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金爆ヒットに続くのは? 2010年代のV系シーン見取り図

リアルサウンド

13/7/22(月) 6:00

 80年代末に勃興し、90年代にブームを起こした「ヴィジュアル系(V系)」。2000年代に入ってからも「ネオ・ヴィジュアル系」と呼ばれるバンドたちが、海外からも注目を集めました。さて、そんなV系シーンですが、2010年代の最大のトピックはゴールデンボンバーのブレイクでしょう。

 ゴールデンボンバーの出自は紛れもなくV系であり、「なんでもあり(V系のツボを押さえていればエアバンドでも受け入れられる)」というこのシーンでなければ出て来なかったバンドだと思います。09年に代表曲となる『女々しくて』急速にブレイクし、今では御存知の通りお茶の間にも完全に定着しました。

 では、「V系シーン」自体が金爆を中心にして盛り上がっているか? といわれると、世間一般的にはそうではない模様。90年代のブームのようにV系バンドがポストゴールデンボンバーになるべく群雄割拠してるわけではないのが現状です。

 かといって他のバンドがまったく盛り上がっていないわけではなく、20年以上続くシーンも細分化し、外部からは見えづらくなっているだけのようにも感じます。ここでは近年のバンドやシーンの動向の話を整理して紹介したいと思います。

V系王政復古? 世界観重視のダークV系バンドの再興。

 今年リリースした2枚のシングルは双方ともオリコンメジャーチャート9位を記録し、3月にはNHKホールワンマンを成功させ、いま最も武道館に近いと目されV系バンドが己龍(読み方:きりゅう)です。「和製ホラー」というコンセプトのもと、和風を意識したド派手な衣装、『屡流(読み方:るる)』『悦ト鬱(読み方:えつとうつ)』『愛怨忌焔(読み方:あいえんきえん)』といった難読タイトルに加えて残酷描写の多いPVは90年代のV系を連想させます。

 その一方でAmebaブログなどで親しみやすさを出す一面も。特にリーダーの九条武政のブログは、ネタ満載の記事から真面目な内容まで扱う人気ブログで、強豪ぞろいのV系有名人ランキングでも常に上位にランクインしています。この二面性が現代のV系シーンで勝ち抜く要素なのでしょう。

残虐描写満載のPVはまさにV系の面目躍如といったところ

 そして結成2〜3年の若手にもダークさを全面に出したバンドが増えています。その代表格がDIAURAとMEJIBRAY。双方と今年の上半期に赤坂ブリッツでのワンマンを成功させており、今後の展開が期待されています。

 また、Moran、amber grisといった美麗な世界観を重視したバンドも見逃せません。特にMoranは7月10日にリリースしたシングル『ホロウマン』がオリコンインディーズチャート1位を記録し注目を集めています。

おもしろいV系は金爆だけではない!

 「V系=ナルシスト」な世間の概念を打ち破って爆発的な人気を得たゴールデンボンバーですが、「笑わせるV系バンド」はゴールデンボンバーだけではありません。

 彼らとほぼ同期で「ゴールデンボンバーの友達」を自称する仙台のJin-Machineも、昨年リリースしたシングル『節電夏』がオリコンインディーズチャート6位にランクインし、勢いづいています。

 また、おもしろいV系のパイオニア仙台貨物のボーカル、イガグリ千葉が6月に主催したツアー「Over The『H』vol.1」や、上記のJin-Machineらが主催する「non stylish wave」のように、一風変わったV系バンドばかりを集めたライブイベントをバンドが自ら主催し、このシーン全体を盛り上げようという空気が感じられます。

ダチョウ倶楽部の上島竜兵とコラボしたCMも話題に

老舗V系レーベルの底力

 ここでは、V系の老舗フリーウィルのレーベル、Resistar Recordsに注目したいと思います。

 DOG inTheパラレルワールドオーケストラ・BugLug・Blu-BiLLioNの3バンドを要するこのレーベルの特徴はバラエティ風の動画番組配信などで積極的に「バンドやメンバー同士の関係性」を打ち出していること。

 V系というジャンルはは勃興時からレーベル同士の先輩後輩関係の交流を雑誌に全面に出して、それをファンが楽しむという構図があった。それを現代的にアップデートしたのがResistar Recordsなのではないでしょうか。

 またおなじようにD’ERLANGERやL’Arc〜en〜Ciel、シド を輩出したDANGER CRUEの若手バンド、ユナイト、カメレオ、DIVも動員、売上ともに急成長しており、老舗レーベルの底力を感じさせます。

「某バラエティ風の企画に挑戦するバンドマンたち。かいま見える素のキャラがファンの心をつかむのだろう」

V系ファン=バンギャル文化に注目

 宝塚やV系ファンのおっかけ文化を紹介する『おっかけ!』(ブックマン社)や、バンギャルのあるあるネタをテーマにした『バンギャルちゃんの日常』(エンターブレイン)『秘密のバンギャルちゃん』(竹書房)など、V系ファン=バンギャル文化を描くエッセイ漫画も人気。V系バンドの文化にも20年以上の歴史があるように、ファンであるバンギャルの文化も脈々とつづいています。

 ご覧のように、黎明期からある老舗レーベルから新興の若手バンド、そしてファンの文化も含めて「V系シーン」は多岐にわたっています。一見とっつきにくいジャンルかもしれないが、一度触れて見ることをおすすめしたいと思います。

■藤谷千明
ライター。ブロガーあがりのバンギャル崩れ。執筆媒体は「ウレぴあ総研」「サイゾー」「SPA!」など。Twitter

■関連情報
ゴールデンボンバー
己龍公式項
Diaura official website
MEJIBRAY
Moran OFFICIAL WEBSITE
Jin-Machine OFFICIAL WEB SITE
仙台貨物 OFFICIAL WEB SITE
ブックマン社 連載「おっかけ!」
蟹めんまのバンギャル漫画

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