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今市隆二が語る、ソロ活動で芽生えた意識の変化 「歌い継がれるようなヒット曲を作りたい」

リアルサウンド

19/10/30(水) 8:00

 三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEの今市隆二(RYUJI IMAICHI)が、2019年10月30日にソロシングル『RILY』をリリースする。2018年からソロ活動を始動した今市隆二だが、フィジカルCDでシングルをリリースするのはこれが初めて。しかも、今市隆二が主宰するウェアコレクションの名前も「RILY」であるなど、彼にとって重要な作品であることを予感させる曲名だ。

 そのシングル『RILY』は、今市隆二ならではのアシッドジャズ。彼のファルセットの魅力も存分に味わえる。2018年の初めての配信シングル『ONE DAY』では、ボーカルの研ぎ澄まされたタイム感に圧倒されたものだが、ファンキーなリズムも鳴る「RILY」でもそれを体感させられる。

 「RILY」、そしてソロボーカリストの今市隆二はいかにして育まれたのかを本人に聞いた。(宗像明将)

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●「リバイバルすることによって新しいものが生まれる」

ーー2018年の「ONE DAY」を皮切りにソロ活動を活発にするようになりましたが、「RILY」までに何か変化はあったでしょうか?

今市:去年のツアーは自分の理想を全部詰めこんだ内容だったのですが、今はいろんなトラックメイカーの方とセッションして、楽曲をたくさん作っている状況のなかで、「ヒット曲を作りたい」っていう思いが強くなったので、すごく考えて作ってます。

ーー「ヒット曲を作りたい」と思うようになったきっかけは何でしょう?

今市:アルバム(『LIGHT>DARKNESS』)を作ったあと、もっといろんな人に聴いてほしいし、いろんな人生があって、それぞれの好みがあるなかで、大衆に向けて刺さる曲を作りたいっていう欲が出てきたんです。もちろんアーティストなので、ちゃんとグルーヴする良い音楽を作って、最高の歌も歌って、というシンプルなところは変わらないですが。

ーー2018年からは、ソロと三代目 J SOUL BROTHERSの活動が両方ありますが、その感触はいかがですか?

今市:7人でステージ立つのは、ソロとは全然別物で。ソロは、歌もダンスも楽器も全部自分でやらなきゃいけない。だけど、グループだと役割分担があるので、甘えられる部分は甘えられるし、引っ張らなきゃいけないところは引っ張らなきゃいけない。だから、楽曲の雰囲気も含めて全然違うし、別物だなって思いますね。

ーー「LIGHT>DARKNESS」に「Interlude ~RILY~」というトラックがありましたが、今回の「RILY」とはどういう関係性なのでしょうか?

今市:「RILY」は、その時期に作っていた曲だったんです。そのときはホーンが入ってたので、歌は入ってないんです。前回のアリーナツアー(『RYUJI IMAICHI LIVE TOUR 2018 “LIGHT>DARKNESS”』)のアンコール前にその曲を流しているので、今回「RILY」を聴いた人は「ああ、あの曲が歌になってる」っていう感覚になると思います。ヒット曲を作りたいというところで、今回の「RILY」に関しては、オールディーズな雰囲気もありつつも、フックのサビの部分はけっこうキャッチーにできたかなっていうのはあります。

ーー「RILY」をフルで録ったのはいつだったんですか?

今市:歌にするのは最初の段階で決めていて、レコーディングが去年の12月だと思いますね。全部のパズルがやっと合わさって、初めてのCDパッケージになるので、構想通りで嬉しいです。

ーー歌についてはどんなところを意識しましたか?

今市:今回Chaki ZuluさんとJAY’EDさんと3人で一緒に作ったんです。JAY’EDさんはリスペクトするR&Bシンガーの一人なので、JAY’EDさんのエッセンスも入れたいなと思って、ディレクションも立ち会ってもらったり、コーラスもJAY’EDさんの声を使わせてもらったりしました。歌詞は、意外とベタな歌詞が入ってたりするんですよ。でも、あえてそういうベタなことを入れることによって、引っかかりやすいというか。

ーー「ONE DAY」を最初に聴いたとき、今市さんのボーカルのタイム感がすごいなと思ったんです。それは今回の「RILY」でも変わりませんでした。そういうフィーリングはどこで体得したと思いますか?

