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ケン・ローチ『家族を想うとき』に森達也、想田和弘、中川敬らがコメント

CINRA.NET

19/11/27(水) 20:00

photo: Joss Barratt, Sixteen Films 2019

ケン・ローチ監督の新作映画『家族を想うとき』に寄せられた著名人のコメントが公開された。

12月13日から公開される同作は、『わたしは、ダニエル・ブレイク』を最後に映画界からの引退を表明するも撤回したケン・ローチ監督が、イギリス・ニューカッスルを舞台に、変わっていく人々の働き方や時代の波に翻弄される「現代の家族の姿」を描いた作品。マイホーム購入を夢見て父リッキーがフランチャイズの宅配ドライバーとして独立し、母アビーはパートタイムの介護福祉士として時間外も働き、息子セブと娘ジェーンが寂しさを募らせていくなか、リッキーがある事件に巻き込まれる、というあらすじだ。

コメントを寄せたのは、れいわ新選組代表の山本太郎、小川彩佳、柳澤秀夫、茂木健一郎、ピーター・バラカン、荻上チキ、漫画『健康で文化的な最低限度の生活』で知られる柏木ハルコ、中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)、森達也、想田和弘、武田砂鉄、小熊英二の12人。

山本太郎のコメント

小さな幸せさえも容赦なく破壊する搾取の連続。これは遠く離れた国の話ではない、私たちの話だ。

小川彩佳のコメント

すれ違いながら想い合い、繋ぎ止めようと手を伸ばし、それでもじわり壊されていく。ただ幸せでいたいだけなのに、なんで、なんで、なんで...。ラストシーンの余韻が止まりません。これは日本も「じぶんごと」かもしれない。

柳澤秀夫のコメント

これは他人事じゃない!効率優先のゆがんだ社会に翻弄されながらも、ささやかな幸せを求めて懸命に生きようとする家族。あまりにも切ないその姿に思わず「がんばれ!」と声援をおくらずにはいられなくなった。

茂木健一郎のコメント

誰も不幸になりませんように。祈るような気持ちで物語に没入した。厳しい現実のひんやりとしたリアリティの中から、人の心の温かさがしみ出てくる。衝撃のラストシーンに巨匠の怒りと愛を感じた。
傑作を超えた神品。

ピーター・バラカンのコメント

映画が終わる頃にはこの家族が肉親のような気持ちになります。ブラック企業というよりブラック世界。
これはケン・ローチならではの愛情に溢れた作品で、道に迷った人類に対する警鐘でもあります。

荻上チキのコメント

誰も望んでいないのに、すれ違う家族たち。彼らが薄情なのか?いや、そうではない。
そうさせたものの正体に、じわりじわりとカメラが近づいていく。

柏木ハルコのコメント

物語には常に現実を描く一面と妄想を描く一面があるが、この映画には妄想の要素はほとんどない。
ケン・ローチ監督はここから目をそらすことを許さない。私たちの『働き方』はこれでいいのだろうか?
私たち一人一人が向き合うべき重い問いである。

中川敬のコメント

前作『わたしは、ダニエル・ブレイク』公開後に引退撤回したケン・ローチ監督が、新自由主義経済の底辺にある一家の、酷烈な転落と絆を描く。袋小路の家族物語だが、変化を希求する監督の誠実な怒りが、懸命に生き抜く人々の気高い尊厳を立ちのぼらせる。何度も胸が熱くなった。またもや最高傑作。必見!

森達也のコメント

コメントが難しい。何を書いても作品の質量に届かない。ラストの家族の慟哭がいつまでも心に残る。ケン・ローチと同時代に同じ仕事をしている巡りあわせに感謝する。

想田和弘のコメント

前作の『わたしは、ダニエル・ブレイク』で引退すると言っておられたが、撤回して『家族を想うとき』を作ってくれて、本当によかったと思う。現代に生きる私たちにはこの監督が必要だ。可能な限り、作品を撮り続けて欲しいと切に願う。

武田砂鉄のコメント

そうなったのはオマエのせいだろ、と突きつけてくる社会。出口はどこにあるのか。出口を塞いでいるのは誰なのか。

小熊英二のコメント

宅配ドライバーの夫と訪問介護の妻。14時間労働、理不尽な待遇、疲労とストレス、子供の不登校。これでもかとばかりの現実のあと、ラスト場面で Sorry We Missed You. 音楽なしのタイトな演出が印象的。見れば忘れられない映画になるだろう。

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