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ネクライトーキー 、スケール大きな演奏で魅せたエネルギッシュな一夜 日比谷野音で放った全身全霊の“5人の叫び”

リアルサウンド

20/10/8(木) 12:00

 ネクライトーキ―、2017年から活動している5人組の男女混合バンドである。2019年には、マイナビBLITZ赤坂を即完させている。2020年1月にメジャー1stアルバム『ZOO!!』を発売し、その後Zepp Tokyoを含む全国ツアー『ネクライトーキー「ZOO!!」リリースツアー 「ゴーゴートーキーズ! 2020春」』を開催する予定だった。しかしコロナ禍により本ツアーは全18公演中、初日以外の17公演が中止に。全世界のすべてのアーティストが葛藤し、世界中の人間が我慢を重ねた約半年。アーティストが様々な形でアクションを起こしていった中、ネクライトーキーは、まずワンマンライブで本格的に活動を再開することを選んだ。つまり彼らにとって、ライブは最優先事項だったのだ。ライブはそれだけ大事な場所であり、おそらく今自分たちが前進するために最も必要なエネルギー源だったのではなかろうか。そんななか、東阪の野外音楽堂にて開催されたのが『ゴーゴートーキーズ!2020 野外音楽堂編』である。

 9月27日、日曜日。日比谷野外大音楽堂。

 SEが鳴る。大きな拍手で迎える観客。コロナ対策のガイドラインに従い、歓声のない環境の中で「虫がいる」からライブがスタートした。続く「夢みるドブネズミ」は、曲のところどころに愛嬌ある効果音を入れたアレンジが入るポップチューン。バンドサウンドの足し引きも大胆で、そのメリハリが楽曲の個性にもなっている。驚いたのは“引き=音数が少なくなるターム”である。フロント3人が後ろを向き、5人でアイコンタクトをとりながら、自分が演奏しない場面でもしっかりリズムを刻んでいる。この日のライブには、同様のシーンが何度もあった。彼らの曲は基本的にテンポが速く、譜割りも細かい。フックになるような音色も多いし、トリッキーな展開の曲も少なくない。さらに一発で覚えることができる〈わらわら〉〈ぽんぽこ〉〈CHAKAPOCO〉〈つんてんしゃん〉といった独特の言語もサウンドのひとつになっている。さらには1小節単位で違うアプローチを仕掛けてくる曲もある。要するにいろいろやっていて非常に忙しいサウンドなのだが、その忙しさが実に楽しく、聴く人を飽きさせない。次に何が出てくるかわからないスリリングさが間違いなくこのバンドの強い武器で、強烈な個性だ。個人的には、初期のXTCやPixiesなど、ポストパンク~ニューウェイヴを彷彿させるかな、と感じた。

 ネクライトーキーお得意のタイトなアップチューンをノンストップで演奏し、駆け抜けるようなスピード感でテンションを引き上げた序盤に続き、ライブは中盤へ突入。「虫の声がするのが、すごくいいですよ。カモーン! ドラムス!」という、もっさ(Vo/Gt)の言葉から「夏の暮れに」へ。続いてステージのライトが“夕陽色”に明滅したところで「夕暮れ先生」につないだ、粋なセットリストで聴かせた後、何の告知もなくいきなり新曲を披露。カオティックなサウンド展開もあるその曲は、わらべ歌を思わせるようなメロディラインが印象的なミディアムチューンだった。

 日比谷野外大音楽堂に、夜の帳が降りてくる。雲間から星が瞬くのが見える。次の曲のイントロ。観客の両手が大きく挙がる。そのテンションを表現するかのように、クラップがそれまで以上に大きくなった。12曲目「許せ!服部」。ライブでは、CD音源よりもテンポを速くして演奏するのがお決まりのこの曲。もっさが“CD”“ライブ”と書かれた2つのパネルを交互にかざし、楽しそうにバンドサウンドを司る。途中でフェイントをかけたりして、まさに音で遊んでいる状態。メンバーが真剣な顔でもっさを凝視している様に、失礼ながら笑ってしまった。この“パネルプレイ”に加え、各メンバーのソロや、カズマ・タケイ(Dr)以外の4人がフロントに出てきてお立ち台に上って演奏するパフォーマンスなど、見せ場の多い1曲だが、そんな彼らの立ち振る舞いにエンターテインメントとしてのスケールの大きさを感じた。もっと大きなステージでネクライトーキーを観てみたいと思わせる名シーンだったと思う。

