YOASOBI、ヒットの理由をSNS活用から徹底分析 ファンとのつながり&行動喚起を促す“チームワークの巧さ”
20/7/17(金) 18:00
YOASOBIから学ぶアーティストのCTA
私が仕事がら様々なアーティストさまやレーベルさまのお手伝いをさせていただく中、よく出る共通の質問があります。
「SNSの使い方が上手な日本人アーティストっていま誰ですか?」
私は即答で、迷いなくお答えしています。「YOASOBIです」と。
TwitterではYOASOBIのオフィシャルアカウント、そしてAyase、ikuraの3アカウントで盛り上げていくYOASOBIムーブメントにはアーティストが学ぶべきところがたくさんあります。
彼らはCTA、つまり「Call To Action(コール・トゥ・アクション)=行動喚起」が非常に明確。ファンにどう行動してほしいかを自分たちの声ではっきりと伝えています。
自分たちの描きたいストーリーを伝え、そのストーリーに参加することがファンの喜びになっています。そしてエンゲージメントポイント全てでトレンドを狙いに行っています。
早速順に見ていきましょう。
「聴いてください」とファンに伝える
まず今のアーティストに何より重要なことです。投稿を見てすぐ遷移できるYouTubeのリンクと各ストリーミングサービスへのリンクを入れて、自分たちの口から「聴いてください」と伝える。ファンにとっては嬉しいランクアップのニュースもあり、また再び聴いて応援しようと思う。
「夜に駆ける」#CDTV にて先週の28位から20位にランクアップ↑↑ありがとうございます!!
お好きな方法で、是非たくさん聴いてくださいね✨
-YouTubehttps://t.co/uA2bKQoZof
-ストリーミング/ダウンロードhttps://t.co/PIIsIoXH9G#YOASOBI pic.twitter.com/4Y8yFZKpZF— YOASOBI (@YOASOBI_staff) April 18, 2020
この日の投稿は振り返るとわかりますが1日に何度も投稿しており、「たくさん聴いてください」と伝えることの重要さが感じられます。
改めて、YOASOBI「夜に駆ける」本日配信スタート!
普段お使いのサービスでぜひたくさん聴いてください!
Apple,spotify,YouTube:https://t.co/PIIsIoXH9G
LINE MUSIC:https://t.co/1CtvlNZ2XA
amazon:https://t.co/4y87KiO1JR開店ラッシュキメてくれた皆さんのおかげでLINE MUSICでは12位に!感謝! pic.twitter.com/Wk21xYzmiq
— YOASOBI (@YOASOBI_staff) December 15, 2019
◯◯回再生に合わせて再度聴いてほしいと伝える
ファンにとって、ファンとアーティストでなし得た成果、それは再生回数です。その喜びをファンと分かち合いながら、再度聴いてもらう。単なる回数達成の報告ではなく、きちんと遷移できるYouTubeリンクが付随しているのが特徴です。
「夜に駆ける」YouTube1,000万回再生突破!たくさん聴いて見ていただき本当に本当に本当にありがとうございます!
満足することなくさらに上を目指しながら、また新しい作品で皆さまに楽しんでいただけるよう引き続き頑張ります。
これからもよろしくお願いします!#YOASOBI https://t.co/uA2bKQoZof pic.twitter.com/dV1kPBOaft— YOASOBI (@YOASOBI_staff) April 24, 2020
メディア露出に合わせて再度聴いてほしいと伝える
テレビ、ラジオ、雑誌、いろんなメディアでの露出で知った人がSNSにやってきます。そんな認知獲得勢にすぐに知ってもらうための投稿も欠かしません。もちろん遷移先のリンクも確実に。
【#とくダネ にてご紹介いただいた「小説を音楽にするユニット」 #YOASOBI 】
よければ一曲、聴いていただけたら嬉しいです。
各動画の概要欄に「原作小説」のリンクもあります。合わせて読むとさらに深みが!ぜひお試しください💫https://t.co/EAiUPqE74j#夜に駆ける#あの夢をなぞって#ハルジオン— YOASOBI (@YOASOBI_staff) May 25, 2020
コメントを書いてほしい、感想を伝えてほしいと伝える
「YouTubeのコメントを書いてほしい」「感想をSNSに投稿してほしい」と伝える。書き込むことでファンはYouTubeでの滞在時間が伸び、YouTube上のエンゲージメントも増します。TikTok含む海外からの流入に対してもコメントしています。
【あの夢40万✨】
YOASOBI「あの夢をなぞって」がYouTubeで40万回再生突破!
