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The 1975、アルバム『Notes On a Conditional Form』へ寄せる期待 先行配信曲から感じたバンドの底知れなさ

リアルサウンド

20/1/31(金) 7:00

 今まで、4月24日リリースの新アルバム『Notes On a Conditional Form』から3曲を先行配信してきたThe 1975。それらはアクティビストのスピーチをフィーチャーしたものや、ポストパンク、UKガラージと、どれも異なる音楽性の楽曲であった。そして、1月16日リリースの新曲「Me & You Together Song」でまたも他の先行配信楽曲とは異なる一面を見せつけた。

The 1975『Notes On a Conditional Form』

 同アルバムは前作『A Brief Inquiry Into Online Relationships(ネット上の人間関係についての簡単な調査)』との連作となっており、2作品で「Music For Cars」と称している。「Music For Cars」は、2013年に彼らがリリースした同名EPとはまた異なり、連作2作がリリースされた時期を意味する言葉なのだという。「Music For Cars」=「車の中で聴く音楽」が表しているのは、UKガラージやパンク、インダストリアル、ギターポップなど、彼らがバーなどに行けなかった思春期の頃に車の中でひたすら聴いていたような、ルーツとなる音楽を自分自身で再現するような作品であるということだ。そして、以前から、3部作(『THE 1975』、『I like it when you sleep, for you are so beautiful yet so unaware of it(君が寝てる姿が好きなんだ。なぜなら君はとても美しいのにそれに全く気がついていないから。)』、今作と『A Brief Inquiry Into Online Relationships』から成る「Music For Cars」)でThe 1975の一つの時代を終えるとフロントマンのマシュー・ヒーリーは言及しており、『Notes On A Conditional Form』で「Music For Cars」の完結とともにバンドとしても区切りを迎えることとなる。

 これらのことからバンドとして最も重要な作品となると言っても過言ではない『Notes On a Conditional Form』。同作への期待を込め、先行楽曲はいったいどのような楽曲であったかを振り返る。

「Me & You Together Song」……原点回帰のギターポップ

 先日先行配信された楽曲「Me & You Together Song」はThe 1975初期や、前身バンドでありThe 1975とは別のプロジェクトでもあるDrive Like I Doを思わせる、純粋な恋心を綴ったくすぐったくなるようなギターポップ。楽曲に関して、マシュー・ヒーリー自身も各メディアやSNSでDrive Like I Doのような曲と言及している。また、同シングルのメインビジュアルはThe Smiths、Radiohead、Sonic Youth、Joy Divisionなど彼らが影響を受けたであろうロックミュージシャンのポスターが印象的で、彼らが少年の頃に戻ったようなバンドの原点回帰を思わせる。

The 1975 – Me & You Together Song

「The 1975」……環境活動家グレタのスピーチをフィーチャー

The 1975「The 1975」

 The 1975のアルバムにおいて必ずオープニングとなる「The 1975」というタイトルの楽曲。前作までの「The 1975」は〈Go Down-〉から始まる同様の歌詞で統一されていた。しかし、『Notes On a Conditional Form』に収録される今回の「The 1975」は、アンビエントなストリングスのサウンドにスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリのスピーチをフィーチャーしたもの。前作にも歌メロのない、マシューのモノローグとインストからなる「The Man Who Married A Robot / Love Theme」という楽曲が収録されていた。同曲は、ネット上に漂流する一人の寂しい男の物語で、前作のアルバムテーマの核をなすようにも思える楽曲であった。対して、今回の「The 1975」は気候変動に対する人類への問題提起と呼びかけが主となっており、同じスポークンワードからなる曲でも、“ネット上における一人の男”という大変私的な領域で語られていたものから、“人類に対する問題提起と呼びかけ”という限りなくパブリックな領域へと拡大している。また「The Man Who Married A Robot / Love Theme」は、ここで語られる架空の人物のFacebookページへとアクセスすることができ、追体験ができるような仕掛けがある。この仕掛けによって行きつく先はあくまで孤独だ。それとは対照的に、グレタのスピーチをフィーチャーした「The 1975」は、収益が環境団体へ寄付され、楽曲を聴いている私たちも間接的に環境保護活動という社会的な行動に参画できる。

The 1975「The 1975」

「People」……バンド史上最もパンクな曲

The 1975「People」

 昨年8月にリリースした「People」はThe 1975史上最も激しくヘヴィーなポストパンクチューン。MVではマシューがマリリン・マンソンを想起させるゴシックな服装に身を包み、リスナーを驚かせた。同曲は『Notes On A Conditional Form』においてオープニングナンバー「The 1975」に続く楽曲となっており、グレタの〈It is time to rebel.(今こそ反抗する時だ)〉という言葉から、マシューの〈Wake up, wake up, wake up,(起きろ!)〉という激しい叫びへと続き、楽曲の前後でつながりが見える。マシューは同曲リリース前のNMEによるインタビューで「今までで1番パンク」と語っており、小さい頃に影響を受けたハードコアサウンドとしてConvergeやMinor Threatを挙げている。

The 1975 – People

「Frail State of Mind」…社会不安を歌うブリティッシュな楽曲

The 1975「Frail State of Mind」

 2019年10月リリースの「Frail State of Mind」は、ブリアルやジョン・ホプキンスなどの音像を感じさせるUKガラージのサウンドに乗せて社会的な不安を歌った楽曲。フローや韻律、電話と関わる歌詞など、前作『A Brief Inquiry Into Online Relationships』収録の「TOOTIMETOOTIMETOOTIME」とリンクする部分が多い。また、不安に満ちた社会に向ける楽曲の感情は違えど、〈I don’t like going outside.(外へ出たくない)〉と歌う「People」とも“社会的な不安”というテーマのもと、つながりを見出すことができる。

The 1975 – Frail State Of Mind

 これまでも様々な音楽性の楽曲を発表してきたが、先行配信曲はそのどれもが異なる音楽性を持っており、今まで以上にアルバムの全体像が掴みづらい。しかし、The 1975にとって大きな区切りとなる次作アルバムが、「これまででもっともヘヴィで、もっとも柔らかい、二面性のあるものになる」(Rolling Stone Japan)とマシューが語るように、彼らが今できる全ての音楽を詰め込んだような作品になることは間違いないだろう。The 1975の底は知れない。

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