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『MIU404』麻生久美子はワケあり4機捜の“頼れる母親”? 物語に厚みを加える稀有な存在感

リアルサウンド

20/7/31(金) 10:00

 綾野剛と星野源がW主演を務める金曜ドラマ『MIU404』(TBS系)で、女性初の機捜隊長を演じる、女優・麻生久美子。曲者だらけの第4機動捜査隊のまとめ役として、ときに厳しく、ときに優しく、魅力的な隊長を演じている。そこで今回は、麻生のこれまでの作品を振り返り、『MIU404』での魅力や、徐々に真相が見えてきたストーリーの裏側についても触れてみたい。

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 コメディからシリアスまで、様々な役が演じられる麻生。デビュー当初は、巨匠・今村昌平監督の映画『カンゾー先生』(1998年)や、黒沢清監督の『回路』(2001年)など名だたる作品に出演してきた。当時の麻生は、どこか達観したような、アンニュイで冷静な演技が魅力で、ハリウッドやテレビ資本の映画にはない、ミニシアター系の邦画独特の雰囲気と絶妙にマッチしていたように思う。

 映画を中心に活動してきた麻生のターニングポイントなった作品が、2006年の連続ドラマ初主演作の『時効警察』(テレビ朝日系)。交通課の三日月しずか役を演じ、オダギリジョー演じる霧山修一朗との掛け合いや、独特の小ボケ連発の演出、そして何より、霧山に好意を持ち、頑張る乙女の姿がとにかくキュートで、お下げ髪でお転婆なところも、これまでの硬派な麻生にはなかったキャラクターだ。「ふっきれたんですね。自分の限界を決めていたところがあったけど、まだまだできることがあるし、学べることもたくさんあると」(個性あるんですかね? 私 麻生久美子さん|朝日新聞デジタル「Woman’s Talk」2016.01.12)と麻生自身が語るように、今作でコメディエンヌとしての殻を破ったことで、明るいイメージが浸透。ドラマ出演でより知名度を拡大し、「彼女がいることで物語が際立ち、厚みがでる」と思わせる不思議な魅力を持った女優として、現在に至るまであらゆる作品で重宝されている。

 『MIU404』は、警視庁の架空の設定の臨時部隊「警視庁刑事部・第4機動捜査隊」を舞台に、機動力と運動神経が高いが、刑事の常識に欠ける伊吹藍(綾野剛)と、常に先回り思考で道理を見極める志摩一未(星野源)が、全く性格の違う破天荒な“機捜バディ”を組み、勤務は24時間制という制限のなかで、誰よりも早く、犯人を追っていく。

 麻生演じる桔梗ゆづるは、捜警察署長を経て女性初となる第1機動捜査隊(以下機捜)の隊長で、3部制だった機捜に、ヘルプのために4機捜を立ち上げ、兼任隊長となった。何かがあればしっかりと叱り、事件解決のためならちょっとした無茶でも受け入れる懐の深さ。まるで4機捜というヤンチャな家族の母親のような、頼れる隊長を麻生は演じている。

 さて、ワケありのこの4機捜を立ち上げた本当の理由は何か。桔梗には、元々飲食店経営者の夫を事故で亡くした過去があり、現在はその夫の息子・ゆたかを育てているシングルマザー。そしてゆたかの面倒を見ている謎の女性・羽野麦(黒川智花)は、桔梗に過去に裏カジノの経営者「エトリ」の情報を提供したことが原因で、エトリに追われている。第4話で当時指揮官の隊長だった刑事部長の我孫子(生瀬勝久)との会話で、「(1人の女性の人生より)より多くの人間を救うためだ」と会話していたことから、警察がエトリを逃したことは意図的なものだと想像でき、桔梗は不信感を抱いている。そこから考えられるのは、既存の組織だとエトリ捜査を邪魔されるので、表向きはヘルプだが、色んな意味で反骨精神を秘めたメンバーを集め、エトリを捕らえるために4機捜が立ち上げられたと推測される。

 また、捜査一課時代には志摩と同じ班にいたことがあり、お互い過去を知っている間柄。物語の一番の鍵となっている志摩の“相棒殺し”と呼ばれる過去については、次回第6話で転落死した元相棒・香坂(村上虹郎)の登場も決まっており、なんらかの真相が描かれる予感だ。所轄で腐っていた志摩を呼び戻したのも桔梗であり、未だ謎の部分が多い夫の死や息子についても、そこに何か関係してくるのかも知れない。また、第3話に登場した謎のドラッグ売人(菅田将暉)が、エトリ、もしくは志摩の元相棒の死に関係してくるのであれば、点と点が線で繋がり、物語がさらに面白くなりそうだが、果たしてどうなるのか。今後の展開に注目したい。 (文=本 手)

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