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工藤遥の“映画初主演”の感想、伊藤健太郎の“イメージ”は? 2人で振り返る『のぼる小寺さん』

リアルサウンド

20/7/6(月) 15:00

 元モーニング娘。OGの工藤遥が初主演を務めた映画『のぼる小寺さん』が7月3日より公開中だ。2014年より『good!アフタヌーン』(講談社)で連載された珈琲原作の同名マンガを実写化した本作は、クライミング部に所属するボルダリングに夢中な女子高生・小寺さんをきっかけに、“頑張ること”に一生懸命になれない若者たちが、自分の夢に向かって一歩踏み出そうとする模様を描いた青春映画だ。

参考:伊藤健太郎が撮影中にボルダリングに挑戦! 『のぼる小寺さん』貴重なオフショット公開

 リアルサウンド映画では、小寺さん役で主演を務めた工藤とそんな小寺さんに惹かれていく卓球部の近藤を演じた伊藤健太郎にインタビュー。お互いの印象から役作りまで語ってもらった。

ーー工藤さんは本作が映画初主演になります。最初に話を聞いたとき、率直にどう思いましたか?

工藤遥(以下、工藤):単純にビックリして、3回くらい聞き返しました(笑)。正直、撮影が始まるまで何かの間違いかドッキリかと思うくらいで、ありがたかったですし、すごくうれしいお話だったので、お話をいただいてからずっとワクワクしている状態でした。主演でやらせていただくこと自体すごいことですし、プレッシャーも大きかったんですけど、公開されてからもドキドキし続けるんだろうなと思っていました。

ーープレッシャーも大きかったと。

工藤:すごく大きかったです。(伊藤)健太郎さんをはじめ、いろんなところでお見かけする方々とご一緒できるのも驚きでした。ボルダリングに関しても、ちょっと大きめの公園にある子供用の遊具でしかやったことがなかったので、そもそも自分にできるのかという不安もありました。とにかく初めてのことだらけで、ずっと「どうしよう、どうしよう……」という感じだったのですが、とにかくがむしゃらに突き進んでいました。

ーー伊藤さんは今回の企画に関してどういう印象を抱きましたか?

伊藤健太郎:(以下、伊藤):近藤は、僕が今までやらせていただいてきた役柄とはまたちょっと違うタイプのキャラクターだったので、どういう作品になるのか、クランクイン前からワクワクしていました。原作漫画も自分があまり読むことのないジャンルの作品だったので、そういう意味でもすごく楽しみでした。工藤さんが演じる小寺さんがどうなるのかも楽しみでしたね。

ーー卓球の練習もされたんですか?

伊藤:かなり練習しました。「大丈夫だったかな?」っていうぐらい不安ではありますけど……。

工藤:全然やったことなかったんですか?

伊藤:やったことなかったね。

工藤:ええー! 全然そんな感じしなかった!

伊藤:ほんとに? ならよかったです。

ーーどれくらい練習されたんですか?

伊藤:クランクイン前に何回か練習させてもらって……最後の試合のシーンの相手の方が先生だったんですよ。

工藤:そうなんですね! 卓球のシーンも結構大変そうでしたよね。球数すっごい打ってて、「え、監督まだ止めないんだ!」って思ってました(笑)。

伊藤:そうそう! 監督がカットかけないんですよ。マジで……(笑)。本当に「嘘だろ……」っていうくらい(笑)。勝手なイメージで、卓球はそこまでキツくないだろうなっていうナメた考えだったんです。でも実際にやってみると、汗はビシャビシャになるし、脚もパンパンになるし……小刻みな横の動きとかもなかなかキツかったですね。作品自体は静かで穏やかな感じですけど、ボルダリングも卓球も奥底に熱いものがあるというか、シンプルに見えて意外と大変だったりするので、見た目こそ違いますが、その2つのスポーツが描かれているのもジワーッと効いてくるものがあっておもしろいなと思いました。

ーー工藤さんもボルダリングの練習は相当されたんじゃないですか?

工藤:ボルダリングジムに通ってめちゃくちゃ練習しました。最初は全然登れなくてどうしようと思っていたんですけど、本編でも履いているマイシューズを履いて練習するようになってから意識が変わったんです。ちょっとしたことでこんなに変わるんだというのを、やりながら実感しました。腕が太くなったり、指の皮がめくれたり、本当にクライマーの手になっていました。

伊藤:僕もちょっとやらせてもらったんですけど、結構体力いるんですよね。

工藤:そう、みんなつらい顔もせずにひょいひょいって簡単そうに登るんですけど、実際にやってみると本当にしんどくて。ボルダリングをやったことがある人が見たときに、嘘がない登りをしたいっていうのは、監督とも先生ともずっと言っていたんです。本当はダイナミックにやった方が見た目は派手なんだけど、地味な動きの方が難しいとかもあるので、ボルダリングをやったことがある人に説得力があると思ってもらえると、それはすごくうれしいですね。

ーー撮影が終わってからもボルダリングや卓球はやったりしているんですか?

