Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

わーすた、生バンド編成を成立させた確かな実力とスキル スタジオライブ映像から伝わる日々の研鑽

リアルサウンド

19/9/13(金) 12:30

 わーすたが、来たる10月8日に代々木公園野外ステージにて開催する『わーすた FREE LIVE “ゆうめいに、にゃる!!!!!”』へ向け、7月より毎月YouTubeで公開されているSTUDIO LIVE。名うてのプレイヤーが集まった“NEKONOTE BAND”と織りなすこの競演は、KAWAIIジャパンアイドルカルチャーを世界に発信している普段とはまた違った観点から、彼女たちの新たな魅力を知ることができる。

わーすた / STUDIOLIVE NEW にゃーくにゃくにゃ水族館2

「楽曲の幅が広がったと同時に、こういうライブしたいな、こういうものを見せたいな、という気持ちが自分の中でも広がっているんです。最近いろんなアーティストさんのライブ観に行くんですけど、私たちも早く生バンドでライブやりたいと思っていたタイミングだったので、ワクワクしてます!」(廣川)

 実際、このSTUDIO LIVEの収録現場に足を運び、彼女たちの類稀なるスキルと音楽に対する真摯な姿勢を目の当たりした。(参考記事:わーすた、スタジオライブ企画で見せるグループの真髄 独特な世界観とパフォーマンス力を解説

 収録自体は非常にスムーズで、予定よりかなり早い進行を見せていた。バンドメンバーとの阿吽の呼吸を見ていると、撮影に向けてリハーサルを相当重ねて臨んでいるものだと思っていたのだが、どうやらそういうわけでもないらしい。

「踊っていて、バンドのメンバーさんと目が合うと、ニコッて笑ったりするんですけど、そういうのも“生”感があって良いですね。リハーサル自体はそんなにはしていないけど、音楽を通じて距離が縮まった気がします」(廣川)

 適応能力が高い、とでもいうべきか。余談だが、ライブでのスマホ撮影をOKとしているわーすたは、海外でいう“fancam(ファンカム)”、つまりファンが自分のスマホで撮影した動画がYouTubeを中心に多く上がっている。そんな中で、音響トラブルに見舞われてオケが再生されず、自分たちでカウントを取りながらアカペラ状態で始めたライブ動画があった。ここまでは他グループでも見たことのあるような光景なのだが、驚いたのはそのあとである。楽曲も中盤に差し掛かると突如オケが復帰。歌いながらオケの復帰を察して、すぐさま楽曲の場所を確認、動ずることなく自分たちのカウントからオケに移行し、歌い続ける、という見事なまでの離れ業は、何度繰り返し見ても唸るしかなかった。楽曲のキー、BPM、リズム感……何も頼らずとも楽曲のすべてが頭と身体に染み付いているのだろう。抜群の勘の良さとトラブルに動じない度胸が垣間見えた瞬間だった。たとえ悪環境の中であってもいつもと変わらないクオリティでライブを行うことが出来る、そんな気さえした。であるから、オケより歌うことが難しい生バンドでのライブだが、彼女たちにとっては実に歌いやすい環境であり、実力を十二分に発揮できる場なのではないか、そうあらためて思った。

 生バンドによるアイドルのライブは昨今珍しいことではないが、誰でも生バンドのライブをやればカッコ良くなる、生バンドでやればいいライブが出来る、……というわけにはいかない。確かな実力とスキルが必要なのだ。

「バンドが入ると、バンドメンバーさんの熱量も加わるから気が引き締まりますね。と言いつつ、バンドサウンドってめっちゃ迫力あるからリズムに自然と身体が乗ったりして、本当に楽しいです!」(廣川)

 悠々と音程を置いてくるような歌声に絶対音感すら感じさせる廣川奈々聖と、感情の赴くまま、時として吐き捨てるように声を鳴らす三品瑠香。この鉄壁のツインボーカルを軸に、はにかんだ無邪気さを見せる坂元葉月、とぼけた表情で愛嬌を振りまく松田美里、真っ直ぐな眼差しで凛とした小玉梨々華の3人が寄り添い、支え合っていく。この5人でわーすたの世界は描かれる。

