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二人ノ世界

20/7/7(火)

『二人ノ世界』 (C)2020『二人ノ世界』製作プロジェクト

コロナ禍に悩まされている映画界だが、いいことはある。それは、6年間お蔵入り状態になっていた本作が劇場公開されることだ。永瀬正敏が2014年冬、京都造形芸術大学(現・京都芸術⼤学)の卒業生、在学生とともに作り上げた傑作。試写会も行われていないため、批評家のみなさんの目にも止まっていないが、この劇場公開を機にぜひ観ていただきたい。 『私立探偵 濱マイク』三部作などで知られ、京都造形芸術大学(現・京都芸術⼤学)の映画学科長を務めていた林海象監督がプロデュースし、第10回⽇本シナリオ⼤賞佳作を受賞した同名作(松下隆一氏)を映画化。メガホンをとったのはこれがデビュー作となる映画学科卒業生の藤本啓太氏。 バイク事故によるけい椎損傷のため、36歳という若さで⾸から下の⾃由を失った画家・俊作(永瀬)と、彼を介護する盲目の女、華恵(⼟居志央梨)の姿を描く究極のラブストーリー。世の中から忘れられ、自身も世の中から隠れるように生きている俊作。見える世界は天井の壁だけ。ヘルパーには心ない雑言を浴びせかけて、自ら拒否。父親は、自らも重い病を抱えていることから、息子の行く末を案じている。そんな中、仕事が欲しいとやってきたのは、盲目の若い女だった……。 前半は狭く暗い部屋での濃厚な人間ドラマが展開される。体が不自由な二人に、未来はあるのか? 首から上の演技だけですべてを見せた永瀬はもちろん、ヒロイン、土居志央梨(『リバーズ・エッジ』)の体当たり演技が素晴らしい。コロナ禍を経て、この作品を改めて観ると、二人の体の不自由さがコロナ禍で触れ合えない不自由さにもリンクし、より心に響く。 長らく公開できなかったのは、作品を大切にするあまり、タイミングを逸してしまった、という事情があるが、今のタイミングでの劇場公開は必然だったのかもしれない。全ての人が観るべき映画である。ここまで言い切る作品はそうはない、と念を押しておきます。

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