今市:それは本当にR&Bが好きだからじゃないかなってすごく感じます。登坂(広臣)は、ダンスミュージックを聴いてるので、リズムに対してオンでいくタイプ。逆に言うと、自分はオンで歌うのがちょっと苦手なのもあるんですよ。R&Bを聴いてる人って、ノリが基本的にレイドバックなので。だからJAY’EDさんとはすごく合うんですよね。

ーーしかも、「RILY」は3分1秒しかないんですよね。この短さは意識的にやっているんですか?

今市:そこは今の流れもありますね。今や4分は長いし、どれだけ長くても3分半だと思います。自分もJ-WAVEでラジオ(『SPARK』)をやらせてもらっていて、毎回いろんなアルバムを紹介してるんですけど、アルバムで14曲はちょっと多いと思っちゃうんですよね。今、長いと聴かれないっていうのは現場的にあると思います。

ーーUSトレンドをJ-POPに取り入れたいという気持ちがやっぱりあるんですか?

今市:もちろんです。日本のポップスも、もっと変わっていかなきゃいけない部分もある。たとえばアジアだったら、USチャートとあんまり差がないから、日本は特殊だなって感じます。だけど、日本人だし日本の音楽を今は世界にも発信できたらなって思っているので、常に海外のものはチェックしています。

ーー「RILY」に関して、音楽面でトレンドは意識していますか?

今市:「RILY」に関してはあんまりトレンドを意識はしてないですね。どちらかというとグルーヴ。キャッチーな音楽って、「聴いたことがある音楽」だからキャッチーなんですよ。そういう意味では、オールディーズな雰囲気を出したほうがキャッチーにもなる。それに、リバイバルすることによって新しいものが生まれるので。

ーーカップリングの「Church by the sea」はバラードですが、バラードをご自身の強みにしようというところはあるでしょうか?

今市:自分自身がバラードは好きですし、武器にもなるかなと思っています。だからいつになるかわからないけど、バラードだけのアルバムも出したいし、演出も一切なしで、聴かせるバラードだけで構成するライブもやりたいなとは思います。

ーー「Church by the sea」は、『その瞬間、僕は泣きたくなった-CINEMA FIGHTERS project-』内で今市さんが初主演を務める短編映画『On The Way』の主題歌ですね。曲作りのイメージは、どう膨らませましたか?

今市:短編映画に出るとなったときに、「じゃあ曲を作ろう」ということになって、HIROさんと、『CINEMA FIGHTERS』で使用する楽曲の作詞を手がける小竹(正人)さんと3人で曲を決めました。この曲は、もともとはオルゴールの音色を基調とした、ファンタジックな楽曲だったんですけれど、いろいろと意見を言わせてもらって、生の弦を入れてもらったりしました。その段階でHIROさんに聴いてもらったら「ゴスペルっぽいニュアンスがあるから、クワイヤを入れたほうがいいね」って言われて、実際にクワイヤも入れてもらいました。かなり壮大です。

●「自分ってものを表現するのがベスト」

ーー今市さんは、NE-YOさんやブライアン・マックナイトさんともコラボしていますが、ご自身のミュージカリティに対して一番影響が大きかったアーティストは誰だと思いますか?

今市:今は完璧にブルーノ・マーズですね。でも、洋楽の入り口はブライアン・マックナイトなんですよ。もちろんスティーヴィー・ワンダーも好きだし、 TankもBoyz II Menも。きりがないですけど。

ーーブルーノ・マーズのどの辺に一番刺激を受けていますか?