わーすた / STUDIOLIVE 最上級ぱらどっくす

 「最上級ぱらどっくす」では、しなやかに突き抜けていくサビで感じられる圧倒的な歌唱力と、そこに向かうまで5人が紡いでいくリズムとグルーヴの渦を存分に堪能できる。「PLATONIC GIRL」は、鉄壁のツインボーカルが気持ち良いほど爆走するロックナンバー。大人の色気を漂わせながら巻き舌気味の廣川と、これぞ“三品節”の真骨頂というべき、斜に構えながらのシャウトが炸裂する三品のコンビネーションがどんどん加速していく。そんな2人の合間を縫うように、キレの良いダンスを見せる坂元、松田、小玉の3人。ライブで歌い抜かれ、やり込んできたからこその余裕と、生バンドならではの迫力も相俟って、音源以上の破壊力を持ったキラーチューンへと変貌している。彼女たちのアーティスティックな側面を引き出し、新たな可能性をも予感させる仕上がりだ。

わーすた / STUDIOLIVE PLATONIC GIRL

 対して、今回新たにアップされたのは“うるチョコ”の愛称で長く親しまれてきた「うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ」。タイトルならびに、日本語詞の常識を壊しにかかる〈マジでトリケラトップス強い〉というパワーフレーズが物語るように、一筋縄ではいかないわーすた楽曲を象徴するこのナンバーは、バンドアレンジで聴くと、その予想だにしない楽曲展開が顕著になる。そこに乗る、ジェットコースター的ミュージカルテイストで繰り広げられるボーカルパートに、“カワイイ”だけでは片付けられない匠な妙味を感じることができるはず。リズムやピッチといったボーカルの巧手と、アイドルとして、女の子としての輝かせ方を熟知した合わせ技である。

わーすた / STUDIOLIVEうるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ

 “カワイイ”があるからこそ“カッコイイ”が映える、その逆もまた然り。このコントラストが最近のわーすたの大きな魅力となっている。結成5年目に突入し、メンバー5人のうち、3人が20歳を超えた今、グッと大人びた表情を見せながら貫禄をも漂わせる。

「ここのカメラを意識して、みたいに研究しながら撮影してます。MV撮影とは違って、歌い慣れてる楽曲なので、いつもこうしてるけど今日はこうやってみようとか、新しいチャレンジができる場でもあります」(廣川)

 難易度の高い楽曲を演奏するNEKONOTE BANDにも注目だ。打ち込みのシーケンスではなく、こんなフレーズまで手弾きするのか、と耳も目も釘付けになるバンマス、岸田勇気(Key)。今回から初参加となる、きこり(Gt)、tmsw(Ba)というYouTubeの演奏動画で活躍する弦楽器の2人の人選にも納得。わーすた楽曲の複雑さを考えれば、卓越した技巧派プレイヤーでないと務まらない。

「最初、バンドさんのリハーサルしているところに、挨拶をしに行かせていただいたんですけど、私たちが歌ってないだけでものすごいクオリティなんですよっ! その音源買います! って思ったくらい(笑)」

 以前より、バンドメンバーのYouTubeチャンネルを見ていたという松田は興奮気味に語る。

「元々YouTubeで活躍されている方だったり、これまでもバンドライブでお世話になっている方にバンドメンバーとして参加してもらって、自分たちの曲を演奏してもらうなんて、こんな嬉しいことはないです。私たちの自慢の曲たちが皆さんの腕によって、より輝いているので、YouTubeでいろんな人に届いて欲しいな」

 わーすたがはじめて生バンドでライブを行ったのは、2017年4月にZepp DiverCity(TOKYO)で行われた『The World Standard ~夢があるからついてきてね~』。あの時は女性メンバーを中心としたNEKONOTE BANDだった。むらたたむ(Dr)はその時のメンバーである。2度目の生バンドライブは同年12月、渋谷WWW Xでの『わーしっぷ大感謝祭2017 ~NEKONOTE 借りちゃいました~』。

「はじめてわーすたで生バンドライブをやらせてもらったときに、“バンドってこんなにすごいんだ”と思ったんです。それから生バンドでライブをすることが楽しくて」(坂元)

