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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

『真夏の夜のジャズ』

エンタメ通が伝授!第41回ぴあフィルムフェスティバル特集

宇野維正ーブラック&ブラック~映画と音楽~

全6回

第4回

19/8/31(土)

連載第4回は、ブラック映画とブラック音楽を紹介するプログラム「ブラック&ブラック〜映画と音楽〜」。今回は、アメリカのブラックカルチャーの歴史について、映画・音楽ジャーナリストの宇野維正さんに解説していただこう。

PFF上映3作品からブラックカルチャーを知る上で重要な価値観やヒントを探る

今回「ブラック&ブラック ~映画と音楽~」と冠せられたプログラムで上映される3本は、その作品で描かれている時代も、その背景も、ドキュメンタリーとフィクションの違いは言うまでもなくその作品の成り立ちも、それぞれ大きく異なる。共通するのは、いずれの作品にもアメリカにおけるブラックカルチャーの歴史、さらには黒人社会を知る上で重要な価値観やヒントが隠れているところだ。その文脈に沿って、各作品を紹介しよう。

『真夏の夜のジャズ』は1958年のニューポート・ジャズ・フェスティバルを写真家バート・スターン(共同監督・撮影)が記録したドキュメンタリー作品の不朽の名作。これまでリバイバル上映が行われる度に熱狂的な支持を集めてきた本作が、こうしてまたスクリーンで上映されるだけでも大きな意味があることだが、2019年に本作を再見すると気づくことも。本作はステージ上でパフォーマンスする音楽家こそ、その多くが黒人のジャズやソウルの今ではレジェンドとなったミュージシャンたちだが、作中でカメラはそのステージと同じ熱心さでオーディエンスの姿にも向けられている。開催地のニューポートは白人の富裕層がバケーションを過ごす避暑地。現代の“夏フェスの客”という概念では考えられない彼らのオシャレすぎる佇まいも作品の大きな見所となっているわけだが、ビヨンセやチャイルディッシュ・ガンビーノのようなクールな黒人スターのパフォーマンスを目当てにセレブ客が毎年集うコーチェラと、規模は違えどその構図は相似形を成している。

アメリカ社会における黒人の地位や立場の“変わらなさ”について、ストレートに問題意識を投げかけてくるのが、ブラック・ライブズ・マター運動のピークの最中の2016年に製作されて、昨年の日本公開時にも大きな反響を呼んだ『私はあなたのニグロではない』だ。バリー・ジェンキンス監督『ビール・ストリートの恋人たち』の原作者で、ボブ・ディランやモリッシーのような黒人以外のアーティストにも多大な影響を与えたことでも知られるアメリカの作家・詩人ジェームズ・ボールドウィンの残された映像や原稿や手紙をもとに、公民権運動を指導したメドガー・エヴァース、マルコム・X、マーティン・ルーサー・キングらの歩みとアメリカにおける人種差別の歴史が語られる本作。ナレーションを務めるのはサミュエル・L・ジャクソン。エンドロールで流れるのはケンドリック・ラマーの「The Blacker The Berry」。タイトル『私はあなたのニグロではない』に込められた意味がボールドウィンの口から語られた瞬間、人種問題に対する我々の“考え方”が根底から覆されることになる。

『私はあなたのニグロではない』

現代のロサンゼルス・イングルウッド地区を舞台にした一見ライトなコメディ『DOPE/ドープ!』が参照しているのは、『ジュース』『ボーイズ'ン・ザ・フッド』『friday』をはじめとする90年代前半にブームを巻き起こしたブラック・ムービー(この呼称自体、現在では無効になりつつあるが)だ。主人公の高校生はアイス・キューブについての論文を提出して教師に窘められ、「90年代ヒップホップこそ至高」を信条とする音楽オタクでもある。本作の製作を手がけているのはファレル・ウィリアムスのカンパニー、i am OTHER。ファレル自ら音楽を手がけていた『ドリーム』やNetflixのドキュメンタリー『ブラック・ゴッドファーザー』もそうだが、映画作品に関わる時の彼の一貫したスタンスは「黒人の地位向上への貢献」にある。劣悪な家庭環境やドラッグディールや警察官の暴力などの現実を反映することで、結果的にバッドエンドを迎えることが多かった(それが一つの美学でもあった)90年代のブラックムービーを、そのフォーマットを借りて価値の転換をしてみせた『DOPE/ドープ!』にも、そんなファレルの姿勢が表れている。監督のリック・ファムイーワは、この秋にDisney+で配信されるスター・ウォーズのテレビシリーズ『The Mandalorian』の監督にも抜擢されている。

『DOPE/ドープ!』 
(c)2015 That’s Dope, LLC. All Rights Reserved.

招待作品部門

ブラック&ブラック~映画と音楽~

上映スケジュール
9/8(日)11:15~ 『私はあなたの二グロではない』
9/8(日)18:15~ 『DOPE/ドープ‼』ゲスト:DJ YANATAKE(トーク&DJあり!)
9/11(水)19:00~ 『真夏の夜のジャズ』ゲスト:ピーター・バラカン(トーク&DJあり!)

左上から時計回りに斎藤 工、白石和彌、西川朝子、野村佐紀子、山下敦弘

斎藤 工ら計5名のPFFアワード最終審査員が決定!

「第41回ぴあフィルムフェスティバル」では、映画祭のメインプログラムであるコンペティション部門「PFFアワード 2019」の18作品を審査する「最終審査員」が決定しました。最終審査員は映画監督を含むクリエイターで構成され、毎年違う顔ぶれです。賞は数時間にわたる討議の末に決定、9月20日(金)の表彰式にて、最終審査員がグランプリ他各賞を発表します。


【PFFアワード2019 最終審査員 5名】 ※敬称略。五十音順
斎藤 工(俳優・映画監督)  
白石和彌(映画監督)  
西川朝子(映画プロデューサー)
野村佐紀子(写真家)  
山下敦弘(映画監督)  

詳細はチケットぴあをチェック!

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