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乃木坂46、メンバーも支持する隠れた名曲「ひと夏の長さより…」とは? 『真夏の全国ツアー』に思いを馳せる楽曲のメッセージ性

リアルサウンド

20/9/13(日) 6:00

 9月9日深夜に放送された『乃木坂46のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)で企画開催された「乃木坂46 妄想!ラジオで真夏の全国ツアー2020」にて、第1位に「ひと夏の長さより…」が選ばれた。

 今年は乃木坂46が毎年開催してきた『真夏の全国ツアー』が、昨今の情勢を鑑みて行うことが出来なかった。そこで「今年の真夏の全国ツアーで聞きたかったこの1曲」といったテーマで、リスナーから一人1曲リクエストを募り、セットリストを考案。第2位の「ガールズルール」にダブルスコアという圧倒的な票差をつけ、第1位に選ばれたのが「ひと夏の長さより…」だ。

 「ひと夏の長さより…」は、2017年8月にリリースの18thシングル『逃げ水』に収録された楽曲。フジテレビのイベント「お台場みんなの夢大陸2017」のテーマソングとして、ライブイベントのトップバッターを飾った乃木坂46は、そこで「ひと夏の長さより…」を初披露。その年に開催された『真夏の全国ツアー2017』地方公演の本編ラストでもこの曲がパフォーマンスされている。その後も毎年のツアーと全曲披露となる『BIRTHDAY LIVE』で歌唱されてはいるのだが、2018年であればオンエアでもリスナーからのエピソードが読まれた『真夏の全国ツアー』の大阪公演の初日のみであったりと、ライブの鉄板曲というよりかはどちらかと言えばレア曲に数えられるナンバーと言える。

 それ故に、MVも制作されていない、アルバムにも収録されていない「ひと夏の長さより…」が今回選ばれたのは、文字通りファンが本当に“ツアーで聞きたかった”1曲だったからだろう。乃木坂46真夏の全国ツアー公式SPECIAL BOOK『N46MODE vol.1』の企画「いま聴きたい!夏のエモい曲」でも渡辺みり愛と柴田柚菜が「ひと夏の長さより…」を選曲しており、ほかにも以前から久保史緒里がラジオや『乃木坂工事中』(テレビ東京系)でお気に入りの1曲として熱く力説し、衛藤美彩が卒業ソロコンサートで歌唱していたりとメンバーから支持の厚い楽曲でもある。

 「ひと夏の長さより…」を作曲したのは、青葉紘季、角野寿和からなる音楽ユニットのaokado。乃木坂46では、ほかにも「孤独な青空」を、同じ坂道シリーズの欅坂46では「制服と太陽」、日向坂46では「約束の卵」と「やさしさが邪魔をする」、AKB48グループにおいては「365日の紙飛行機」(クレジットは「角野寿和/青葉紘季」名義)を作った名作曲家だ。どの楽曲にも通底しているのは、温かな音色と表裏一体にあるセンチなメロディライン。分かりやすく言えば、「制服と太陽」の切なさと「365日の紙飛行機」の流麗なサビの旋律は「ひと夏の長さより…」に通ずるものがある。イントロからAメロ、アウトロにかけて常に流れるエレピを筆頭に哀愁を帯びた音像は、誰しもが夏の終わりをイメージする。肌寒い秋風が吹く今の季節とマッチしたのも、1位に輝いた要素かもしれない。

 放送の中で、新内眞衣は落ちサビの〈来年の夏はまた/きっとここに来るだろう〉の歌詞を読み上げた。思い浮かべるのは、今年開催できなかった明治神宮野球場でのライブの風景、匂い、風。2番サビでは〈この夏は特別だ/僕にとって意味がある/今までと比べられないほど/大切な時間〉と綴られている。生活様式が一変した今、歌詞の解釈の仕方も無意識に違った方向に捉えてしまいがちだが、不思議とこの歌詞は希望の言葉に聞こえてくる。「シンクロニシティ」でも、「世界中の隣人よ」でも歌われているように、乃木坂46はいつだって「はなれてたって、ぼくらはいっしょ!」と私たちにメッセージを投げかけてきた。

 オンエアで、松村沙友理とともに「ひと夏の長さより…」のダブルセンターを務める秋元真夏は、予想外の出来事に涙を流し「すごいプレゼントをいただいた気分です」と感謝を伝えていた。その涙が表すのは、楽曲への思いと毎年重ねてきたファンとのかけがえのない思い出。来年の夏はまたきっと神宮でライブが開催できることを願って。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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