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縦横無尽にジャンルを駆け巡るどんぐりずの音世界に迫る

ぴあ

どんぐりず

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FMラジオ局J-WAVE(81.3FM)の新番組『PIA SONAR MUSIC FRIDAY』(毎週金曜22:30〜23:00)。 この番組は、月曜〜木曜22:00〜24:00にオンエア中の『SONAR MUSIC』と連動したミュージックプログラム。“今、聴くべき音楽”にフォーカスして、最新の楽曲や注目のライブイベントなど、番組独自の視点で最新の音楽情報を紹介。

今回登場するのは、7月7日にグルーヴィで夏にぴったりのシングル「ベイベ」をリリースした、どんぐりずのふたり。群馬県桐生市を拠点にし、幼馴染ふたりで作るサウンドはとにかく多彩で遊び心に富んでいて、ポップスからソウル、エレクトロ、ときにはメタルからボサノバまで縦横無尽にジャンルを駆け巡る。それぞれの肝は押さえつつ、遊び道具として自由な発想で新しい遊びや音楽を発明している感覚が面白い。その自由なマインドやユーモアが心地よいラップにも活きて、クセになるキャッチーさがあるふたりだ。今回はそんなふたりを育んだもの、そして今年から制作がスタートした“4EP”シリーズ、新作「ベイベ」についての背景を聞いた。

──ふたりは幼馴染で中学くらいから一緒に活動をしているそうですが、スタートはどんな感じだったんですか。

チョモ:実家がめちゃめちゃ近くて、遊んでいたらこんな感じになりました。チャンバラごっことかそういう流れで、弾き語りごっこになったので。

──学生時代は、バンド編成になったりもしているんですよね。

チョモ:そうですね。ふたりで弾き語りをやっていたんですけど、高校生になるとバンドをやりたくなる現象があるじゃないですか。その現象に則りまして──。

森:(笑)。

チョモ:友だちのバンドマンをふたり追加して、バンドをやってました。

──バンドはどうでしたか。

森:うーん、ダルい? 集まるのがダルくて。

チョモ:みんなで演奏するのは、楽しいは楽しいんですけど。ただ、向いてなかったですね、バンドは。

──小さい頃からのグルーヴ感で、ふたりの世界ができあがっていたんでしょうね。まさにどんぐりずの音楽を聴いていて思うのは、クラスの友だち同士でわちゃわちゃしているのがそのまま音になったみたいな、遊びの延長にあるのを感じます。音楽的なところではどういうものが影響していると思いますか。

チョモ:俺は、楽器を演奏するのが好きで。極めたりとか上手っていう感じではないんですけど、いろんな楽器から音を出してみたいというタイプなんです。

森:俺はヒップホップですね。ラップが好きだから、ケンドリック・ラマーとか結構影響は受けています。

──いろんなタイプのサウンドがありますが、トラック制作はどのようにやっていくんですか。

チョモ:トラック作りは、方向を定めるのは一緒にやって。俺がパソコンを持っているので細かい部分は俺が作るんですけど、どんな曲にするかとか、ある程度形ができた後にさらにどうするかは一緒に考えている感じですね。

──そのアイデア出しではどんなフレーズが飛び交っているんですか。

チョモ:“夏っぽいのがいいね”とか。

森:“昼に聴きたい曲”とか“ドライブで聴きたい曲”とか、そういうテーマではじめて。

チョモ:あとは、“もっとタテ(ノリ)でいこう”とか。

森:そういうニュアンスが多いです。

──2018年にリリースした2ndアルバム『愛』では、アルバム1枚のなかでいろんなことやっていましたね。ジャンルも、メタルもあればボサノバもあって、祭りの音楽もあってという、この自由度の高さは一体何なんだというのが面白かったです。

チョモ:あのアルバムはコンセプト系なので、さっきの話でいうと『愛』を作ってるときのふたりでのコンセプト決めのときは、“ボサノバを作ろう”とか“メタルを作ろう”という具体的な感じで会議をしていたんです。最近はニュアンスの話しかしないみたいな感じですね。

