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スペシャ発信プレイリスト「BOOM BOOM BOOM」、リアルイベント開催の意義 SKY-HI、XIIXら集ったライブを観て

リアルサウンド

20/11/4(水) 18:00

 スペースシャワーネットワークが発信しているプレイリスト「BOOM BOOM BOOM」。現在12の音楽ストリーミングサービスで配信中の「BOOM BOOM BOOM」では、“今後の音楽シーンでブームを巻き起こすアーティストの楽曲”をピックアップしているとのこと。プレイリストは月に1回更新され、例えば10月分では、ミュージックビデオ公開からの約半年間で多くの人に愛され、育てられてきた緑黄色社会の新たなアンセム「Mela!」、マカロニえんぴつのメジャーデビュー作収録曲「生きるをする」、メディア露出はないがSNSを中心に人気を集めているもさを。や泣き虫☔︎の新曲などが選曲されていた。バンドからソロのシンガーソングライターまで、今話題の楽曲をしっかり押さえつつ、今後飛躍するであろうアーティストをいち早く知りたいリスナーにおすすめのプレイリストといえるだろう。

 そんな「BOOM BOOM BOOM」による初の配信ライブイベント『BOOM BOOM BOOM LIVE vol.1』が10月29日に開催された。出演者は、SKY-HI、XIIX。そして「BOOM BOOM BOOM」による新人アーティスト応援企画「STARTERS MATCH」で選出された、神はサイコロを振らない、yonawo、kobore。8月17日から9月20日の期間中、「STARTERS MATCH」エントリー楽曲の再生回数と、アーティストごとのDAMでの歌唱ポイントの合計数が多い上位3組が選ばれ、本イベントに出演する資格を得た。今話題のアーティストや、今後飛躍しそうなアーティストのライブが楽しめる本イベントは、「BOOM BOOM BOOM」プレイリストのコンセプトとも重なる。

 開始時刻になると、進行を務める小関裕太(「BOOM BOOM BOOM」と連動する音楽番組『BOOM BOOM BOOM ch.』で司会を担当)が登場。中継会場がライブハウスであることに触れながら、このライブの趣旨、そして「ライブハウスだからこその音の温かみ、感動を伝えていけたら」という想いを伝えた。おそらく小関自身もライブハウスに来るのが久々だったのだろう。ドリンクカウンターでビールを頼んでスタッフにツッコまれたりしながら、興奮気味に話している。

 5組中最初に登場したのは、東京・府中発の4ピースバンド・kobore。現在koboreは全国ツアー中。サウンドのみずみずしさ、そして“何度も立ってきた場所に今日も立っている”という佇まいの頼もしさに、生粋のライブバンドであることを改めて思い出させられる。彼らは、衝動の乗ったアッパーチューンからじっくり歌い上げるバラードまで、毛色の異なる4曲を演奏。短い時間のなかでバンドの幅の広さを見せた。佐藤赳(Gt/Vo)は去り際に「ライブハウスで会いましょう」と一言。プレイリストを通じて1曲を好きになったら、他の曲を聴いてみたり、ライブに足を運んでみたりすれば、さらに新しい感動に出会えるかもしれない。そんなメッセージが読み取れるライブだった。

 2組目のyonawoは、福岡で結成されたネオソウルバンド。「BOOM BOOM BOOM」でもピックアップされた楽曲「天神」が史上初となる福岡FM3局で同時パワープレイを獲得するなど、特に九州地方での人気が高いが、その名は全国に広まりつつあるようだ。彼らは「天神」を含む計3曲を演奏。配信ライブをやるのはこの日が初めてだったらしく、緊張を口にしつつも、自然体の佇まいで、心地よいグルーヴを生む演奏を届けた。ライブ終了後に小関が言及していたように、思わず身体を揺らしてしまった人もいるのではないだろうか。この波を生で浴びたいと思う気持ちも正直あるが、例えば細かいリズムの面白さなど、“イヤホンで聴くとより詳細にニュアンスが分かる”という配信ライブならではの楽しさもしっかり味わえた。

 続いては、「夜永唄」がロングヒット中の4ピースバンド・神はサイコロを振らない。彼らは、セットリストの冒頭に激しいアッパーチューンを配置。「夜永唄」の印象から“神サイといえばバラード”というイメージを持っている層に対して、ライブハウス出身バンドとしてのフィジカルをアピールした。そこからグラデーション的に落ち着いたトーンの楽曲へ入っていく流れへ。「夜永唄」のあとに披露された映画『リトル・サブカル・ウォーズ ~ヴィレヴァン!の逆襲~』の主題歌でデジタルリリースされたばかりの最新曲「目蓋」は、柳田周作(Vo)曰く、「僕ら史上最も平和で温かくなるような曲」。世界を洗い流す雨のように穏やかなサウンドを背に、楽曲と自身の心を重ねるようにして歌う柳田、その左頬には涙の跡が。万感の想いが込められた演奏だった。なお、神はサイコロを振らないは「STARTERS MATCH」で1位を獲得したため、ライブ終了後、小関からトロフィーが贈られた。

