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朗読劇『クローバーに愛をこめて』高本学×山下七海インタビュー

ぴあ

高本学×山下七海  撮影:塚越淳一

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11月6日と7日に浜離宮朝日ホール・小ホールで行われる朗読劇『クローバーに愛をこめて』(作・演出:大浜直樹)。この朗読劇は、舞台『刀剣乱舞』など2・5次元の舞台で活躍する俳優の高本学と、『おそ松さん』や『鬼滅の刃』などに出演している声優の山下七海が声で紡ぐ、愛の物語である。

幼馴染である英雄と愛美が幼少期に出会い、小学、中学、高校と過ごし、やがて結婚し子どもが生まれる……2人の人生を日記を読むような形でそれぞれの視点で紡いでいく朗読劇。その物語に触れた感想、そして、それぞれの子どもの頃を振り返ってもらった。

英雄として違う人生を歩むことで、自分の人生も豊かになった感じがしました

ーー朗読劇にはどんな印象を持っていますか?

高本学(以下、高本) 僕は基本的に2.5次元舞台と言われる、アニメや漫画を原作にしている舞台によく出ているので、朗読劇はあまり経験がないんです。舞台では身体表現をしながら芝居をするのですが、朗読は、声の心地よい音色とか体に頼らずに感情を伝えるのが魅力だと思うので、それを最大限引き出していければいいなと思いました。僕の場合、演じながら手とかが動いてしまうんですけど、それも役者がやる朗読劇の見せ方なのかなと思うので、自分なりの表現ができればいいですし、それが山下さんの表現と合わさることでいい化学反応を起こせば、すごく面白い朗読劇になるのではないかと思います。

ーー声優と朗読の違いというのもありますか?

山下七海(以下、山下) 声優は顔が出ないところでお芝居をするので、頭の中ではキャラクターと同じように動いているんですけど、声だけのお芝居ではまた違ったスキルや表現方法が必要とされるところがあると思います。逆に私は舞台の経験があまりないんですけど、他の人がセリフを言っている間も、そのキャラクターとして生き続けることがすごく新鮮だったんです。目線ひとつひとつに意味があって、そのすべてを見られている状況が、私にとっては難しい印象がありました。だからそれをいつも経験されている高本さんと一緒に朗読させていただくことで、私もいい刺激を受けながら一緒に読めたらいいなと思っています。

ーーそれぞれの良さが生きるところが朗読劇にはあるかもしれませんね。本の読み合わせをされたそうですが、そこではアプローチの違いのようなものを感じましたか?

高本 違和感があることもなく、すごく心地良い音色だったので、新しい感覚でお芝居することができて面白かったです。普段演劇でセリフを掛け合うときは正面で真っ当に向き合ってやるんですけど、朗読の場合は正面(客席側)を向きながらセリフを言い合ったりするので、また違う魅力があるんですよね。そうしながらも、お客さんにすべての感情をもらっていただけるように作り上げることは難しいところであり楽しみなところでもあるので、やりがいを感じています。

山下 お芝居をしている意味ではいつもと変わらないことだったので、普段舞台をやっている方だから違和感があるとかは私もまったくありませんでした。これから一緒に作っていくことを想像して、ワクワクしながら本読みをさせていただきました。

ーーそうなると、あまり変わらないのかもしれないですね。

高本 発声の仕方とかがもしかしたら違うのかもしれないですけど、お芝居をするという意味では一緒なのかなと思います。

観た方が愛美に寄り添いたいと思うシーンはいっぱいある

ーー今回の朗読劇『クローバーに愛をこめて』は、幼馴染の英雄と愛美の出会いから結婚、そして添い遂げるまでを描いた物語なのですが、台本を読んだ感想を教えていただけますか?