──ボーダレスにいろんなところにいける音楽的なフットワークであるとか、自由でいいんだっていうものを作り上げてきた根っこの部分は、自分たちではなんだと思いますか。

森:難しい……。

チョモ:これが面接だったら落ちるかも(笑)。……型を追求している人たちもいるじゃないですか。ロックやジャズの世界の奥深さを、多分俺は全然知らないんですよね。ある、ということはわかっているけど、自分はそこに全然到達していなくて。ふたりとも多分、飽き性というか。次のテーマに移るスピードが早いんです。だからインプットにしても、それぞれのフォーマットを自分が噛み砕いた部分だけを吸収しちゃっているから。

森:うん、いま完全に答えたね。

チョモ:この面接受かりました(笑)。

森:たしかに、飽き性なところはありますね。ふたりで曲の会議をして、一週間くらい経ったらその会議をしてまとまったやつがお互いバラッバラのところにいってることがあるんです。こいつ(チョモ)は、ゆったりめでいこうって言って、そういう音楽をインプットしてゆったりめのマインドになったときに、俺がめっちゃパンクロックみたいの聴いちゃって。こいつの家に頭振りながら行って、「タテ(ノリの)作ろうぜ!」っていう(笑)。でも、こいつは完全にチルモードに入ってて全然合ってない、っていうのがたまにある。

チョモ:それで制作が前に進まないっていうこともありますね。

──そういうときは一回、その曲は置いておくんですか。

森:全部チャラにして、とりあえず遊んでから決めるみたいな。

──そのとりあえず遊んで、のところ大事ですかね。

森:超大事です。

──バンドのメンバーがついていけなくなったように、ふたり独特の感じがそこにあるのかもしれない(笑)。

チョモ:でもあのときは、そういうことでもなかったんですよね。当時はお笑いに熱中してたので、音楽の世界でメンバーを置いていったというよりは、ふたりでふざけすぎて置いてっちゃったんですよ。

森:なに言ってるの、こいつらっていう感じだったよね。

──ということは、どんぐりずにお笑いの路線もあったという感じですか。

森:最近どぶろっく見たときに、こうなってたんじゃねえかって思いました(笑)。

──そこから音楽に、となったのは何が大きかったんですか。

チョモ:このままだったらどぶろっくになるなって。

森:はははは(笑)。お笑いより音楽の方がやっぱり好きだなってなって。

チョモ:音楽の方が面白いなってなりました。

自分たちで決めたルールを守るのは大事ですけど、それを曲作りのなかでやろうとすると、“作業”の曲作りになっちゃう。それは、良くないなと

──今年に入って、ジャンルの異なる4作のEPをリリースするというプロジェクト“4EP”がスタートしました。2月に「Dance」をテーマにした第1弾『4EP1』がリリースされましたが、どういう経緯で4作で出そうとなったんですか。

チョモ:もともとアルバムを作ろうという話があったんだけど、なんのアルバム作ればいいんだろう?ってなっていて。EPだったら、ある程度方向性を絞って、狙いをつけて4パターンに分けられるんじゃないかって。そしたら、以前の『愛』というアルバムのようないろんなジャンルがあるものができるんじゃないかと思って。4つの雰囲気に分けたEPを作ろうとなっていたんです。で、この間2枚目『4EP2』(8月18日リリース)ができたんだけど、もう当初のコンセプトとは違って。

森:遊びすぎた。

チョモ:最初はざっくりした音楽ジャンルで考えていたんです。

森:最初に決めたテーマがアフロビート系、レゲトン系で。

チョモ:そういう夏っぽい雰囲気で、熱くやろうかなと思っていたんです。1枚目『4EP1』がダンスミュージック系だったので、電子音楽とは逆のものという感覚で作っていこうと思っていたんですけど。あまりうまくいかなくって。それで遊びまくってできたのが、今度の2枚目です。

森:その遊びまくったのが逆によかったみたいな。完全にノリで作った感じが、意外とまとまったなと思って。

チョモ:結果4枚がどうまとまるかまったく想像できないんだけどね(笑)。でもあまり最初に決めて作るのは、意味ねえなと思って。とりあえずノリで曲作って、あとで選別なりをした方がいいかもって、2枚目で気づきました。