 今年1月にデビュー作をリリースしたXIIXは、ライブ自体がなんと3度目で、配信ライブはこれが初。観客(視聴者)にとっては彼らのライブを観られる希少な機会となった。過去2回のライブは、ドラム/キーボード/マニピュレーターをサポートに迎えた編成だったが、今回は、ステージに立つのは斎藤宏介(Vo/Gt)と須藤優(Ba)のみ。2人では鳴らせない音を同期で流しながらの演奏となった。トラックのテンポに乗りながら、そこにフレージングリズムを噛み合わせていくスタイルであるため、“決められた尺の中にどれだけの遊びを突っ込むことができるか”という点がライブならではの楽しさになってくる。そのうえで、各々のソロの他、セカンドメロディ並みによく動くベースライン、ギターカッティングの小気味よさ、エフェクターを踏むごとに飛び出す面白い音色など、細かい見どころがたくさんあった。「ライブが久しぶりすぎてバンド名を噛みました(笑)」(斎藤)と初々しい場面もありつつ、2人のプレイヤビリティに魅せられているうちにあっという間に終わった印象だ。

 トリのSKY-HIは、DJ HIRORONとの2人編成で登場。1曲目はYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」の動画やベストアルバムリリースをきっかけに再び脚光を浴びている「何様  feat.ぼくのりりっくのぼうよみ」で、「THE FIRST TAKE」で解禁となったピアノアレンジのバージョンだ。そこから立て続けに「Doppelgänger」、「Sky’s The Limit」と展開。前半は、「#Homesession」で言うところの〈闘う人の顔は怖い/けど闘わない事はもっと怖い〉に通ずるような、鬼気迫るパフォーマンスで畳み掛けた。後半に入ると、7曲目では、SKY-HIによる新会社・BMSGとavexが共同設立したレーベル<B-ME>に所属するNovel Coreをゲストとして呼び込み、彼のメジャーデビュー曲「SOBER ROCK」をコラボ。直前のMCで、まるで昔の自分を見ているようだと話していたSKY-HI。「初めて蹴るヴァースやるぜ」と披露された箇所、特に〈お前の夢は俺の夢〉から始まるリリックからは、2人の絆が垣間見えた。

 途中に語られたのは、渋谷のクラブでの駆け出しの頃の記憶。今日久々に会った人たち、初めて会った人たち、何よりも誇らしい自分のチームのこと。今ライブハウスに立ったからこそ生まれた想いの象徴として「Snatchaway」を歌いきったところで、全5組のライブが終了した。ライブ中は、Twitterや配信画面のチャット欄が観客(視聴者)によるコメントで賑わっていたようだし、終演後には、多くの出演者がSNSで充実感を言葉にしていた。“ライブハウスでライブをする”ことは、観客にとってもアーティストにとっても大きな意味があると実感できただけに、いつかはリアルイベントとして『BOOM BOOM BOOM LIVE』が開催されることを願いたい。新たなアーティストとの出会いの場にもなることだろう。

 このライブのアーカイブ配信はすでに終了しているが、余韻をまだまだ味わいたいという人は、12月25日にスペースシャワーTVで収録される特別番組、およびこの日のセットリストを再現したプレイリストをチェックしていただきたい。なお、プレイリスト「BOOM BOOM BOOM」の11月分は本日公開された。ヨルシカの「風を食む」、「キンモクセイ」で話題を呼んだオレンジスパイニクラブの新曲「リンス」、TikTokで人気急上昇中のおさるのうた「セイカツ」などがピックアップされている。こちらもお見逃しなく。

■蜂須賀ちなみ
1992年生まれ。横浜市出身。学生時代に「音楽と人」へ寄稿したことをきっかけに、フリーランスのライターとして活動を開始。「リアルサウンド」「ROCKIN’ON JAPAN」「Skream!」「SPICE」などで執筆中。

プレイリスト「BOOM BOOM BOOM」

■番組情報
プレイリスト発のレギュラー番組がYouTube生配信&スペースシャワーTVで放送中
『BOOM BOOM BOOM ch.』(ブンブンブンチャンネル)
視聴方法:YouTubeにて約1時間にわたり生配信
11月6日(金)20:00~(YouTube配信)
11月25日(水)23:30~24:00(SPACE SHOWER TVにて放送)
※毎月月初に生配信、月末にスペースシャワーTVにて30分に凝縮して放送いたします

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