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いま、最高の一本に出会える

あいみょん、GLAY、ミセス、シェフ、Saucy Dog……最新作から感じるソングライティングの妙

リアルサウンド

19/10/1(火) 7:00

 映画『空の青さを知る人よ』の主題歌を収録したあいみょんのニューシングル、デビュー25周年のタイミングでリリースされるGLAYの15thアルバムなどを紹介。作品のコンセプトやメッセージに則した、アーティストの強い思いが込められた歌詞をじっくり味わいながら聴いてほしい。

(関連:あいみょん楽曲のイメージ広げる二つの映像世界 very short movieとMVを比較

 映画『空の青さを知る人よ』(監督・長井龍雪)の劇中主題歌「空の青さを知る人よ」(表題曲)、エンディング主題歌「葵」を収録した、あいみょんの9thシングル。いなくなってしまった“君”に対する切なくも温かい思いを綴った「空の~」、そして、夢を抱えて未来に向かった季節と孤独や涙を抱えて生きる現状をリリカルに描いた「葵」。過去と未来をつなぐ“二度目の初恋”をテーマにした映画の物語に寄り添いながら、性別や年齢を超えて幅広いリスナーの記憶や思いを揺さぶるであろう、普遍的なポップソングに導いている。奇を衒ったところや難解な部分はどこにもなく、映画からインスパイアされた言葉を素直に紡ぎ、それを真っ直ぐに発するだけで、豊かな広がりを持った歌に結びつく。彼女のソングライティングは作品を重ねるたびに、確実に向上し続けている。

 “DEMOCRACY”を掲げたGLAYのデビュー25周年イヤーに発表される15thアルバムには、『NO DEMOCRACY』というタイトルが冠された。メンバー4人による“民主的”な活動を続けているGLAYだが、世界に目を向ければ、民主主義とはかけ離れた状況がまだ存在しているーーそれは社会の現状を反映していると同時に、ロックバンドが表現すべき普遍的なテーマなのだと思う。特に印象に残るのは、時代の節目をまるでドキュメンタリーのように捉えた「元号」、社会の底辺の情景を描いた「あゝ、無常」、時代の片隅に追いやられる子供たちに焦点を当てた「戦禍の子」など、言葉の力がまっすぐに伝わってくるTAKUROの楽曲。もちろんTERU、HISASHI、JIROの個性的を存分に活かした楽曲も収録され、アルバム全体を通し、GLAY一流のエンターテインメントとして成立していることも強調しておきたい。

 「青と夏」(映画『青夏 きみに恋した30日』主題歌)、「ロマンチシズム」(資生堂『SEA BREEZE』CMソング)など耳なじみのあるポップチューンが満載された4thアルバム。もっとも心に残ったのは、タイトル曲「Attitude」だ。バンドサウンドに加えられたハイブリッドなアレンジとともに綴られるのは、“なぜ僕は曲を作り、歌うのか?”という根本的なモチベーション。大切な誰かと思いを共有したい、愛し合いたい。やりたいことをやって、“世の中は腐ってなんかいない”ということを真っ直ぐに伝えたい。そんな“アティチュード(態度、心構え、姿勢)”こそがMrs. GREEN APPLEの核なのだと改めて実感できる名曲である。

 ASIAN KUNG-FU GENERATION、Gotch(後藤正文)、チャットモンチーなどのサポートメンバーとしても知られる下村亮介によるバンド・the chef cooks meの、前作『回転体』から約6年ぶりのオリジナルアルバム『Feeling』には、世武裕子、村田シゲ(口ロロ)、中西道彦(Yasei Collective)、YeYe、Gotchなどが参加。自己と他者の感じ方や生き方が混ざり合うことで紡ぎ出される音、言葉、歌が心地よく響く作品となった。人はそれぞれ違っていて、人生に答えはどこにもない。孤独を越え、そのかけがえのない一度限りの生を生き抜きたいーー1曲目の「Now’s the time」から伝わってくるメッセージは、このアルバムの軸を担っていると思う。ブラックミュージックのエッセンスを自然に反映させたバンドサウンド、芳醇なグルーヴと奥深い意味を併せ持った歌も素晴らしい。

 “ありのまま、自分らしくいればいい”というテーマの「雀ノ欠伸」は、曲の途中でリズムが変化するなど、自由な発想を反映させたアレンジを採用。ぼんやりとした日々を抜け出し、目標に向かって進む決意を歌った「Tough」はパワフルなバンドサウンドで突っ走り、幻想的な恋愛模様を想起させる「月に住む君」は、浮遊感のあるギターフレーズで楽曲の世界観を際立たせる。ライブ動員を拡大し続けている3ピースバンド・Saucy Dogの新ミニアルバムには、歌詞とバンドサウンドが有機的に結びついた楽曲が並んでいる。タイトル「ブルーピリオド」の由来は、ピカソの“青の時代”。初期衝動に貫かれた青さをキープしたまま、普遍的な表現へとまた一歩近づいた充実作だ。(森朋之)

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