森:遊んだおかげだよね(笑)。

──最初にゴールがあるのがあまり面白くない感じですかね。

チョモ:縛られると、ダメなんだなっていうのがすげえわかった。

森:楽しくなくなっちゃう。

チョモ:自分たちで決めたルールを守るのは大事ですけど、それを曲作りのなかでやろうとすると、“作業”の曲作りになっちゃうから。それは、あまり良くないっていうのは、ありました。

「その“遊びてえ”って、ちょっと連続で言ってみて?」って言って。

──7月7日には配信シングル「ベイベ」がリリースとなりました。こちらはこれまでとまたテイストがちがう、80年代のソウル、ファンクっぽい匂いがするトラックですね。

チョモ:そうですね。これは森からのアイデアで。

森:俺がめっちゃファンキー気分になっちゃって。

チョモ:俺がこういう、P-FUNKみたいなのを全然聴いてなかったから。あの、スネアのクラップがわざとらしいくらいに効いてるような感じの。

森:パ〜ン!っていう感じのね。

チョモ:あれどうやんの?ってずっと思ってたから。めちゃめちゃ聴き込んで、自分なりになんとなくわかった、この感じねっていうのがこの曲で。

──森さんはソウルミュージック、ファンクはいろいろ掘っているんですか。

森:掘っているというほどではないんですけど、アンダーソン・パークとかがめっちゃ好きで、そこから例えばアンダーソンパークが聴いているプレイリストとかを聴いてめっちゃいいバイブスだな、かっけえと思って。それで1カ月くらいめっちゃ聴いちゃって。それで完全に押し付けたよね、「これ聴け」って3枚くらいアルバムを言って。で、そのバイブスにさせるっていう。

チョモ:これに関しては、完全に俺がトラックメイカーだったからね。

森:ナイスサウンドだったよ。

──森さんからの宿題をこなしましたね(笑)。

チョモ:マジで宿題だった。森がめっちゃ影響を受けたバディっていうラッパーがスヌープ・ドッグをフィーチャリングした、「The Blue ft. Snoop Dogg」という曲があって。そこからスヌープ・ドッグの方にいったんですよ。スヌープ・ドッグがやってるP-FUNKというか、ギャングスタラッパーがやってるからG-FUNKっていうか。

森:『BUSH』(2015年)ってアルバムがめっちゃ好きなんです。

チョモ:その感じが森の言う方向性だったから、それを聴いたんですけど。イントロがほぼ全部同じみたいな感じで──。

森:5曲連続くらいで。

チョモ:かなり面白いアルバムでした。

──この「ベイベ」では、森さんはこの音をフィーチャーしてほしいっていうのはあったんですか。

森:俺はスネアと、ドライブしてる感というか、気持ちいい!っていう感じ。ってニュアンスしか伝えてないけど(笑)。

チョモ:それを音にしなきゃいけない(笑)。

──そこから歌詞はどうつけていったんですか。

森:俺は大体フロウから作るんですけど、最初にドドドゥン、ドドドゥン、ドドドゥンっていう感じで入れたら乗るんじゃないって言って作ったんですけど、最初はトラック自体が今の音になってないから、なんか臭っさみたいになったんだよね。それでいろいろ音を足したり抜いたりしていったら、めっちゃいい感じになって。トラックがいい感じになったら、歌詞を考えていってという流れで。それでなんとなく、“遊びてえ”ってなって。

チョモ:「その“遊びてえ”って、ちょっと連続で言ってみて?」って言って。

森:それがめっちゃハマって、最高でしたね。遊びてえ、遊びてえ……遊びてえな、パーン!ってクラップを入れて。それも完全にノリでしたね。

チョモ:遊んでたね。

森:で、80’sっぽいラップも入れちゃおうみたいになって、そのまま流れでできちゃいましたね。

──これまでの曲もそうですけど、トラックがめちゃくちゃかっこいいしクールなんだけど、のってる歌がユルい感じだったりユーモアがありますね、そこのギャップは大事にしてるんですか。

チョモ:してない……というか。

森:考えてないですね。たまたまそう感じてもらえるからっていうもので。ただ、俺のなかでは基準はあるんだと思う、フロウにしても。その基準というのも、いちばんしっくりきたり、自分のなかでしっくりきたら、OKサインで。その感じが、そう感じ取ってもらえているのかなって思ってます。

──これを言ってやろうみたいなことから生まれるものっていうのは?