先ほどの #JOOX もそうですが、外国語のコメントや感想もたくさんいただいており、広がりを感じています!Thanks!謝謝!감사합니다!https://t.co/6zjxuVWWKD pic.twitter.com/vj4IvydZ01— YOASOBI (@YOASOBI_staff) January 28, 2020
コメントを全て読んでいるとファンに伝えることで、ファンはますます書いてくれますね。書いていなかった人たちは、書きに行くためにYouTubeに再度行ってくれますね。そして見て聴いてくれますよね。
夜に駆ける、YouTube80万回突破!3,000を超える熱いコメントも全て読んでます。ありがとうございます!
今週日曜、12/15の0時よりストリーミング&ダウンロード配信が開始!ぜひそちらでもよろしくお願いします。今日は和気藹々なAyase &ikuraをお裾分け😉#YOASOBIのヒミツhttps://t.co/uA2bKQoZof pic.twitter.com/Dy3ca0tviE
— YOASOBI (@YOASOBI_staff) December 11, 2019
広げてほしいと伝える
聴いてくれた、好きになってくれたファンに次にどうしてほしいか、広げてくれるお手伝いを促すことも重要です。エゴサーチして見てくれるなら感想を書こうかな? ストリーミングサービスから曲をシェアしたら「いいね」もらえるかな? とファンが思うことが重要ですね。
皆さまのおかげで「夜に駆ける」公開から1週間足らずで10万回再生突破しました!コメントはもちろん、お気づきの方もいるかと思いますがエゴサもゴリゴリにしておりますので、たくさん感想教えて下さいね。まだまだ物語は始まったばかり!これからもよろしくお願いします!https://t.co/uA2bKQoZof
— YOASOBI (@YOASOBI_staff) November 22, 2019
今や曲を広げる上でTikTokと同じくInstagramミュージックスタンプも重要です。アーティスト自ら使い方を紹介して広げてくれるお手伝いを促進しています。
インスタグラムのミュージックスタンプ、おすすめコーナーに夜に駆けるがいました👀
友達にしれっとオススメする最適な方法のひとつ!笑 是非使ってみてください〜!#YOASOBI pic.twitter.com/zse7XGhNCV— YOASOBI (@YOASOBI_staff) April 14, 2020
Instagram、TikTok上の見つけづらい投稿も教えてほしいと伝えます。
インスタのミュージックスタンプにも #ハルジオン 出てます✨さりげない布教にうってつけの機能、近況報告とともにぜひ使ってみてください!
なお当方Twitterのエゴサには自信があるのですが、インスタはなかなか難しいので、誰々が紹介してたよ〜とか教えてもらえるととても嬉しいです。笑#YOASOBI pic.twitter.com/XM15xtEBcv— YOASOBI (@YOASOBI_staff) May 12, 2020
二次創作で広げてほしいと伝える
TikTokで使ったりInstagramミュージックスタンプももちろんですが、カバーなどの二次創作を通じてアーティストのことを知ってもらえるわけですし、こうやってオフィシャルに紹介することで、「自分も紹介してもらえるかも!」とカバー動画が増えて行きますね。
UGC(ユーザーが生成したコンテンツ)はなにより大事です。
【#夜に駆ける MV3,000万&THT2,000万突破記念】
ということで、少し久々にスタッフ独断で素敵なカバーをいくつか紹介させていただきます!