工藤:ちょっとだけやってます。でも、少し登らないだけで全然登れなくなっちゃうんです。選手の皆さんは本当に大変なんだろうなと思います。

伊藤:僕は毎日行ってますね。卓球漬けの日々です(笑)。

工藤:いやいや、お忙しいはずなのに!(笑)

伊藤:たまに卓球台があるご飯屋さんがあったりするんですよ。友達とそういうお店に行ったときに、回転をかけたサーブをずっとやっていたんです。そしたら嫌われました(笑)。

工藤:あはははは(笑)。

伊藤:「ここでそういうことやるんじゃねーよ」って(笑)。

工藤:“温泉卓球最強”みたいな感じですね(笑)。

ーー役づくりの話も聞かせてください。伊藤さんは今回の近藤のように、内面にモヤモヤしたものを抱えたキャラクターを演じることが多いと思うのですが、ご自身の中で何か演じる秘訣みたいなものはあるんですか?

伊藤:僕はキャラクターごとに全然違う人物として捉えているんです。たしかに共通点があって似ているところもあると思うんですけど、行動を起こすための燃料がそれぞれ違うものなので、特に秘訣みたいなことはありません。ただ、周りにいる人との距離感はすごく大事にしています。

ーー作品や演じるキャラクターによって変わってくると。

伊藤:自分で変えている意識はないんですけど、たとえばAという人物がいたら、なんでAがその言葉を言ったのか、なぜその行動を起こしたのかという根っこの部分を考えるようにしています。

ーー今回、自身の経験や実体験とリンクする部分はありましたか?

伊藤:近藤に関しては全然ないですね(笑)。

工藤:健太郎さん、もっと陽っぽいですもんね。

伊藤:うん。似ている部分はほとんどないかもしれないなぁ……。でも、最終的に近藤が目の前にあることを頑張ってみようっていう感覚はすごくわかる。僕もこのお仕事を始めさせてもらったときは、大してやりたいこともなく、ずっとバスケをやっていたんです。結構頑張ってはいたんですけど、それは部活レベルで、別にそれを仕事にしようとは思っていませんでした。そんなときに今の芸能のお話があって、そっちに興味が湧いたので、始めてみることにしたんです。そういうかたちで、徐々に頑張ってみようかなという最初のきっかけはあったので、そういう意味では近藤と共感する部分はありました。

ーー工藤さんはどうですか?

工藤:小寺さんがひとつのことに集中してやってきたところは、私とも少し似ているかなと思います。私もこのお仕事を始める前って、遡ってみると水泳しかやっていなくて。子供ながらに将来は水泳選手になりたいと思ってずっと頑張ってきた中で、芸能界の世界に入ることになりました。この20年の人生で思いつくことはこの2つくらいしかないので、これと思ったものに向かっていくところは自分とも重なる部分でした。

ーー映画にドラマに引っ張りだこの伊藤さんから見て、今回映画初主演を務めた工藤さんの姿はどのように写りましたか?

伊藤:いや、今の今まで初主演だとは思っていなかったんです(笑)。そういうことをまったく感じさせないくらい堂々とされていましたし、ボルダリングチームとの感じを見ていても、現場の雰囲気をすごく盛り上げていましたし、単純に「すごいな」と思って傍から見ていました。完成した作品を観ても、工藤さんの演じ方はとても素敵だなと思いました。

工藤:ありがとうございます! 私、最初は伊藤さんのことをもっと怖い人なんだと思っていたんですよ(笑)。

伊藤:はっはっはっ! よく言われる(笑)。

工藤:だから、なんかちょっと構えていたんです。でも、全体を俯瞰で見ながら気遣ってくださって、すごくフランクに接してくれました。でも、現場は当時18歳~19歳ぐらいのメンバーが多くて、健太郎さんだけ年上だったので、下の世代とどう接していいかわからなかったんですよね?(笑)

伊藤:正直、インするときは結構ドキドキしましたよ(笑)。これまで年上の方と共演することが多かったので。年下といってもそこまで下とは思っていなかったですけど、同年代の子たちがいっぱいいる現場で、「どうすればいいんだろう」というのはありました。

工藤:でも、そうとは思えないくらいたくさん声をかけていただきました。1番最後の大会のシーンは、登るカットも多いし、私の体力的な面も含めてどこまで持つかという問題もあって、ギリギリの中で撮ったんですけど、後半しんどくなってきたときに、健太郎さんから「これ終わったらアイス買ってあげるから頑張れ!」って喝を入れてもらったんです。なので、「健太郎さんにアイス買ってもらお!」と思って頑張りました(笑)。

伊藤:(笑)。ボルダリングチームはボルダリングチームで空気が出来上がっていたから、僕は黙々と卓球の練習をしていましたね。「みんな仲良くていいなぁ」と思いながら(笑)。

工藤:たしかに入る隙を与えないくらい出来上がってる感はあったと思います(笑)。同世代が集まっているというよりも、単純に自分たちもボルタリングにハマっていたんです。カメラが回っていないときも登り続けていて、ボルタリングの話ばかりしていたので、そういう意味でも入りづらい感じがあったんだと思います。

伊藤:そう、「あれがこうで、こうやって……」みたいな話で、何言ってるのか分からないんですよ(笑)。「ボルダリングシューズ以外で登らないでください」という、実際に劇中で出てくるセリフをそのまま体現したような感じでした。

ーー演じられた近藤とマッチする部分もあったようですね。

伊藤:そうですね。遠くからみんなのことを見てました(笑)。結果的にはみんな優しく迎え入れてくれましたけど、距離感的にはそういう役とマッチする部分もあってよかったです。

工藤:でも、健太郎さんには本当に助けていただきました。今回こうやって共演できて、すごくうれしかったです。(取材・文=宮川翔)

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