 ライブは後半へ。朝日のMC。イベント以外では2月のライブがワンマンとしては最後だった、その間いろいろあったと述べ、最後はこう結んだ。

「なんとか生きて、音楽も続けている。これから何が起こるかわかりませんが、今はよしとしましょう。本当に皆さん、ありがとうございます」

 この言葉を受け「明日にだって」を演奏。〈明日にだって 明日があって〉というフレーズに、心をちょっと軽くしてもらった気がした。もっさの「こ、こ、こんがらがったー!」という絶叫から「こんがらがった!」へ。続く「北上のススメ」と合わせ、クラップのお約束タイミングがあるが、そこもばっちり揃っていて、観客の皆さんも最高で、お見事でした。

 アンコールでは、「いろんなことをしっかり守りながら」(By もっさ)、12月に五大都市でワンマンツアー『ゴーゴートーキーズ! 2020師走』を開催することを発表。朝日は「配信でライブを観てくれた方、今日はありがとうございます」と、画面の向こうの観客に挨拶。個人的な意見ですけど、と前置きをした後で、「会場に足を運べない人のために、コロナ禍が落ち着いてもライブ配信が続くといいな。予算とかいろいろあると思うけど……」と述べた。続いて10月28日に配信リリースされる新曲「誰が為にCHAKAPOCOは鳴る」を披露。高速のシンコペーションが作り出すグルービーでファンキーな新曲に観客も思い思いのアクションで盛り上がる。この曲では、朝日のアクションや表情に合わせ、サウンドのテンションや感情まで変えるというバンド芸を披露。そして、この日のハイライトシーンは、この曲のエンディングにやってきた。

 テンションMAXの演奏でエンディングを迎えた5人。フロントの3人が後ろを向き、5人でサークルを作るように距離を保って向き合い、全員がマイクを通さず叫んだ。野音を突き抜けていく5人のロングトーン。それはまるで、歓声を送ることができない観客の想いが乗り移ったかのような、全身全霊を使った絶叫であった。ステージが発光する生命体に見えてしまうほど、その声はエネルギッシュで、エモーショナルで、そして力強い希望に満ちていたように思う。客席からこの日1番の大きな拍手が起こった。

 アンコールも含め全23曲。「みんなありがとう!」と言って、ネクライトーキーはステージを後にした。

■伊藤亜希
ライター。編集。アーティストサイトの企画・制作。喜んだり、落ち込んだり、切なくなったり、お酒を飲んだりしてると、勝手に脳内BGMが流れ出す幸せな日々。旦那と小さなイタリアンバル(新中野駅から徒歩2分)始めました。
Piccolo 266 インスタグラム

■リリース情報
ネクライトーキー
デジタルシングル「誰が為にCHAKAPOCOは鳴る」
10月28日 Digital & Streaming Release

■ライブ情報
『ゴーゴートーキーズ! 2020師走』
12月5日(土)愛知ReNY limited OPEN 17:00 START 18:00
12月8日(火)福岡DRUM LOGOS OPEN 18:00 START 19:00
12月10日(木)大阪BIGCAT OPEN 18:00 START 19:00
12月12日(土)北海道ペニーレーン24 OPEN 17:00 START 18:00
12月16日(水)東京TSUTAYA O-EAST OPEN 18:00 START 19:00

■アニメ情報
『秘密結社 鷹の爪 ~ゴールデン・スペル~』
放送日時:TOKYO MX 10月4日(日)放送開始 毎週日曜25:20~25:35 
BS11 10月4日(日)放送開始 毎週日曜25:00~25:15
CSファミリー劇場 10月4日(日)放送開始 毎週日曜25:35~25:50 
J:テレ「アニおび」10月5日(月)放送開始 毎週月曜25:00~25:15
オープニング曲 
ネクライトーキー「誰が為にCHAKAPOCOは鳴る」 作詞・作曲:朝日
エンディング曲
EIKO+ERIKO「Chili Peppers」作曲・編曲:EIKO+ERIKO

秘密結社 鷹の爪 ~ゴールデン・スペル~特設サイト

ネクライトーキー  公式WEB

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