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世界が認める日本人ダンサー/振付師 菅原小春、“表現者”として注目される独自性に迫る

リアルサウンド

19/4/28(日) 8:00

 先ごろ米経済誌『フォーブス』が「2019年 30 Under 30」というタイトルで、2019年に世界に影響を与えるアジアの30歳以下、30人のタレントを特集。そのエンタメ部門で日本人唯一の選出を果たしたのが、ダンサー/振付師の菅原小春だ。

 2015年に、三浦大知の「Unlock」MV出演などが話題となり、同年ポップシーンの大御所、スティーヴィー・ワンダーとTDKのCMで共演。2018年を振り返っただけでも、SHINeeの話題曲「Good Evening」やFoorinの「パプリカ」(辻本知彦との共作)を振付、年末の『NHK紅白歌合戦』では米津玄師とも共演した菅原。これまでになく注目を集めているここ数年の日本のダンスシーンで、最も知られているダンサー/振付師の一人といってもいい。

三浦大知 (Daichi Miura) / Unlock -Choreo Video with Koharu Sugawara-
<NHK>2020応援ソング「パプリカ」ダンス ミュージックビデオ

 4月からはNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』に日本人女性初のオリンピック選手でありメダリストの人見絹枝役で出演し、演技にも初挑戦。キャスト発表の記者会見では「言葉ではなく体で、自分が秘めている想いを表現できたらいいなと思いました」と抱負を語っていた。本稿ではダンスや振付といった枠を超越した‟表現者”として注目される、菅原の独自性について考察してみたい。

 10代前半から数々のダンスコンテストで優勝するなど頭角を現し、高校卒業後にLAでダンス修業を積んだ菅原。帰国後はリアーナやSMAP、安室奈美恵といったアーティストたちのバックダンサーとして、また少女時代や2NE1、テミン(SHINee)らの振付師として、さらに世界各国でワークショップを行うなど国境を股にかけて活躍してきた。そのダンス人生の中でも特筆すべき点は、ダンスを本格的に習いだす前の幼少期から、自分なりの振付を作って踊る創作ダンスを実践していたことだろう。過去のインタビューで日本と海外のダンス事情の違いについてたずねられ、「日本は右向け右で、どうしても枠の中で踊ってるイメージですね。(中略)枠を越えて個性を出している人は、本当に少なく感じます」(参照:オリコンニュース)と語っていたが、菅原自身のダンススタイルも、ヒップホップやコンテンポラリーといったジャンルや型に縛られない‟自由形”だ。

TAEMIN 태민 ‘MOVE’ #3 Performance Video (Duo Ver.)

 そのダンススタイルの魅力として挙げられるのは、自身の体を楽器のように使う手法。2017年に開催した初の単独ライブ『KOHARU SUGAWARA presents SUGAR WATER』では、ピアノやギター、ドラムなどさまざまな楽器の生演奏と丁々発止の‟セッション”を繰り広げ、満員の観客を圧倒した。本人も自らのダンスについて「ジャーっと流れる音に合わせて体を楽器のように弾いていくイメージ」(参照:ライブドアニュース)と分析していたが、音を聴いて踊るというより、自らの体でリズムやグルーブを作り出し音と融合させていく点で独特なスタイルといえる。その爆発力の凄まじさについては、前述した昨年の紅白における米津玄師「Lemon」のパフォーマンスでも実証済みだ。

菅原小春、初の単独ダンス公演に密着!

 一方、振付師としてのスタンスについては「そのアーティストさんのどの角度がカッコイイか、どの角度がキレイとか、人間として美しく見える角度や部位を見つけて振りを付けます。そこには自分のスタイルも上手く落とし込みたくて、どうやったらフュージョンできるかをすごく考えます」と語っている(参照:オリコンニュース)。アーティストの魅力を引き出しつつ、楽曲に込められた感情のうねりをダンスで表現していくその手法については、以前にリアルサウンドの記事(コラム:SHINee「Good Evening」振付は“余白”がポイント? 感情のうねりを表現する菅原小春の手法)でも述べた。近年の作品には1曲の中にドラマ性を持たせ、緩急に富んだ中に感情が溢れ出すような短い見せ場を散りばめていくような構成が目立ち、それも彼女自身のダンススタイルと共通する魅力といえる。

SHINee 샤이니 ‘데리러 가 (Good Evening)’ MV

 LAでの修業時代を振り返って「教えられたのは『ダンスは言葉の壁を超える』ということ。もちろん英語を自在に話せたらそれが一番理想的かもしれないけど、話せないからこそ、言葉以上の表現をダンスで踊りたいと思った」(参照:DanceFact)と語った菅原。海外に出ることで表現者としての才能を大きく開花させた彼女の姿は、若くしてオリンピックという大舞台で華々しい活躍を見せるかたわら、歌人としての顔も持っていたという人見絹枝にも重なる部分があり、興味深い。大河での経験を通して、よりいっそう表現者として磨かれていくであろう菅原のこれからに大いに注目したい。

■古知屋ジュン
沖縄県出身。歌って踊るアーティストをリスペクトするライター/編集者。『ヘドバン』編集を経て、『月刊ローチケHMV』『エキサイトBit』などで音楽/舞台/アートなど幅広い分野について執筆中。

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