Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

【おとな向け映画ガイド】

『天国と地獄』に似てる!? 連続殺人鬼が女子高生に『ザ・スイッチ』と、幸せの国『ブータン 山の教室』。今週はこの2本をオススメ。

ぴあ編集部 坂口英明
21/3/28(日)

イラストレーション:高松啓二

今週末(4/1〜3)に公開される映画は17本。全国100スクリーン以上で拡大公開されるのは『劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班』『ゾッキ』の2本、中規模公開とミニシアター系の作品が15本です。今回は、ぴあ水先案内人の皆さんがオススメする2本、4/9公開の『ザ・スイッチ』と今週公開の『ブータン 山の教室』をご紹介します。

女子高生と連続殺人鬼が入れ替わり!
『ザ・スイッチ』



最終回が放送されたばかりのTBSドラマ『天国と地獄〜サイコな2人〜』と同じ、入れ替わりモノです。ドラマでは連続殺人犯(?)の体が女性刑事と「スイッチ」する設定でした。こちら、殺人犯というのは変わらないのですが、高橋一生のようなイケメンではなく、顔つきも凶悪そのもの、いかにも連続殺人鬼です。スイッチする相手は17歳の地味で冴えない女子高生。このギャップがいいんです。絶叫マシンのスリルにお笑いの要素がたっぷり入ったスピード感あふれる作品です。

アメリカのどこか、ありふれた町を、突然ブッチャーと呼ばれる連続殺人鬼が襲います。のっけから強烈なスラッシャー映画です。ところが、この町の高校に通う女子高生ミリー(キャスリン・ニュートン)をブッチャー(ヴィンス・ヴォーン)が手に掛けようとしたときに異変がおきます。そのいきさつは、映画を観ていただくとして……。

図体はデカいし、汗臭いし、とんでもない悪顔だし、あらゆることがもう信じられない。そんな殺人鬼ブッチャーの体になっちゃた女子高生ミリーになりきっているヴィンス・ヴォーンがたまりません。一方、ミリーの体を手に入れた(?)ブッチャーは、地味キャラからクールな女子高生に大変身、その魅力で連続殺人に精を出します。ふたりが元に戻れるタイムリミットは24時間!

新解釈の『透明人間』を世に送り出した、とびきり活きのいいブラムハウス・プロダクションズの製作です。監督は、『ハッピー・デス・デイ』でシリアルキラーとタイムループを結びつけたクリストファー・ランドン。

【ぴあ水先案内から】

春日太一さん(映画史・時代劇研究家)
「……“面白そうな要素”を余すことなく盛り込み、それらを100分強の適度な時間内に完璧に収める。これぞ娯楽映画だ。……。」
https://bit.ly/3fbq4Gy

野村正昭さん(映画評論家)
「……クリストファー・ランドン監督が手がけただけあって、さすがの出来栄え!……」
https://bit.ly/2NQ4HiR

世界で一番幸せな国で…
『ブータン 山の教室』



ブータン王国は10年ほど前、若き国王夫妻が来日し、ちょっとしたブームになったことがありました。GDPよりGNH(Gross National Happiness/国民総幸福量)の方が重要だという国です。そのブータンで作られた、まさに心洗われる映画です。

首都のティンプーに暮らす、ipodを手放さない音楽好きな若い教師ウゲンが、上司の命令で僻地の学校に赴任します。学校は春から秋までの季節開校。冬までの約束です。ティンプーは標高2300メートル前後、赴任地のルナナ村は4800メートル。途中のガサまではバス、そこからはトレッキング、つまり山登りしか手段がなく、しかも8日もかかるのです。村に到着するやいなや「僕にはできません」と弱音をはいたウゲンですが、純朴そのものの生徒たちとの暮らしのなかで、何かが変わっていきます……。

プロの俳優はウゲン役の新人シェラップ・ドルジと若い数人のみ。村人や生徒たちは実際にルナナに暮らす人々が自身を演じています。特に、クラス委員役を演じるペム・ザムは奇跡ともいえるかわいさ。観ているだけでなごみます。監督はパオ・チョニン・ドルジ。この作品が長篇デビュー作です。写真家でもある監督、ブータンの大自然をとらえた映像美は、やはり映画館のスクリーンで観てこそ、と思います。

【ぴあ水先案内から】

立川直樹さん(プロデューサー、ディレクター)
「……ブータンから“幸せとは何なのだろうか”と考えさせてくれる映画が登場した。……」
https://bit.ly/3tYqynT

伊藤さとりさん(映画パーソナリティ)
「……ゆっくりと心が広がる感覚を映画で味わい、主人公の青年に自分をシンクロさせながら気づくもっとも大切なこと。」
https://bit.ly/3tUHdZw

紀平重成さん(コラムニスト)
「……最初は村の暮らしや人々の語らいがあまりにも純朴過ぎて少々居心地は悪かったのですが、突然理由もなく涙がこぼれ出し慌てました。」
https://bit.ly/31g2aSf

夏目深雪さん(著述、編集業)
「……田舎の学校で子供たちを教えるという物語には想像以上のものはない気がするが、これが筆舌に尽くしがたい素晴らしさ。……」
https://bit.ly/31eJ7b5

首都圏は、4/3(土)から神保町・岩波ホールで公開。中部は、4/24(土)から名演小劇場で公開。関西は、4/30(金)からシネ・リーブル梅田他で公開。

アプリで読む