1,000万再生から2か月、ありがたいことに数もバリエーションも本当に増えてチョイスが大変…!このツイートにぶら下げていくので、ぜひご覧ください💫#YOASOBI pic.twitter.com/2rvvnIENuk— YOASOBI (@YOASOBI_staff) June 28, 2020
Billboard JAPANストリーミングチャート #夜に駆ける 5連覇、ありがとうございます!🌸🌸🌸🌸🌸
素敵なカバーやネタ動画(笑)なども日々見せていただいています!またどこかで紹介したいので、皆さんもオススメとかあれば教えてくださいね💫https://t.co/PIIsIoG6i8#YOASOBI https://t.co/7YFAPfJa5Z— YOASOBI (@YOASOBI_staff) June 24, 2020
ここまで実際の投稿を見てきましたがいかがでしょうか? さりげない投稿の中に明確なCTAが存在します。ファンにどうしてほしいかはっきりと伝えていることに気づかれたでしょう。
でも、そもそも何故こうなったのでしょう? もちろんアーティスト2人がSNSがとても上手なことに加えて、YOASOBIのオフィシャルアカウントを担当されている方が素晴らしいということはあります。
彼らの成功は各所で様々語られています。楽曲の良さ、タイミング、TikTok。そして私は他所ではあまり語られない1つの理由があると推測します。
それはスモールチームだということ。
彼らがストリーミング配信のリンクとして設定しているスマートURLは「orcd.co/」ではじまるURL。これはThe Orchardのリンクです。
【夜に駆ける 配信スタート!】
大変長らくお待たせしました!
YOASOBI「夜に駆ける」ダウンロード&ストリーミング配信開始!https://t.co/PIIsIoXH9G
これからもたくさんの皆さまの"夜"に寄り添う一曲になりますように。— YOASOBI (@YOASOBI_staff) December 14, 2019
The Orchardとは?
The Orchardは全世界に40カ所以上のオフィスを持つ大手音楽ディストリビューション会社です。SpotifyやApple Musicといった大手音楽配信サービスを始め、世界中の音楽サービスに向けて一括で音楽を届けることが可能なツールを提供しています。それだけではなく、マーケティングに関するフルサービス、シンクライセンシング、ビデオサービス、透明性を確保したデータ分析、広告、権利管理、デジタルとフィジカルのディストリビューションなども、全世界のアーティストやレーベルに提供しています。
インディペンデントのアーティストがストリーミング配信する際に使う、TuneCore型のような年間あたり一定の登録料を先払いして、Apple Music、Spotifyのような各配信サービス(DSP)からの収入を100%で受け取るサービスとは少し異なり、各配信サービス(DSP)からの収入のうち一定の手数料をディストリビューター側(The Orchard)が受け取り、残りをアーティストが受け取るビジネスモデルですね。中国のテンセントや韓国のMelonなどの、グローバルサービス(Apple/Spotifyのような)ではないローカルの配信サービスに対応していることが特徴ですね(参考:https://realsound.jp/tech/2019/08/post-404927.html)。
YOASOBIはそんなThe Orchardを活用し、スモールチームでアーティストの熱量を周りへ広げていくことに成功したのではないでしょうか。発信し、広げていくことをアーティスト自身が行い、オフィシャルアカウントを上手に運用。アーティストの叶えたいストーリーに、ファンが参加していく。熱量を周りがブーストしていく。誰かが流行らせてくれるのを待つのではなく、自分たちで輪を広げていく。
彼らのSNSには学ぶべきことが本当にたくさんあります。
アーティストの「聴いてください」は告知ではありません。ファンにどうしてほしいかを伝えるエンゲージメントポイントです。自身の口で、自分の作品を聴いてもらうため伝えましょう。
最後に私のお気に入りの投稿、YOASOBIコンポーザーのAyaseの投稿をご覧ください。
力を貸してほしいと伝える
「もっと多くの人に届けたい、広げてほしい 力を貸してほしい!」
これを言えるか言えないか、今必要なことだと思いませんか?
【🎉THANK YOU !!!🎉】
YouTubeのチャンネル登録者数20万人突破!
ありがとう!嬉しい…!
記念に、活動開始からこの1年半で投稿してきた楽曲の中からいくつかピックアップしてまとめてみました
もっと多くの人に届けたい、拡げてほしい
力を貸してほしい!https://t.co/EtMWVqjibR#Ayase #YOASOBI pic.twitter.com/bQrSkFRTXH— Ayase (@Ayase_0404) April 19, 2020
(松島 功)
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