ドキュメンタリー映画は、今年も数多く公開された。そんななかから3本選ぶのは至難の業であるため、ここではまったく異なったタイプの作品を挙げてみた。『ニューヨーク公共図書館』は、誰もが優れていると思う作品だろう。ワイズマン監督の独特の映像世界は、ワイズマンならではのスタイルといえる。『i－新聞記者ドキュメント－』は、森達也監督のジャーナリスティックな魂に貫かれた世界であり、カメラが社会の隙間にうがつ空気感が面白い。一方、『サッドヒルを掘り返せ』は『続・夕陽のガンマン』のロケ地を復元するという映画ファンなら大喜びする題材を追っている。テーマも題材も、撮影対象も映像スタイルも、実に多種多様なドキュメンタリー映画の世界を改めて知らされた1年だった。