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『おちょやん』道頓堀編が再スタート 微笑ましい再会と新たな波乱の予感が

リアルサウンド

21/2/1(月) 12:00

 昭和3年、大山鶴蔵(中村鴈治郎)の鶴の一声で新しい喜劇の一座に参加することになった千代(杉咲花)は、4年ぶりに道頓堀に戻ってきた。NHKの連続テレビ小説『おちょやん』が第9週を迎え、道頓堀の人々との微笑ましい再会と新たな波乱の予感がする回となった。

 物語冒頭から印象深かったのは、道頓堀に戻った千代に声をかける道行く人々の姿だった。千代に声をかける彼らの明るく親しげな声を聞くと、千代がお茶子として働いていた日々がパッと思い出される。とはいえ、4年ぶりの道頓堀は少し様変わりしていた。芝居茶屋「岡安」のライバル店だった「福富」は「福富楽器店」へと姿を変え、音楽好きが集まる喫茶店になっている。それでも福助(井上拓哉)やみつえ(東野絢香)、ハナ(宮田圭子)や宗助(名倉潤)、「岡安」のお茶子たちは、変わらず千代を迎え入れる。もちろんシズ(篠原涼子)も。

 ただ、芝居茶屋「岡安」の今後は、波乱の一つになりそうだ。シズは千代に「ここはあんたの家だす」「岡安はずっとこのままだす。安心し」と穏やかな笑顔を見せていたが、馴染みの客から組見(団体観劇)を中止する旨を伝えられる場面や「福富楽器店」を見つめる場面でのなんとも言えない表情が少々気がかり。シズと千代の会話を聞いていたかめ(楠見薫)もどことなく心配そうな表情を浮かべており、何らかの書類に判を押すシズの意味深なシーンもあった。道頓堀編が再スタートするにあたり、これらの伏線がどう回収されるのか楽しみである。

 そして一番の波乱の予感は新しい喜劇一座だ。歌舞伎や歌劇団など、さまざまなジャンルから来た役者が集まり、そこには旧天海一座の面々もいた。しかし千之助(星田英利)の姿はなく、座長に指名されたのが一平(成田凌)だと知るや否や、次々に旧天海一座の面々が辞めていく。

 集められた初日に役者が辞めていく展開で終わってしまった第9週初日。だが立ち去る徳利(大塚宣幸)や天晴(渋谷天笑)を、表情を変えることなく見送る一平が印象的だった。人気喜劇一座の座長の息子として悩みながらも芝居に向き合い続けてきた一平には、何か確固たる意志があるようだ。

 変わりゆく道頓堀で、変わらないものを守り続ける者と新しいことに取り組む者が登場した初日。女優の道を駆け上がる千代が彼らとの関わりでどう成長していくのか、今後の物語が楽しみだ。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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