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銀杏BOYZ、6年9ヶ月ぶりのフルアルバム『ねえみんな大好きだよ』完成記念! 11週連続・峯田和伸インタビュー連載!!

銀杏BOYZ、6年9ヶ月ぶりのフルアルバム『ねえみんな大好きだよ』完成記念! 11週連続・峯田和伸インタビュー連載!!

全11回

第11回

20/11/18(水)

銀杏BOYZの6年9ヶ月ぶりとなるフルアルバム『ねえみんな大好きだよ』が10月21日にリリースされることが決まった。本作は、オリジナルメンバー脱退後、峯田和伸1人になってから初めてのフルアルバムになるのだが、この6年9ヶ月を顧みれば、前作からここに至るまでの銀杏BOYZは休むことなくラジカルに動き続けていた。銀杏BOYZ結成から17年間の活動の中でも、かなり濃厚な時間を過ごしていたわけだが、これらの経験や刺激が、銀杏BOYZにとって最も重要なアルバム制作にどう反映されたのだろうか。また、誰もが新型コロナウイルス感染拡大による制限や影響を強く強いられている今、峯田はどんなことを考え、銀杏BOYZの表現に反映させたのだろうか──。

ここでは、こういった今の峯田が考えていること、アルバム完成までの経緯と思い、収録楽曲についてを徹底インタビュー。アルバム収録曲数「11」にちなんで11週にわたってお届けしてきた本連載も今回で最終回。アルバム全体の総括と、今後の銀杏BOYZ、そして、楽曲選びの意外な共通点があるというエロ画像について聞いた。

早く新しいアルバムを作りたい

── 11週に渡って今の銀杏BOYZとアルバム『ねえみんな大好きだよ』について話をお聞きしましたが、これだけ良いアルバムがあると、早くライブが観たくなりますね。

峯田 本当はね、このアルバムももっと早い時期に出せていたし、その後、ずっとツアーをやっているはずだった。ただ、ウイルスばっかりはしょうがないよね。こっちだって今すぐにでもお客さんの前で大きな音を出したいけど、でも、今はみんな我慢してるわけだし。

アルバムにハードコアを入れた話を最初のほうでしたけど(第3回第4回参照)、理由がもう一つあって。「今回、絶対にハードコアを入れなくちゃいけない」と思ったのはさ、ヒップホップとかもそうだけど、単に家で音楽として聴くだけじゃなくてさ、ライブとかクラブとかの空間とかシーンを含めての音楽でしょ。言わば濃厚接触ありきの音楽だけど、でも今は新型コロナウイルスのせいで、その濃厚接触をしちゃいけないって言われているから。だからこそ、僕にとって一番の濃厚接触的なハードコアは絶対に入れたいと思ったの。今はライブができないんだから逆説的な意味でね。

銀杏BOYZがさ、今までやってきたようなライブをやれる日がいつ来るのか、もう2度とあんなライブは出来ないのか……わからないけど、だからこそああいうハードコアみたいな音を冒頭に入れたっていうのはある。お客さんと作り手が一緒になれる「ライブ」っていう空間みたいな音は絶対入れないとダメだと思った。

本音ではマジで1日も早くライブをやりたいよ。でも、「1日も早くライブをやりたい」と思うからこそ今は感染拡大が収束するように願うしかないよね。それは銀杏BOYZだけじゃなくて、どのバンド、どのアーティスト、舞台、映画、お笑いとかの人にとっても同じことだと思う。

── アルバムが出たばかりですけど、「ライブができない」ということを前提に、今後の活動に関してどんなことを考えているんですか?

峯田 早く新しいアルバム作りたいんだよね。

── は?

峯田 もうこの次のアルバムの構想もあるから。なんかね、今回のアルバムでちゃんと銀杏BOYZの“枠”みたいなものがわかったんだ。前のアルバム『光のなかに立っていてね』で出来ちゃってたんだけど、今回はそれがよくわかった。

枠っていうのは、スタイルって言っても良いけどさ、もうやることは決まってる。「これこそ銀杏」っていう枠みたいなものは変わらないんだけど、その上で新しい絵をどんどん描いていけば良いのができるし、今回のアルバムもそれをやったの。

だから、次のアルバムもそうなるだろうね。ただ、次は『いちごの唄』とか『恋は永遠』みたいなポップな楽曲ばっかりになるかもね。あるいは『アーメン・ザーメン・メリーチェイン』みたいな曲も増えるかもしれない。

シンガロング。合唱。お客さんが全員歌ってて、僕のボーカルなんか聴こえなくなるくらいの感じ。ダイブだのモッシュだのだけじゃなくてさ、ライブの中盤では『アーメン・ザーメン・メリーチェイン』みたいな曲がかかってシンガロング。理想なんだよ、本当は。

今さ、若手でメジャーの日本のバンドもよく聴いてるの。どのバンドも売れてるだけあって、やっぱりすごい良いんだけど、歌詞をいっぱい詰め込んでいる曲が多くてさ。もし自分がそのバンドのボーカルだったらキツくて歌えないだろうな……って思ったりすることも多いんだ。それよりかは銀杏BOYZの場合は、少ない言葉、誰でも覚えられる量の言葉、歌いやすいメロディー、それとリズム。そういうシンプルでポップで少ない言葉の曲を作っていきたいんだ。だから、これからまた次のアルバムのことを考えなくちゃと思ってる。