高本 僕はすごく感動しました。台本を読むときは基本的に声を出しながら読むんですけど、初めのほうから涙が出てきてしまって……。すごく感情移入できる本ですし、お客さんにもその感情が伝わりやすい内容になっていて、クスッと笑えるところもあるので、観ていて飽きないと思います。

僕はこの主人公たちの半分くらいしか生きていないですが、希望に満ちた内容になっているんですよね。これからいろいろなことが人生にあるんだろうなって。英雄として違う人生を歩むことで、自分の人生も豊かになった感じがしました。

山下 幼馴染という近い存在なんですけど、英雄ちゃんと愛美の生き方が全然違っているんですよね。ひとつのことに全力で向かっていく英雄ちゃんと、いろんなものに向き合いながら時に苦しんだりしている愛美。このふたりがどうなっていくのかは、ラブストーリーという意味でもそうですが、人生として考えさせられました。みんなどこかに共感ができるような本になっているので、観て聞いてくださる方も、気持ちがわかるシーンがたくさんあると思います!

ーー演じている役柄について、教えていただけますか?

高本 英雄は真っ直ぐで、いつまでも純粋な少年のような人間なんです。物語は5歳から始まるんですけど、愛情もちゃんと知っていますし、愛美と過ごす時間の大切さを経験してオトナになっていく姿がキラキラ輝いているんですね。今回朗読することによって、山下さんが演じる愛美からさまざまな感情を受け取りながら、役が芝居中に進化していけば、より英雄に近づけると思うし、その感情の交換が楽しみです。でも実際、これだけ真っ直ぐで行動力のある人はなかなかいないと思います(笑)。だからこそ憧れるし、魅力的な人間だと思うので、そこは最大限引き出していきたいなと思います。

山下 愛美は英雄ちゃんとはうってかわって人間味のあるキャラクターです。人生の中で苦しいことも幸せなことも経験していくのがわかりやすく書かれているので、誰しもが抱えている「こういう気持ちあるよね」というのを表現しているのが愛美だと思っています。好きなことに突進していける英雄ちゃんが本当に羨ましいし、そういう存在が近くにいる愛美はどう感じているんだろうと私も思うんですよね。そのほかにも、観た方が愛美に寄り添いたいと思うシーンはいっぱいあると思います!

ーー英雄はある意味ヒーローであり、愛美はいい意味で普通というか、すごく共感できるキャラクターだなと思いました。

山下 そんなにキラキラできないよ!って英雄ちゃんを見ると思ってしまいます(笑)。

“幼馴染み”のふたりは基本的に報われない?

ーー作品では時間がどんどん過ぎて成長していきますが、これはどのように演じていくのでしょうか?

高本 今回は日記のような感じで、小学生になったとか中学生になったと台本にも書いてあるので、そこはお客さんにも伝わりやすいのかなと思います。だから、その年齢になったという違いも芝居で見せられたらと思っています。

ーーどこかの地点から振り返るとかではなく、そのときの年齢で読み進めていくのですね。

高本 そうですね。5歳から始まるので、5歳のときは5歳の読み方になるので、年齢によって読み方は変わってくると思います。

ーー高本さん的には、幼少期が大変ですよね。

高本 そうなんですよ! 嘘っぽくならないようにとかはいろいろと考えているのですが、そこは振り切って、5歳からやるのがいちばんなのかなと思っています(笑)。声変わりもしていますからね……そこは課題だと思って頑張っていきたいです。

山下 5歳って、アニメの場合はだいたい女性が声をやりますからね。そういう意味では大変だと思います。

ーーあとは自分の年齢を越えてから、結婚、出産と続いていくので、そこも難しそうです。

山下 私は、母性を表現できるかがキーになってくるんだと思います。母性……ないような気もするんですけどね(笑)。猫ちゃんを飼っているので、その子に対する母性はありますけど、自分の子供ってまだイメージができていないから、稽古までにイメージを膨らませて挑もうかなと思います。

ーー今回、幼馴染というキーワードも出てきましたが、幼馴染にはどんな印象がありますか?

高本 アニメとかではよく幼馴染って設定、ありますよね?

