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板尾創路、『おちょやん』に喜劇の帝王として登場 『監察医 朝顔』とは別人のようなオーラ放つ

リアルサウンド

20/12/10(木) 12:15

 舞台を大阪・道頓堀に移した第2週「道頓堀、ええとこや~」では、『おちょやん』(NHK総合)における重要人物が次々と登場している。今後、千代(毎田暖乃)の母親的な存在になっていく芝居茶屋「岡安」の女将・岡田シズ(篠原涼子)、千代の運命の相手であり喜劇一座の座長となる・天海一平(中須翔真)、千代の憧れのスター女優・高城百合子(井川遙)。そして、第9話で登場したのが、須賀廼家万太郎一座を率いる喜劇王・須賀廼家万太郎(板尾創路)だ。

 一平の父、初代・天海天海(茂山宗彦)が33歳の若さでこの世を去った前回。道頓堀の芝居小屋を牛耳る鶴亀株式会社の社長・大山鶴蔵(中村鴈治郎)が喪主を務め、彼の意向で鶴亀座での劇場葬が執り行われることとなった。そこに満を持して姿を見せるのが、万太郎である。というのも、『あさイチ』(NHK総合)の朝ドラ受けにて博多大吉も触れていたように、第8話で(板尾創路にそっくりな)似顔絵の描かれたビラが撒かれていたことも、視聴者の期待を煽る演出になっていた。

 鉦の音をお囃子に、威風堂々と劇場に現れた万太郎。シズの母で天海天海とも付き合いの深かったハナは「あれがあんたのお父ちゃんが越えようとした男」と一平を通して、我々視聴者に万太郎の偉大さを伝える。これでもかというほどにハードルが上がりきったところで、万太郎は被っていた帽子をゆっくりと取る。そこには頭に乗った一個の卵が。手のひらでそのままパカッ!と潰して見せると、背後からパーッと色とりどりの花吹雪が舞い、そこで初めて万太郎はニカッと笑って見せる。ナレーションで、30年日本の喜劇界に君臨し続ける喜劇の帝王と紹介される中、「ハッハッハッ!」と高笑いし続ける万太郎。彼なりの故人への手向けだ。後ろには舞い上がり続ける花吹雪。そのギャップが、彼の底知れぬオーラ、異彩を放っていた。

 もちろん、板尾創路が演じているからこそ、その演出がよりシュールに感じられる要素もある。今さら説明するまでもないが、『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)を機に一躍脚光を浴びた板尾は、芸人の中でも「異才」「唯一無二」という言葉がぴったりのレジェンド的存在だ。

 役者としても長年活躍しており、同じ朝ドラでは『まれ』(2015年)に、大河ドラマでは『いだてん~東京オリムピック噺~』(2019年)に出演。現在は『監察医 朝顔』(フジテレビ系)で主人公の朝顔(上野樹里)と一緒に働く法医学者・藤堂を演じている。彼は一目置かれる法医学者ではあるのだが、妻の絵美(平岩紙)には頭が上がらないという、言わばいじられキャラ。万太郎と藤堂のキャラクターのギャップを考えると、また板尾の演じ分けに深みが感じられてくる。余談だが、『朝顔』も月9史上初の2クール放送となっており、現在朝ドラと月9を行き来する板尾はかなり多忙な日々を過ごしているのではないかと想像する。

 「ほんに人の世は笑えん喜劇と笑える喜劇のよじれ合いや」ーー鶴蔵との確執を強烈に印象付け、劇場を去っていく万太郎。一方の千代は頼まれた得意先への使いに遅れ、シズからクビを言い渡されていた。ひと月だけの繋ぎとしてお茶子に雇われた千代であったが、それすらも叶わない歯がゆい結果に。道頓堀にやってきていた小林(烏川耕一)から、テルヲ(トータス松本)らが夜逃げしたことを聞いている千代には、もう帰る家すらもない。雨音と雷鳴が鳴り響く道頓堀を一人とぼとぼと歩く千代は、一体どこへ向かうのか。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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