨年9月の東京ドーム2days以来、1年3カ月ぶりとなる今回のライヴ。この1年間でライヴ、エンターテインメントの取り巻く環境は大きく変化した。そんな中でもポルノグラフィティは「お客さんがいて初めてライヴは完成する」というメンバーの想いの元に、LINE CUBE SHIBUYAにて「リアルとデジタルを掛け合わせたハイブリッド型」としてライヴを開催。本記事ではその模様をレポートする。

 冒頭サイバー感漂うSEと共にサポートメンバー、そして岡野昭仁(Vo)、新藤晴一(Gt)の2人がステージ上に姿を現すと、始まった1曲目は「アポロ」。〈僕らが生まれてきて半世紀後の世界 サイバー空間であなたとつながりたい〉と出だしの歌詞をこのライヴならではのものに変え、カメラの向こうでライヴを楽しむファンへとメッセージを届けつつ、目の前の観客にも「最高じゃん!」と応えてみせた。

 続けてポルノグラフィティらしいラテン調の「オー!リバル」、そしてエレクトロな音色が印象的なミディアムなダンスチューン「星球」を披露。オンラインライヴならではのARを活用した演出として、「オー!リバル」では3DCGによるメンバーをモデルとした巨大デジタルヒューマンやサイ(楽曲を収録したアルバム名が『RHINOCEROS』=サイ)が、「星球」では様々なモニュメントが会場中を浮遊し、楽曲の世界を彩った。

 MCでは声が出せない会場の観客に気を配りつつも、ライヴを通して観客と繋がれたことが嬉しいと話す岡野と、「こんなこともなかなかない、何年か経ったら良い思い出になるよ」と語る新藤。ライヴ、エンターテインメントの形は変わっても、彼らのファンを大切に思う姿勢は変わらない。

 そんなMCから演奏したのは疾走感漂う「ワンモアタイム」、そして重厚でスリリングな「2012Spark」。共に無力さという壁にぶつかりながらも時代の中で走り続けなければならないという覚悟を描いた楽曲で、2020年という時代を生きるリスナーを岡野のパワフルな歌声で勇気づけた。続けて「リビドー」ではエロティックな歌詞と生々しいロックサウンドで観客を妖艶な世界に誘い、続けて演奏された「ヴォイス」では〈誰かに会いたくて〉という切実な感情が、この2020年という時代の中で一層強く響いた。

 今回のライヴから新しいサポートメンバーとして玉田豊夢(Dr)と山口寛雄(B)を招いたことを紹介しつつ、昨年のドームライヴ以降、岡野と新藤がそれぞれ何をしていたのかを話すことに。新藤はロンドンへ留学し、留学先で同じ授業を受けていたクラスメイトがYouTubeで自身のライヴ動画を見たことをきっかけに人気者になったこと。一方の岡野もLAへ留学しようとしていたが、コロナの影響で中止となり、カブト虫を飼いだしたこと。時々笑いを交えながら、この1年で今までにない経験を重ねてきたことを語る2人の表情は生き生きとしていた。

 「楽曲とも“REUNION(再会)”したい」という岡野の語りから始まった「シスター」では、メンバーの背後だけでなく、足元にも置かれたLEDビジョンが光線で織り成された木を映し出し、幻想的な世界を創り出した。ファンからの支持も厚い「ルーズ」では、美しいピアノの調べが印象的なロックバラードで見る者を釘付けにした。EDM調の「カメレオン・レンズ」ではARで視覚化された歌詞が会場中に映し出され、哲学的な新藤の詞を配信ライヴならではの演出で表現してみせると、「海月」では会場中を極彩色の海月が舞う幻想的な景色を描き出した。

 感染拡大防止策により観客は声が出せない今回のライヴ。そんな中でも新藤が「拍手に魂を込めることはできる」と話して始まったのは彼らの代表曲「アゲハ蝶」。普段のライヴでも観客によるハンドクラップとコーラスが特徴的な曲だが、この日会場では観客がコーラスを歌うことができず、その分まで一層に熱のこもったハンドクラップが会場に響いた。間奏ではTwitterで事前にファンから募集した「MESSAGE TO REUNION」が蝶へと姿を変えて会場中を飛び交う。直接会場で会えずとも言葉や想い、音楽で繋がることができるのだというメッセージが込められた感動的な演出を生み出した。

 メンバーからの一足早いクリスマスプレゼントとして披露されたのは、彼ららしい遊び心のある歌詞が特徴的な「Hard Days,Holy Night」。そしてデビュー21周年を経てアーティストとして熟成しつつも、まだまだ進化を続ける現在のポルノグラフィティのテーマ曲とも言えるような「VS」でこれからも戦い続けるという覚悟を瑞々しい演奏と共に見せつけた。

 「ポルノグラフィティの歯車を回してくれているのは君ら」と語り掛ける岡野。ファン達と共にまだまだ遠くへ行きたい、と語り「ハネウマライダー」へ。恋人とバイクに乗り旅に出る歌詞が、この日はこれまでの、そしてこれからのポルノグラフィティとファンの関係性を歌っているかのように響いた。最後はこの先どんな世界になったとしてもポルノグラフィティとして歌を届け続けると宣言するように「一雫」を高らかに歌いあげて本編を締めくくった。

 会場の大きなハンドクラップ、そして配信でライヴを見ているオーディエンスのアンコールに応えるべく、息つく間もなく再びステージに上がった岡野と新藤、そしてサポートメンバー。「夢を追う気持ちが緩んでしまった、気持ちが落ちてしまった、そんな人がまた力強い一歩が踏み出せるような新しい曲を届けます」と語り、今回のライヴで紡いだ希望を大きな光へと繋げるべく新曲「REUNION」を披露。ミステリアスなピアノリフから力強いロックサウンドへと展開する、激しく燃えるようなメッセージが込められた楽曲で沢山のファンを勇気づけた。

 「会いたいと思ったらどうやってでも会えるんだ」と話す新藤と、「ポルノグラフィティ、全盛期はこれからです」と力強く語った岡野。未来への第一歩を踏み出す2人の宣言を経て、「みんなでアホになって帰ろう!!」という岡野の絶叫をきっかけに最後に披露されたのはアンコールの定番曲である「ジレンマ」。会場、配信が一体となり、燃え尽きるような盛り上がりを見せると、最後に岡野が「自信持っていけ! 胸張っていけ!」と全てのオーディエンスの背中を押すように叫び、ライヴを締めくくった。デビューから20年を経たポルノグラフィティだが、まだまだ新しい表情を見せてくれるだろう。そんな未来を予感させる、煌めく希望に満ちたライヴだった。

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