Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ぴあ

いま、最高の一本に出会える

“大記録達成”のKAT-TUN新作 収録曲の少なさは「アルバムの概念」を変える可能性も

リアルサウンド

13/12/6(金) 12:06

2013年11月25日~2013年12月01日のCDアルバム週間ランキング

1位:楔-kusabi-(KAT-TUN)
2位:COUP D’ETAT(G-DRAGON(from BIGBANG)
3位:ミッドナイト・メモリーズ(ワン・ダイレクション)
4位:銀魂BEST3(Various Artists)
5位:BEST GIRLS(KARA)
6位:PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary “ALL TIME SINGLES”(ポルノグラフィティ)
7位:ZIGAEXPERIENTIA(supercell)
8位:O.T.Come Home(奥田民生)
9位:POP CLASSICO(松任谷由実)
10位:アートポップ(レディー・ガガ)

 今週、「KAT-TUN、1stアルバムから7作連続首位 宇多田に並ぶ歴代1位タイ」というニュースを目にして、どうしてもつい口から出てしまうのは「また記録のための記録か」という感想。いや、確かに歴代1位タイは立派ですよ。それに、デビュー当初のKAT-TUNのすさまじい人気ぶりはもちろん鮮明に記憶しています。でも、現在のKAT-TUNの満身創痍状況で宇多田ヒカルと並ぶって言われてもねぇ……。ちなみに1stアルバムから7作連続首位というこの記録、お膳立てバッチリのスタートダッシュがお約束のジャニーズだったら、他のグループでも過去にありそうなものだけど、Kinki Kidsが7枚目(ベスト含む)の『F album』で浜崎あゆみに阻まれ記録がストップ。にいたっては、2ndアルバム『HERE WE GO!』の時点で2位止まりと、実は相当難易度の高い記録だということだけは理解した(まぁ、だから史上2組目なんだけど)。

 それにしてもこのKAT-TUNの『楔-kusabi-』というアルバム、初回限定盤1と初回限定盤2と通常盤の3種という複数枚商法はいつものことだからさておき、その収録曲の少なさに驚かされた。3枚共通の収録曲は4曲のみ。それに初回限定盤1は2曲、初回限定盤2は1曲、通常盤は3曲(カラオケ除く)、それぞれ違う曲が追加されている。追加曲をボーナストラックととらえたら、アルバムの軸となっているのはたったの4曲。フルアルバム、ミニアルバム、EP、マキシシングルなどの作品の呼称は基本的にアーティストサイドに委ねられていて、一応オリコンの規定上でも5曲以上収録された作品はアルバムとみなされるという。したがって、「これはアルバム」と言われてしまえばアルバムには違いないのだが、今後も他のアーティストからこういう作品が続くようだと、アルバムという概念そのものが揺らぎかねない。特に本作のように記録絡みだと、なおさら気になるところ。

 2位はBIGBANGのG-DRAGON、3位はワン・ダイレクションと、今週のアルバムチャートのトップ3は日韓英の男性アイドルが独占。パッケージビジネスの最後の砦は、やはりモノとしての所有欲をそそるアイドルものということなのだろう。そんな中、注目すべきは初登場7位につけたボカロ出身アーティストの代表的存在、Supercellの2年8ヶ月ぶりのアルバム『ZIGAEXPERIENTIA』

 前作『Today Is A Beautiful Day』ではこのジャンルでいち早く脱初音ミク、サウンドも生バンド主体にシフトし、アルバムチャート初登場3位、ロングセールスとなって10万枚近くの大ヒットを記録したSupercell。あれから3年弱、シーン全体の認知度も高まり、カラオケチャートでも人気アーティストの地位を不動のもの(先日発表されたJOYSOUNDの年間うたスキ動画ランキングでは、水樹奈々、Mr.Children、EXILEに次ぐ堂々4位)としているSupercellだが、よりバンドサウンド感を前面に押し出した本作で、さらなる大ブレイクを果たすまでには到らなかった。

 今となっては、ボカロを一時期の流行、シーンの徒花的なジャンルだと軽視する音楽関係者はほとんどいないと思うが、ボカロ出身アーティストがこの国の音楽シーンを引っくり返してしまうのか、それとも一つのジャンルとして定着していくのかの試金石とも思われたSupercellの3rdアルバム。どうやらこのまま一つのジャンルとして、音楽シーンの一部として定着するにとどまる気配が濃厚になりつつあるようにも思えるのだが、来年以降、ボカロ発のシーンに「あっ!」と驚くような新展開が待っていたりするのだろうか?

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

アプリで読む