ゆうめい『姿』MITAKA “Next" selection 20th
19/9/29(日)
ゆうめいは作・演出(過去作では美術も)の池田亮を中心に、実体験をもとに演劇をつくる団体。むき出しの、生々しい感情がぶつけられることも度々あって、観ている最中は痛みを感じることも少なくない。けれど観終わったときには、救いとまでは言わないけれど、どこかしらプラスの気持ちが生まれている。
演劇って、特に新作は観るまでどんなものかわからないというのが面白さでもあるし、デメリットでもある。手がかりになるのはチラシのビジュアル、タイトル、そしてわずかなあらすじ。今回ゆうめいの公式サイトを覗いてみると、『姿』のあらすじはわずか6行の文章。しかも1文が短い。それを補足するように「コメント」として少し文章が公開されている。次に「キャスト・スタッフの紹介」。それぞれのキャスト、スタッフについてどこ所属か、どんな団体に出演してきたかなどが添えられた一般的な紹介だけれど、池田自身もしくは近いスタッフの誰かが書いたであろう血の通った雰囲気がある。
さらに、「長めのコメント、もしくは創作ノート」としてちょっとした分量の文章が掲載されている。これがすごくいい。夜中に何がしかを思い出してワーッとなることは多かれ少なかれ誰にもあることだと思うけれど、その原因となるできごとについて、改めて相手にぶつけて、真相を探ろうとするって、できることではない。この人はそれをして、作品を作っている。それを知っただけで、この作品を観たい、と思う。余談だけれど、猫に対する愛情にも共感する。
人によって自作の紹介の仕方っていろいろあると思う。けれどこんな長文があることで、作り手のことがわかるし、ある種の信頼がおける。ゆうめいを知らなかった人も、ぜひ一度読んでみてほしい。
ちなみに、ゆうめいの作品にはよく池田の実父が出演している。今作にも出演するという。彼の風貌と演技が魅力的なので、ぜひ観に行った際には注目してほしい。
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