手紙をモチーフに、懐かしさと新しさを同時に兼ね備えた映画世界を創り上げた岩井俊二監督の『ラストレター』は今年1月に公開され、評判を呼んだが、その物語が中国を舞台に繰り広げられる『チィファの手紙』は不思議な吸引力のある映画だ。 『Love Letter』などの作品で中国でも人気の高い岩井俊二監督がピーター・チャン監督をプロデュースに迎え、中国人スターが集結し、初めて中国でメガホンをとった作品で、ジョウ・シュン演じるチィファがピアノを弾く印象的な場面とシンクロさせた感じでピアノをフィーチャーした音楽も撮影もすべてがうまく融けあっている。 そしてピアノと言えば、リオのパラリンピックの閉会式で国家を演奏して話題になったピアニスト、ジョアン・カルロス・マルティンスの劇的な実話を映画化した『マイ・バッハ 不屈のピアニスト』も、その真摯な作り方に好感が持てる。両作品とも時間の経過とともにぐいぐい引きつけていく力がある。