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『#リモラブ』主題歌は、なぜこれほどまでに沁みるのか 福山雅治から届いた現代の新たなラブソング

リアルサウンド

20/12/16(水) 12:00

 波瑠と松下洸平が織りなす優しい恋物語『#リモラブ ~普通の恋は邪道~』(日本テレビ系・以下『#リモラブ』)。本作は産業医の美々(波瑠)が、SNSを通して同じ会社に務める青林(松下洸平)と恋に落ち、徐々に仲を深めていく様子が繊細に描かれた物語だ。青林の友人・五文字を間宮祥太朗、美々と同じ健康管理室の精神科医・富近を江口のりこが演じ、美々に恋のアドバイスを送る看護師・八木原にはHiHi Jetsの髙橋優斗が抜擢されるなど、大変魅力的なキャスト陣が恋の手助けをしている。

 どの登場人物も優しく互いを思いやり、温かい気持ちで観ることができる『#リモラブ』の世界で、そっと寄り添うように作品を彩るのが福山雅治の「心音」だ。本作は福山の音楽デビュー30周年を祝したアルバム『AKIRA』の収録楽曲であり、『#リモラブ』の主題歌として書き下ろされた。福山は本楽曲を書くにあたり「主人公である大桜美々の恋愛観、仕事観、そして現代社会での生き辛さ。美々にとって、そして本作の登場人物にとって、生きていく上で「恋愛」の必要性とは?というテーマで制作させていただきました」(参照:ドラマ公式サイト)と語っているが、「心音」には美々が恋愛に苦しんだり、悩んだり、それでも愛しいと感じている様子が正に細やかに描かれている。

 ドラマの中では、クライマックスになると〈恋なんてしないって決めてたんだよ〉という歌い出しが流れ、切ないメロディと共に、美々が予期せず落ちてしまった恋に戸惑う様子を表す歌詞が心にスッと入ってくる。福山の深みのある歌声から始まるこの歌い出しは非常に印象的で、ドラマの中でもドキリとときめくような展開が起こるときに効果的に挿入される。そして次第に〈こんなにも こんなにも 君のこと好きになってたんだって〉という歌詞につながると、美々が青林に夢中になっていく様子が手にとるようにわかり『#リモラブ』の世界に没頭してしまうのだ。

 第8話では、岩手から訪ねてきた叔母に対して青林が、如何に美々を大切に思っているかを説くシーンがある。そこでは「会いたいなーって……どんどん、すっごく、めちゃくちゃ好きになってると思う」という台詞が使われた。この台詞こそ、美々の心情を描いた〈こんなにも こんなにも 君のこと好きになってたんだって〉の歌詞と呼応するものであり、お互いがますます惹かれあっていく様子が手に取るようにわかるのである。この楽曲が流れることで私たちは、優しく心地よいメロディと歌詞の切ない愛に胸を打たれ、なおさら美々と青林の気持ちに入り込んでしまうのだろう。

 「心音」は福山のどこまでも甘く、深く、響く歌声だからこそ、作品の魅力をより一層増幅する。何しろ、恋愛に奥手な美々と青林はSNSを介さずお互いに気持ちを伝え合えるようになったばかりなのだ。そんな2人はいつも心の中で相手を思いやり、相手の気持ちを推測し、一生懸命に向き合うわりには、実際にはなかなか行動に移せないことも。こうした考えすぎてしまう2人の気持ちの切なさをじんわり溶かすようなロマンチックな歌声は、福山ならではのもの。

福山雅治 – 心音(Special Movie)

 甘く優しい歌声と、繊細な歌詞でドラマをより輝かせる「心音」は、美々の心が静かにゆっくりと音を立て、恋に向かっていく様子がひたむきに描かれた楽曲なのだ。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

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