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窪田正孝が音尾琢真を“ヒモ男”に 『ヒモメン』描かれてきたテーマが大きく変化?

リアルサウンド

18/8/26(日) 12:30

 翔ちゃんことヒモ男の碑文谷翔(窪田正孝)は、春日ゆり子(川口春奈)の先輩である看護師、田辺聡子(佐藤仁美)の恋人が経営するヒモ更生プログラムによって強制的に働かされることとなる。『ヒモメン』(テレビ朝日系)第5話では、真面目に働くことのできない翔ちゃんが重労働を経てヒモを卒業できるのかが描かれた。第3話、第4話までの物語から一転、これまでの登場人物をふんだんに盛り込んだ回となった第5話。登場シーンは少ないものの、看護婦長の尾島和子を演じるYOUが存在感を放った。

 同ドラマは、ヒモ男と彼女という恋人同士の問題に焦点を当てているため、どうしても窪田と川口が常に出ずっぱりになってしまうことが多い。恋愛においてヒモ男であるという問題はあるものの、キャリアには何の問題もないゆり子とキャリアを持たない翔ちゃんは必然的に2人の世界に入り込みがちで、他のキャラクターが光るシーンが少なかった。ゆり子と翔ちゃんがペアにならないシーンで唯一キャラクターを絡ませることができるのが、ゆり子の勤務先の病院である。それゆえ、池目亮介(勝地涼)や聡子のシーンがゆり子たちカップルに次いで登場時間が長く描かれてきた。

 しかし同ドラマは、連続ドラマに初出演となる岡田結実や、実力派の片瀬那奈、バラエティでも女優としても活躍するYOUなど、実は驚くほど豪華なキャストが脇を固めている。第5話ではその豪華なキャスト陣が一挙に集結して、今まで以上に濃い45分間となった。特に池目と尾島のクセの強い共演シーンは短い尺ながらも強烈な印象を残した。勝地の顔芸で盛り上げてきた同ドラマにYOUのシュールな笑いが加わることで、さらに笑えるポイントが増えただろう。
 キャストだけではなく、物語もよりひねったものへと進化した。田辺の恋人である豊川稔(音尾琢真)はかつてヒモであったが、更生して企業したいわゆる“成功者”。豊川はゆり子の依頼で翔ちゃんを更生させようと奮闘するのだが、生粋のヒモ体質である翔ちゃんに逆にヒモに戻されてしまう。しかしそんなヒモに戻った豊川を見て、田辺は「本当はヒモ男が好きなの!」と絶叫する。

 人の持つ”気質”というのは変えられないものか。ゆり子の姉である桜子が吐き捨てる「ヒモは死ぬまで治らない」にはそんなメッセージさえ感じた。今までは翔ちゃんのラッキーパンチで困難をくぐり抜けるドタバタ喜劇的な演出が多かった。しかし第5話では、「本来の気質に回帰し、素直に生きていく」というテーマ性が感じられ、それぞれのキャラクターが抱えていたジレンマを吐き出すような回となる。

 この放送を経て今後の流れで気になる部分は、ゆり子の本当の価値観はどこにあるのか?というところだ。同ドラマの一貫したテーマが「ヒモを更生させる」ことであったが、田辺の告白を受け、ゆり子もヒモが好きだと流れていってしまうことが危惧される。そうなると、本来掲げていた「ヒモを更生させる」というテーマ自体ガラッと変わってしまうことになる。翔ちゃんの強烈なヒモ気質によって、このままヒモとヒモが好きな女のドラマに流されていってしまうのか。この作品の本質はどこにあるのか。残り2話で完結する同ドラマをしっかり見守っていきたい。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
『ヒモメン』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:15~深夜0:05放送
出演:窪田正孝、川口春奈、勝地涼、佐藤仁美、YOU、金田明夫、岡田結実、片瀬那奈
ゼネラルプロデューサー:横地郁英
プロデューサー:秋山貴人・河野美里
原作:鴻池剛『ヒモメン~ヒモ更生プログラム~』(MFコミックス フラッパーシリーズ/KADOKAWA刊)
脚本:森ハヤシほか
音楽:井筒昭雄
演出:片山修ほか
制作:テレビ朝日 
制作協力:ホリプロ
(c)テレビ朝日
公式サイト:http://www.tv-asahi.co.jp/himomen/

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