森:リリックで何か言ってやろうというのはないですね。出てきたものを、いちばん気持ちいい感じの言葉を詰め込んでやってるという感じなので。だから歌詞で例えば、「こういうところに感動しました」って言われても、俺全然覚えてないんですよね、それを出したときを。

チョモ:(笑)。

森:これ気持ちいいっていうのをチョモんちでレコーディングして、音と交わったときに、イエーイっていう。

チョモ:曲でやってやろうみたいな感覚は、ちょっと俺のなかではありますけどね。ここでこういったらヤバいなみたいな。例えば、キック、スネアを抜くだけで、次のサビがアガるとかってあるじゃないですか。それで、やってやったぜという気持ちになることはありますけどね。

森:流れがいい、曲の流れと音、響きがしっくりくるかこないか。それしか考えてないから。リリックは気持ちよければなんでもいいというスタイルですね、ずっと。

──なるほど。「ベイベ」もまた、そんなふうに気持ちよく聴いてもらえればと。 チョモ:「ベイベ」は、曲としてはかなりポップだと思うんですよね。やってやろうとかしめしめみたいなのも少なからずあるんですけど、例えばヒップホップ好きとかジャズ好きとか、そういうニッチな層に向けてちょっとかましを入れるみたいなことはあまりしてないというか。みんなに聴いてもらえる感じにしてるんです。超どストレートみたいな。

森:どストレートだけど結構ニッチな層にも響いてると思う。でも、ノリで聴いてほしいですね。

Text:吉羽さおり Photo:吉田圭子

■リリース情報
どんぐりず 配信シングル「ベイベ」
配信中
配信リンク:https://jvcmusic.lnk.to/dongurizu_baby

どんぐりず EP『4EP2』
2021年8月18日(水) 配信リリース

■ライブ情報
・8月23日(月) WONK×どんぐりず
会場:TSUTAYA O-EAST
・8月28日(土) ONE MUSIC CAMP 2021
会場:三田アスレチック 野外ステージ
・9月5日(日) GIGANTIC TOWN MEETING 2021
会場:大阪城音楽堂
・10月2日(土)・3日(日) FFKT
会場:信州やぶはら高原 こだまの森
※ 詳細は公式サイトにてご確認ください

■プロフィール
群馬県桐生市を拠点に音楽活動を行う森とチョモによる2人組ユニット。幼なじみ同士で中学より音楽活動をスタート。2020年春、ビクターエンタテインメントCONNECTUNE(コネクチューン)に所属、同年8月に発表した「マインド魂」がApple Musicの「2020年ベストソング100」に選出。翌年にはApple Musicが国内の将来有望な新人アーティストを紹介するプロジェクト『Up Next Japan』の第一弾アーティストに選出される。音源、映像、アートワークに至るまでセルフプロデュースを一貫、ウィットにあふれるグルーヴかつディープなサウンドで、中毒者を続出させている。2021~22年にかけては、“4EP”シリーズとしてジャンルの異なる4作のEP発表に向け鋭意制作中。2021年2月3日、“4EP”シリーズ第一弾として、「Dance」をテーマにした『4EP1』のリリースを行い、8月18日には「ベイベ」も収録される“4EP”シリーズ第2弾『4EP2』をリリースする。

■関連リンク
オフィシャルサイト: https://dongurizu.com
Twitter:https://twitter.com/dongurizu
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCRusZRTsF7EqCcHGJ_Cgrpw
Instagram:https://www.instagram.com/dongurizu

番組概要
放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組名:PIA SONAR MUSIC FRIDAY
ナビゲーター:櫻井海音
放送日時:毎週金曜 22:30~23:00
番組HP:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarfriday/
番組twitter:https://twitter.com/SONAR_MUSIC_813
ハッシュタグ:#sonar813
番組LINEアカウント:http://lin.ee/H8QXCjW

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