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峯田和伸(銀杏BOYZ)のどうたらこうたら

ある怪談DVDをめぐり、怪奇現象が続く話・その④

毎週連載

第155回

前回からの続きです。もう4週目ですね。今週も「ある怪談DVDを所持すると、怪奇現象が起こる」っていう話です。

うちのマネージャーの洋介、その友達のYくんやSくんが似たように怖い思いを体験したわけだけど、今度は4人目のWくんっていう、元柔道部のオラオラ系の友達に送ってみることにしたんだって。

このWくんは、はなっからお化けとかオカルトとかを信じない奴。心霊スポットに行っても「何も起きねぇよ。そもそもお化けとかいるわけがない。面白くもなんともないわ」とか言って帰ってくるような人らしいんだけど、「だからこそいい!」「そういう奴こそ、どんな体験をするのかを知りたい!」ということで彼に怪談ビデオを送ってみることにしたんだよ。もちろんWくんにもまた、これまでの経緯は何も伝えずにね。

WくんがDVDを見た翌日に電話して感想を聞くと、開口一番「いやぁ面白かったわ、アレ」って言うんだって。恐る恐るさ、「あ、そうなんだ。……でも、その他になんか変わったことはなかった?」なんて洋介が聞いたら、「いや別に。あ! ただ全然関係ないけど、今朝かなり久しぶりに夢精しちゃってさ(笑)。なんかエロい夢を見たんだ。全然知らない髪の長い女の子とやりまくるっていう夢なんだけど、かわいかったなー、ミエコちゃん」って言うんだって。

もちろん、「ミエコ(第153話参照)」の話はいっさいしていないわけさ、Wくんには。なのに、その口から自分で「ミエコ」って言うんだって。

それを聞いた洋介はゾッとしながら、さらにWくんに聞くと「髪が長くて、長袖の白いシャツを着て、下は黒いスカートだった」って、夢だけど、はっきり覚えてたんだって。本当につくづく恐ろしいよ、この話。

この後、DVDはいろいろあって2周することになるんだけど、細かいところは端折るにして、それでもやっぱり同じようなことが立て続けに起こり続けたんだって。ただ、3人目のSくんはまた違う体験をしたらしくて。

DVDが手元に届くと、やっぱり外からズッ、ズッと誰かが来る。でも、それまではベランダの前で止まっていたのに、その晩は通り過ぎて行っちゃったんだって。Sくんは「あれ? おかしいな」と思ったらしいけど、その後、マンションの隣の部屋の玄関がガチャンと開き、バタンと閉まる音がしたという。

「なんだよ、隣人の足音か」とSくんは思ったらしいけど、すると夜中にもかかわらず、今度は部屋の壁をドンドンドンって3回叩く音がしたんだって。「なんだよ、夜中なのにうるせーな」と思ったらしいけど、その日はそのまま寝たそうです。

ただ、Sくんは怖い体験をしていることもあって、夜中の壁ドンが気になるから2日くらい経った夕方、その隣の部屋の人をピンポンして訪ねたんだって。そしたら、そのときは誰も出てこなかった。「どっか行ってるんだろうな」と思って、夜の10時くらいにもう一度ピンポンしてみた。そしたら女の人が出てきて。

「すみません、隣の部屋の者です。2日前の夜中のことですけど、壁をドンドンと叩きましたよね? 僕、何かしましたかね? 苦情か何かだったら申し訳ないなと思って」みたいなことを言ったんだって。そしたらその女の人、「は?」みたいな顔をしてるんだって。

そこで彼女は「いや、私実はさっき久々に帰ってきたばかりで、この一週間くらい家を空けてたんですよ」って返してきたらしい。「じゃあ、あの壁ドンは誰の仕業なのか」ってことを考えるとかなり恐ろしいけどさ、さらにこの後、DVDにまつわる怪奇現象は最大のクライマックスを迎えることにもなります。(次週に続く)

怖い話は意外な結末で終焉を迎えます。写真はスタイリストの入山くんと

構成・文:松田義人(deco)

プロフィール

峯田 和伸

1977年、山形県生まれ。銀杏BOYZ・ボーカル/ギター。2003年に銀杏BOYZを結成し、作品リリース、ライブなどを行っていたが、2014年、峯田以外の3名のメンバーがバンド脱退。以降、峯田1人で銀杏BOYZを名乗り、サポートメンバーを従えバンドを続行。俳優としての活動も行い、これまでに数多くの映画、テレビドラマなどに出演している。


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