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広瀬アリスが見せたクールな横顔 患者家族と向き合う成長譚を描く『トップナイフ』

リアルサウンド

20/3/1(日) 12:45

 病院に配属されてから3カ月が経っても結果を出せない幸子(広瀬アリス)は、「誰の役にも立っていない」とふと言葉を漏らす。自分には向いていないのではないか。その不安は、深山(天海祐希)をはじめとした優秀な脳外科医を見ていれば当然感じずにはいられなかったのだろう。『トップナイフ-天才脳外科医の条件-』(日本テレビ系)第8話では、そんな幸子がひとりの患者と家族に向き合うことで「自立する」、成長のドラマが描かれた。

参考:ほか場面写真多数

 麻痺した腕を自分の過去の恋人だと思い込んでしまう、通称“エイリアンハンド”と呼ばれる症状を抱えた患者・前川(金田明夫)。その姿に怒りとショックを隠せない前川の妻・純子(原日出子)に「手術の同意書」を書いてもらうというのが、幸子に与えられたミッションだった。しかし、最初はまったくうまくいかず、「夫婦の話なんてわかんない」と投げやりになってしまう。そんな幸子だが、いつになく冷静で厳しい今出川部長(三浦友和)に「これは君の仕事だ。真剣にお願いします」と言葉をかけられ、同意書をとることに必死で取り組もうとする。

 そうやって幸子を突き放しておきながらも、常に彼女のことを「見ている」姿が印象的だった今出川部長。「なぜ自分を脳外科に呼んだのか」との幸子の問いかけには、座学が得意で人とのコミュニケーションがうまく図れず「人間のことがわからない」という、幸子が抱える悩みをすべて肯定する形で「だからうちに誘った」と返す。脳も人間も複雑なもので、わからないことだらけ。それに立ち向かうには幸子の“素直さ”が必ず武器になり、その可能性に期待しているのだと今出川部長は言う。

 心強いアドバイスを受けた幸子は、得意の座学によって海外の論文を読み込みながら、「顔を見るのがどんな診察でも一番大事。今日は奥さんの顔だけ見てなさい」という深山の助言も柔軟に受け入れ、ついに前川夫妻が抱えていた思いに気づくことになる。今出川部長と深山、その偉大な先輩ふたりのさりげないサポートによって一歩前へと進む、理想的な成長を遂げた幸子。「不思議ですね、夫婦って。いや、人間って。でも、おもしろいです、ちょっと」と朗らかな顔で言ってみせる彼女の横顔が、一層光って見える瞬間だった。いつものはっちゃけた姿からは一転した広瀬アリスのクールな側面も、視聴者の心を掴んだことだろう。

 親子の確執を抱えていた西郡(永山絢斗)に、突然現れた子どもとの関係を模索する深山や黒岩(椎名桔平)。『トップナイフ』がたびたび描くこの「家族」というテーマは、「仕事」に囚われた脳外科医の“もうひとつの側面”に光を当てるためのキーポイントになっているだろう。第8話のラストでは、東都総合病院に転院してきた患者が、今出川部長の奥さんであると判明。「君たちに治してもらいたい」と言う今出川部長の切実な姿勢と、奥さんに対してどこか罪悪感を抱えているような表情が強く印象に残る場面だ。今出川部長とその妻、ひと組の夫婦を捉えることで今度はどんな「人間の複雑さ」が描かれるのか。終盤に差し掛かったこのドラマの行く先が気になる。 (文=原航平)

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