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岸井ゆきの、“二番手ポジション”で実力を発揮 『わたどう』椿と復縁はあるのか?

リアルサウンド

20/9/17(木) 6:00

 七桜(浜辺美波)が「さくら」であることが椿(横浜流星)にもついにバレてしまった『私たちはどうかしている』(日本テレビ系)第6話。2人があまりに悲しい形で離れ離れになってしまい、気が付けば3年が経っていた。七桜が去った光月庵に入れ替わりで入ってきたのが椿の元婚約者である栞(岸井ゆきの)だった。

 岸井ゆきのといえば、映画『愛がなんだ』で友達以上恋人未満といえば聞こえはいいが、つまりは“都合の良い女”テルコ役を演じ、ドラマ『ルパンの娘』(フジテレビ系)でも和馬(瀬戸康史)の婚約者として最終話で結婚自体なくなるという“二番手ポジション”を演じることが少なくなかったが、その役どころは本作でも遺憾なく発揮されている。

 挙式当日に七桜が現れ結婚が破談になるも、その心の中にはずっと椿の存在が住み続けていたようだ。そもそも実は栞が椿と出会ったのは、お見合いが初めてではなかったらしく、過去の絵付けの展示会にまで遡る。自身の作品を出品していた栞の元へ初めての客としてやって来たのが椿。作品に興味を持ち、自分の話に耳を傾け気に入って購入してくれたのが栞にとって自信に繋がったのだという。

 また、赤い着物をよく着る理由を椿に聞かれた栞は「目立つから。私には美人で愛嬌の良い姉が2人いて、それに比べて私はどうしようもなく地味で。赤を着れば私のことも見てくれるかなって」と話す。両親からの注目を集めたい、自分の存在にも気づいてほしいという幼少期からの栞の切なる思いが、椿にとっては大旦那から褒められたい一心で和菓子を作り続けてきた、それでも認められずに報われなかった自身の姿と重なるのだろう。だから、栞にとって椿は自分が欲しい言葉をくれる存在なのだ。また、椿としてもその痛みがわかるからこそ、健気な彼女の新たな挑戦や一歩を背中押ししてしまいたくなってしまうのだろう。互いに、代々続く由緒正しい家系に生まれながらも肩身の狭い思いをしてきた者同士、分かり合えてしまうところもあるのかもしれない。

 彼女の名を一躍有名にした作品にNHK連続テレビ小説『まんぷく』が挙げられるが、その中で岸井は同一人物の14歳から実年齢の27歳を通り越して30代後半までの成長を演じてのけた。小柄で童顔、素顔のままといった雰囲気の彼女だからこそ、“何にでも染まれる”のだ。年齢も超えて、また強烈なキャラクターの側にいて振り回されたり掻き乱されながらも、最終的には自身の個も消失はせずに意外な一面を開花させ見せてくれる愛しき役どころを演じられるのだろう。

 その正体は「さくら」であり、何やら当主殺人事件当時のことを思い出したのであろう七桜を、椿の心の中から完全に追い出そうと女将・今日子(観月ありさ)は結局この栞の健気で一途な想いを利用することに決めたようだ。これから栞も今日子の手によっていろんなものを狂わせられていきそうだ。

 離れ離れになって3年経った椿と七桜が次話、また対峙するようだ。栞や多喜川(山崎育三郎)からの好意も加わり、またこれまでとは違った人間模様が展開されそうだが、もどかしい想いを抱えながら歯痒さを我慢して見守るしかなさそうだ。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
『私たちはどうかしている』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:浜辺美波、横浜流星、高杉真宙、岸井ゆきの、和田聰宏、岡部たかし、前原滉、草野大成、山崎育三郎、須藤理彩、中村ゆり、鈴木伸之、佐野史郎、観月ありさ
原作:安藤なつみ『私たちはどうかしている』(講談社『BE・LOVE』連載)
脚本:衛藤凛
演出:小室直子、猪股隆一
音楽:出羽良彰
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:鈴間広枝、松山雅則(トータルメディアコミュニケーション)
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:www.ntv.co.jp/watadou
公式Twitter:@watadou_ntv
公式Instagram:@watadou_ntv

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