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TOMORROW X TOGETHER、The Dream Chapterシリーズで描かれる壮大な世界観 最新作MVやティザーから読み解く

リアルサウンド

20/5/22(金) 12:00

 TOMORROW X TOGETHERのThe Dream Chapterシリーズ第3弾となる『The Dream Chapter:ETERNITY』が発売された。今回のミニアルバムは、The Dream Chapterシリーズの全貌や世界観を伺い知れる作品と言える。

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 まずトラックリストを見てみるとカバー曲の「Fairy of Shampoo(シャンプーの妖精)」を除き、「Drama」、「Can’t You See Me?(世界が燃えてしまった夜、僕たちは…)」、「Maze in the Mirror(鏡の中の迷路)」、「PUMA(動物園から抜け出したプーマ)」、「Eternally」とこれまでの2作でも提示されてきた“魔法的”なワードが目に止まる。世界の終わりや永遠、そして現実世界から隔離された空間や囚われのイメージとして「鏡」や「動物園」という言葉が使われているように見える。

 活動曲(リード曲)でもある「Can’t You See Me?」のMVを見てみよう。終始家の中で完結するシンプルな場面設定だが、メンバーたちは徐々に分裂を起こし、半ば倫理観を失ったようなグロテスクな世界へと変貌を遂げていくなど、内容は複雑なものになっている。さらに歌詞に注目してみると“世界の秘密”“世界の果て”“永遠の約束”“崩れた砂の城”など、この世界を取り巻く状況設定が見えてくる。

 つまり、これまでのMVを含めTOMORROW X TOGETHERが介在している世界は終わりを間近に控えた、もしくはすでに終わってしまった情景を描いていると仮定できる。明示的に世界の終わりが描かれている例としては、現実世界から燃え盛る魔法の世界へと飛ばされた「Magic Island」があげられる。この世界では自分たちにもともとあった役割や記憶を取り戻しつつある姿、そして世界の終わりにつながる“過ち”がMV中の文章などで示唆されていた。

 The Dream Chapterシリーズの世界設定として基盤となるであろう「Nap of a star」では人と獣の特徴を併せ持つ5人の姿が描かれ、「CROWN」でも外界から隔離されたグリーンバックの世界で2Dアニメーションを使って5人に幻獣のような特徴がオーバーレイされる。この2つのMVからは、世界にとってTOMORROW X TOGETHERの5人が何か神性を持つキャラクターとして存在していると受け取れる。そして「Run Away」では、現実世界から魔法の世界へと飛ばされる様子や、世界の終わりを暗喩する燃える扉や絵本が描かれ、平行世界や時間軸の乱れとしてYEONJUNの指の怪我が治っている点が伏線的に描写されていた。

 「Can’t You See Me?」の歌詞にある“永遠の約束”、“世界の秘密”を深掘りしていくと、TOMORROW X TOGETHERは世界を安定させるための礎的な存在として定められているのではないだろうか。「CROWN」や「Nap of a star」で描かれている角や翼は、世界の礎になっていく上での変化なのかもしれない。あらゆる世界の終わりや崩壊を防ぐために、TOMORROW X TOGETHERは絵本の中や隔離された世界に囚われており、同時にあらゆる世界に偏在している。「Magic Island」や「Run Away」で描かれているのは、平行世界に遍在している5人が世界の礎として囚われている本来の自分たちに少しずつ気付いてく姿なのかもしれない。

 今回のMVの話題に戻ると、5人が衝突を起こしていく舞台はSOOBINの家だ。そして歌詞では“Can’t You See Me?”、“助けて”など危機的な状況を訴えていることがわかる。家はSOOBIN、もしくはTOMORROW X TOGETHERの精神世界を表していると仮定できる。あらゆる世界の終わりを経験し続ける一方で、礎として隔離された世界に囚われ続けるうちにSOOBINもしくはTOMORROW X TOGETHERの自我が分裂ないし消滅しそうになっているのか。または、世界の礎となっているSOOBINもしくはTOMORROW X TOGETHERの5人が限界を迎えているため、様々な世界が終わりへと向かっているのか……。

 今作のコンセプトティザーでは、モールス信号で歌詞と同じく“助けて”と呼びかけているほか、輪廻を意味すると思われる円が描かれたテーブルの上にSOOBINが囚われている。世界の終わりが永遠に繰り返される中で、SOOBINは記憶を継承し続けているのかもしれない。

 TOMORROW X TOGETHERTの5人がこのまま世界の犠牲となっていってしまうのか、5人が救われる道があるのかは、今後の作品を追う上でも気になるところだ。とりわけSOOBIN、YEONJUN、BEOMGYUは世界の“外”へのつながりが強いと思われる描写がこれまでのMVでされている。「PUMA(動物園から抜け出したプーマ)」と、囚われた世界から脱出する伏線も張られており、今後どのようにこのThe Dream Chapterシリーズが展開していくのか、目が離せない。(ヤマダ)

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