今市:今、時代的にシンガーが減ってるじゃないですか。要は、マライア・キャリーとかホイットニー・ヒューストンみたいなシンガーが減っていって、ザ・ウィークエンドになるとカッコいいのですが、トラックで聴かせてる部分があって、どちらかというとシンガーのイメージが少ないですね。やはり自分はボーカリストになので。ブルーノ・マーズは、ライブの映像を見ると毎回歌のフレーズが違ったり、アレンジが違ったりしていて、「Versace on the Floor」を見たときに「来た!」みたいな(笑)。自分がEXILEに憧れて、カラオケでEXILEをすごい歌ってたときの感覚を思い出して、久しぶりに鳥肌が立って、すぐATSUSHIさんに「こんな動画があるんですけど! やばくないですか!?」って連絡したら、「今ちょうど見てた」って。ボーカリストとして、久しぶりにビビッときたんです。この前もラスベガスでライブを見たんです。世代問わず盛り上がりがすごく、アーティストとして本当にリスペクトしています。

ーーそういうなかで、自分が感動するものを作りだしたい、届けたいという気持ちは大きいですか?

今市:それはもう絶対です。曲を作るのってすごく労力も使うから、すごく愛してもらいたいし、やっぱりヒット曲を作りたいです。それは作ろうと思ってできるものじゃないし、でも、作ろうと思ってないとできないし。いろんな出会いのタイミングとか、時代とかが重なってできると思うので、「ヒット曲を作ろう」というモチベーションで作っていくしかないなと思っています。

ーーでも、「え? 今市さん、売れてるじゃん? ヒット曲作ってるじゃん」みたいなイメージを持たれることもあると思います。

今市:全然そんなことないです。三代目としては「R.Y.U.S.E.I.」が沢山の方に愛して頂いてヒット曲になったと思うんですけど、ソロとしては。ヒット曲の概念も難しいですよね、たとえば尾崎豊さんの「I LOVE YOU」も、当時は意外と売れてないんですよね。だけど、これだけ歌い継がれているし。やっぱり残る曲を作りたいし、それには自分の思いを表現すればいいだけのことかもしれないし。それで残らなかったら残らないでしょうがないけど、自分ってものを表現するのがベストかなと思いますね。残るものは、狙って作るものじゃないと思います。

ーー今市さんは、完全に新しいものを作ると言うよりは、リバイバルをしながら自身のセンス提示していくタイプでしょうか?

今市:それでしか新しいものは生まれないのかなって思います。これだけ曲もあって、アーティストもいて、音楽家がいるので、それが自然と新しいものになっていくんじゃないかなと思いますね。

ーーご自身のセンスには自信はありますか?

今市:いや、まだまだだと思います。いろんなトラックメイカーの人と、曲を作ったり音楽話をしたりすると、自分の知らないことが多いです。だから、すごく幅広く音楽を聴くようになりました。

ーー昔のレコードで好きなものはありますか?

今市:最近でいうと、「Catch my Light」という曲をツアーでやってたんですけれど、ラストのサビを繰り返すときにちょっとアレンジを変えたくて、シェリル・リンのフレーズを入れたりしましたね。スタイル的に好きなのは、メアリー・J.ブライジ、アリシア・キーズ、ミュージック・ソウルチャイルドみたいに、ヒップホップ要素も入ってるシンガーですね、最近はその路線に行けたら超かっこいいなと思ってます。

ーー『LDH PERFECT YEAR 2020』では、登坂広臣さんとドームツアーを行うことが発表されましたが、ツアーに向けたイメージはあるでしょうか?

今市:楽曲はまだ完成はしてないですけど、何曲かイメージがあって作っている状況です。イメージをガラッと変えたいですね。どんなイメージなのかは、曲の出来次第なんですけど、また新しい自分を見せたいという思いは強いです。

ーー2020年に向けて、今市さんはどんな存在を目指していきたいですか?

今市:まずはドームツアーを成功させることが目標ですし、来年はいい感じになりそうな曲が今あったりもするので、そのクオリティを高めて、ヒット曲になれば。やっぱり曲ありきだなってすごく思うし、いいものができそうな感覚もあるので、楽しみにしていてほしいです。

(取材・文=宗像明将)

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