山下 でも基本的に報われないですけどね(笑)。現実はどうなんだろう。

高本 現実もそうじゃないですか。幼馴染同士で結婚するって、なかなか聞かないですから。

山下 確かに結婚している人とかはいないかもしれないですね。

高本 でもいいなとは思いますよね。オトナになっても仲良くできている幼馴染がいるとか、自分のことをずっと知ってくれている人がいるのって、すごく安心感があると思います。

ーーでも実際は、引っ越しとかのタイミングで疎遠になってしまいますよね。

高本 そうですね。どこかのタイミングで会わなくなったりしてしまいますよね。でも僕からしたら理想ですよ。幼馴染の人と好きで結婚しようってなるのは。

山下 私、現実に幼馴染はいるんですけど、英雄ちゃんのキャラクター像からはかけ離れているんですよね(笑)。でも昔の経験は参考にしつつ、朗読に活かそうとは思っています。

俳優と声優、ふたりのいい化学反応がうまれれば

ーー朗読劇では幼少期の話も出てきますので、作品に絡めつつおふたりの幼少期のお話を伺ってもいいでしょうか?

高本 英雄と絡めるのは難しいなぁ(笑)。でも小学生の頃は活発だったので、英雄ちゃんに近かったです。小学生の男の子って無防備というか、やたら高いところから飛んでみたりしますよね? あと、無理だろ!っていうような小さい穴をすり抜けられるかチャレンジしたり、触ったらダメと言われている危ないものを触ってみたり……だから小学生の頃はよく怪我をしていました。でも中学生になってからは、おとなしくなったんですよ。友だちもそんなに多くなかったので、地味な中学生で、そこからは落ち着いた学生時代だったかなぁと思います。

ーー中学生から落ち着いてしまうのは早いですね。

高本そうなんですよ。小学校を卒業したくらいで、物事がちゃんと見えるようになったというか、考えられるようになったんです。危ないことには挑戦しないとか(笑)。小学生の頃は怪我ばかりして、あんなに親に迷惑をかけたのに。

山下 私はどうだったかなぁ。四つ葉のクローバーは探した記憶がすごくあります! 男の子はあまりしないのかな?

高本 探しましたよ。

山下 そうですよね! 小学校1~2年だったと思うんですけど、学校のこのあたりにあるらしいよって噂があって、放課後にみんなで探しに行ったりしました。それで見つけて、連絡帳に挟んで先生にプレゼントをしたり、そういう経験はあります。そんなふうに私も小学生までは外で遊ぶことが多かったです。逆上がりの練習をしたり、クラスで絶対にいちばんにできるようになる! と思っていたので、縄跳びの二重跳びも誰よりも練習したり、活発だったと思います。

ーー山下さんはいつ頃落ち着いたのですか?

山下 私もやっぱり中学生の頃ですかね。吹奏楽部に入って、周りが女の子ばかりだったので、校庭で走り回ろうみたいな感じにならなかったので、そのあたりから落ち着きました。

ーー愛美はピアノをしていますし、おふたりの幼少期の経験が朗読劇に活かせるのではないかと思いました。では最後に、読者へのメッセージをお願いします。

高本 素晴らしい内容の本になっていますし、観ている人にいろいろな感情を受け取って帰っていただけるような朗読劇になると思います。山下さんと初めて朗読劇をやらせていただくので、そこでいい化学反応が生まれ、観ているお客さんがこのふたりで良かったねと思っていただけるような内容になるよう稽古をしていきたいと思っていますので、ぜひ劇場に足を運んでいただけると嬉しいです。

山下 英雄ちゃんというキャラクターも愛美というキャラクターも、素直なところが似ていると思うんです。生き方は全然違うんですけど、そういう素直なところに聞いてくださる方は胸を打たれるのではないかと思うので、私も素直にお芝居をしたいと思っています。高本さんとは「はじめまして」での朗読になるのですが、普段俳優さんと関わることもないので、良い刺激を受けながら頑張っていきたいと思っていますので、楽しみにしていてください。



取材・撮影・文:塚越淳一



朗読劇『クローバーに愛をこめて』
2021年11月6日(土)、7日(日)
会場:東京・浜離宮朝日ホール・小ホール
出演:高本学、山下七海
http://nemeton.jp/clover/

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