 そして10月8日、わーすた史上3度目、約2年ぶりとなる生バンドライブが代々木公園野外ステージにて開催される。『わーすた FREE LIVE “ゆうめいに、にゃる!!!!!”』のタイトル通り、入場はフリー。リリースイベントを除いて、わーすたが大々的にフリーライブを行うのは意外にも初めてのことである。

「わーすたを、名前は知ってるけどまだ生で観たことがない方もたくさんいらっしゃると思うので、そういう方にも気軽に遊びに来て欲しいです」(坂元)

「フリーだからこそ来てくれるお客さんもたくさんいたら良いなと思ってます。普通のワンマンではない場所で、特別な編成でわーすたのすごいところを観てもらえるせっかくの機会なので、めちゃくちゃ気合い入れて挑みます!」(三品)

「偏見じゃないですけど、アイドルのライブはこういうものだろう、っていうイメージを持っている方っていると思うんです。そういう方にも観てもらいたい、この機会にわーすたを魅せつけて絶対ファンにしてやりたいです!」(廣川)

 すでにライブでは披露されているが、10月30日にニューシングル『遮二無二 生きる!』のリリースも決定しており、11月からはツアー『わーすた ライブツアー2019 ~遮二無二 xxx!~』がはじまる。そうした意味でも、このフリーライブは5年目に向かうわーすたの決意が見られることは間違いないだろう。

「ファンの方はもちろん、来てくれる方、全員を驚かせたい。このライブがどういうものになるかによって、今後のわーすたが決まるんだ、と思っているくらい、すごく大事なライブだと思っています。ですので、今からできることを精一杯やっていきます。5年目に突入した私たちを観に来てください!」(小玉)

わーすた / STUDIOLIVE スタンドアロン・コンプレックス

 3カ月に渡ってアップされてきたSTUDIO LIVEは「スタンドアロン・コンプレックス」で壮大に締めくくられる。同曲は、「PLATONIC GIRL」を提供したみきとPがわーすたに書き下ろした楽曲となる。普遍的なメロディを廣川が抒情たっぷりとしめやかに歌い、三品が聴き手の心に揺さぶりをかけるように歌声を響かせる。声を張ることが“強さ”ではないこと、囁くことが“優しさ”ではないことを教えてくれるのだ。声量ではない声の鳴らし方を知っている対極的なスタイルを持った2人のボーカリスト。その間を3人が代わる代わる流麗に、優雅に舞っていく。これが新陳代謝の激しいシーンの中で、ずっと変わらぬ5人で走り続けてきた、わーすたである。

 5人が結成5周年へと向かっていく新たなはじまり――。10月8日はきっとそういう日になるに違いない。

■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログTwitter

■リリース情報
『The Legend of WASUTA』
発売中
CD+Blu-ray:¥2,000(税込)
CDのみ:¥1,500(税込)
ミュージックカード:¥1,500(税込)

<CD収録内容>※共通
01 ゆるぷれいる
02 アンバランス・アンサーズ
03 誰も悪くない
04 おやすみ
05 メラにゃイザー !!!!! ~君に、あ・げ・う♪~
06 ゆるぷれいる (Instrumental)
07 アンバランス・アンサーズ (Instrumental)
08 誰も悪くない (Instrumental)
09 おやすみ (Instrumental)
10 メラにゃイザー !!!!! ~君に、あ・げ・う♪~ (Instrumental)

<Blu-ray>収録内容
01 メラにゃイザー !!!!! ~君に、あ・げ・う♪~ Music Video

■ライブ情報
『わーすた FREE LIVE“ゆうめいに、にゃる!!!!!”』
日時:2019年10月08日(火)
会場:東京都代々木公園野外ステージ(〒151-0052 東京都渋谷区代々木神園町2−1)
出演:わーすた × NEKONOTE BAND
チケット:入場無料
※詳細は公式サイトまで

『わーすた 東名阪福ツアー』
11月4日(月・祝)東京・山野ホール
11月10日(日)福岡・Drum Be-1
12月1日(日)愛知・ボトムライン
12月8日(日)大阪・amHALL

わーすた オフィシャルホームページ
わーすた オフィシャルファンクラブページ

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む