消えていったエロ画像と、消えていった未収録曲

── 今回のアルバムは全曲シングルカットできそうな。でも、それでいてアルバム全体を通して聴くと、それぞれの調和があって、映画を観ているかのようでした。最後に、アルバム全体の構成で最もこだわったところを聞きたいのですが。

峯田 まぁ「全曲シングルカットできる」って言ってくれる人がいれば嬉しいけどさ、それは聴いてくれる人が決めることだから。作り手の僕が「全部シングルカットできるんですよ!」って言う話ではないよね。

たださ、今回の11曲に絞り込むために、消えていった曲もあるんですよ。例えば、スタジオに新曲を持っていく日にさ、「今日はどの曲を持っていくべきか」とまず考える。そういうときに、「この曲にしようかな? いやでもやっぱり今はこの曲じゃねぇな。こっちにしよう。これをまずレコーディングしてみよう」みたいな。だから、だいぶ絞り込まれた楽曲ばかりではあると思う。

ところでさ、1日って24時間じゃないですか。日によって忙しさとか休める時間とかは違うけど、僕は絶対に決めていることがあるの。「なんぼ忙しくても、1日のうち1時間は僕だけの時間を作る」っていう。誰にも邪魔されない僕だけの1時間なんだけど、この時間で何をしているかと言うと、インターネットでエロ画像をずっと探しているわけですよ。

僕が探しに行くのは主にエロ投稿サイトなんだけど、ただこればっかりは水モノなんですね。良いものが投稿されている日もあれば、全くない日もある。またはさ、投稿サイトだからエロ度がきわどすぎると、管理人が投稿自体を削除してしまうこともある。こればっかりはタイミングなんだ。

それでさ、エロ投稿を仮に100枚見て「よし、これは気に入った。保存しとこう!」と思うのってせいぜい2枚くらいなんだ。たった2%。98枚も捨てて、たった2枚を選び込んで保存しているわけです。これだけでもすごい疲れるんだけど、そうすると、その2%の珠玉のエロ画像がたまっていくわけさ。そうやって集めたエロ画像が、僕のスマホには今のところ4万枚入っているんだけど、でもある日冷静になって画像フォルダの中身を覗いていくとさ、あれだけ絞り込んだマイ・ベスト・コレクションのはずが、どういうわけか、この中でも差が出てきてしまうわけ。「なんだよ、これ!」「どうして、こんなの保存したかな!」みたいな。そうするとさ、その絞り込んだエロ画像の枠の中でもカーストが生まれるんだよね。「こっちだったら、こっちのほうが断然エロいし、抜ける!」みたいな。

つまり、長くなっちゃったけど、アルバムの選曲もこれと同じなわけさ。いくら絞り込んだベストな曲ばかり並べても、やっぱりその中でも生まれるんだよ、カーストが。だから、聴いてくれた人からもし「どの曲も良いですね。どの曲も好き!」って言われることがあったら、それは絶対ウソだと思う。だって自然の摂理から反してるでしょ。どれか好きな曲もあれば、そうでもない曲もあるはず。そこは自由に感じてくれたら嬉しいね。

またさ、さっきの話で捨てた98枚っていうのも全く無駄な98枚でもないんだ。実は98枚のこいつらがいてくれたからこそ、2枚が引き立ったんだっていう。誰かがこの話を聞いたら「何バカなことやってんだ。終わってるわ、マジで」と思うかもしれない。でも、ここまで必死になって集めたものは徒労ではない。捨てた98枚のおかげで、聴いてくれる人が「なんかいいな」と思ってくれたり、胸に引っかかってくれるんじゃないかと思うわけですよ。わかりますか?

── つまり、今回のアルバムの11曲からはずされた100曲にも意味があるということですよね?

峯田 違う。わかってねーな、マジで。

── でも、今の話は……そういうことですよね?

峯田 だからね、普通に考えたらこんなことやらなくてもいいわけ。でも、やるんだよ。やることに意味があるし、もうやるしかないっていう。実際、僕のスマホなんて重くなりすぎちゃって、機能すべきことが出来なくなってるしね。江口くん(マネージャー)からの仕事のメールとかも、重すぎて勝手に省くようになったりとか。でもさ、そういうディスコミュニケーションも厭わない。そういう障害も含みつつ今回のアルバムにも繋がってるんだよ。わかる?

── はい(笑)。

峯田 なんで笑ってんの?

── いや、エロ画像の話から「ディスコミュニケーション」「厭わない」とか難しい言葉になっていくのがおかしくて。

峯田 切実なんだよ、こっちは! 真剣に喋ってんだよ……もういいわ。インタビューはこれで終わり! 帰るね、もう(笑)。

※おわり

Text:松田義人(deco) Photo:小境勝巳

リリース情報

銀杏BOYZ ニュー・アルバム『ねえみんな大好きだよ』

【初回盤】
【通常盤】

10月21日(水)発売
品番:SKOOL-049 価格:3,300円+税
収録曲(全11曲)
01.DO YOU LIKE ME
02.SKOOL PILL
03.大人全滅
04.アーメン・ザーメン・メリーチェイン
05.骨
06.エンジェルベイビー
07.恋は永遠 feat.YUKI
08.いちごの唄 long long cake mix
09.生きたい
10.GOD SAVE THE わーるど
11.アレックス

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