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甲斐翔真が初ミュージカルに挑戦 「稽古の失敗が本番の成功の近道」

ぴあ

19/10/16(水) 18:00

甲斐翔真 撮影/木村直軌

週刊少年ジャンプで連載され、国内のみならずアジアを中心に世界各国でブームを巻き起こした『DEATH NOTE』(原作・大場つぐみ、漫画・小畑健/集英社)。単行本は日本累計発行部数3000万部超。アニメ化、実写映画化、ドラマ化といった幅広いメディア展開がいずれも大ヒットし、2015年、2017年にはミュージカルとなり、こちらも大好評を博した。そんな『デスノート THE MUSICAL』が、2020年1月からオール新キャストで再々演されることが決定。気になる主演・夜神月役は、舞台経験も豊富な実力派俳優・村井良大。そしてデビュー4年目で大抜擢をされた、甲斐翔真のダブルキャストとなる。

「知らない人はいないくらいの大作のミュージカルに出るということに、稽古が始まる前の今から緊張しています(笑)。オーディションを受けて今回の役が決まったんですけど、当日は『受かるワケないよ』と『受かりたい』の気持ちを行ったり来たり。オーディション自体は、前もって1曲課題曲があって、芝居の審査もあったから、15~20分くらいは時間がかかったんですが、体感は5分くらいだったなあ……受かったと分かった瞬間は、頭の中が真っ白になりました」

誰もが知る超人気作のミュージカル。オーディションはかなりの倍率だったという。

「もし受かったら運命変わると思ってたから、本当にドキドキしました。しかもオーディションってただでさえ何回受けても慣れないのに、倍率を後から聞いたら2416分の1。思わず『え?』と聞き返しました。でも受からせてもらったということは、僕が出ている『デスノート THE MUSICAL』を観て、『こいつだったら、仕方なかったな。自分じゃなかったんだ』って納得してもらえるくらい、これから頑張っていかなきゃですね」

『DEATH NOTE』の魅力は、一筋縄でいかない心理戦・頭脳戦と、少年漫画らしからぬ主人公・月の、目の離せない闇の深さだと言える。

「『DEATH NOTE』って、分かりづらいようで分かりやすい、無理な設定でもスッって入ってくる作品だと思います。そして『正義って、悪ってなんだろう? 裁かれない人間がいるのに、なんでこの世の中成り立っているの?』という問いに、『確かにね』って思っちゃう。悪と正義の戦いではなく、正義と正義のぶつかり合いとうか、単純な答えの見えない奥深さが、長く愛されている理由なのでしょう。世界中で起こっている本質的な問題を、ギュッと詰め込んで色づけしているのが、本当に面白い」

『DEATH NOTE』とミュージカル、初見の人はその相性に疑問を持つかもしれないが、甲斐によればそれは杞憂のようだ。

「原作通りの展開を追ってしまったら、上演に何十時間もかかってしまいます。だから『デスノート THE MUSICAL』はオリジナルの1本としてやっていて、原作ファンの方でもファンになってしまうくらい素晴らしいものです。ミュージカルの醍醐味っていうのは、芝居と歌の融合だったり、踊りだったり、演出の豪華さだったりで、僕がミュージカルを好きな理由もそこにあります。『DEATH NOTE』がミュージカル化したことによって伝わる魅力や、臨場感、心のせめぎあいを、たっぷり堪能していいただきたいです。人と人とが殺し合いかというぐらい、関わり合う生の感じを、目の前でゲームしているくらいの感覚で味わえるのだから、本当、僕も客席で観たいですよ(笑)。因みに歌は、フランク・ワイルドボーンさんっていう、世界中で素晴らしいミュージカルを手がけている方の作で、すべてすごいカッコいいので、過去のお客様はみんな虜になっています!」

映画、ドラマ、そして3度目のミュージカルと、「夜神月」を演じた役者は多い。そもそもミュージカルに挑むのは初という甲斐にとって、プレッシャーを感じるなと言うほうが無理だろう。

「月に似ている、とはよく言われます。顔が(笑)。髪型も今日は寄せているかも。でも、今までたくさんの素晴らしい先輩俳優の方々が月を演じてきたわけですが、そこに僕が肩を並べてしまっていいのかなって思うことはあります。『これも縁だ』と思って、死に物狂いでやっていくしかないんですけどね。ダブルキャストの村井さんと僕との違いというのは、うーん……僕の方が原作の月に年齢が近いので(笑)。若気の至り感は僕の方が出せるんじゃないかな?」

村井良大との年の差は約10歳。キャリア的にも、ずっと前を走る憧れの存在だ。

「過去に月を演じた柿澤勇人さんとか、浦井健治さんは、役柄に入り込みすぎての苦悩があったと聞いたことがあります。シングルで演じられるかって訊いたら、絶対無理っていう返答だったとのことで。あの方々が言うのなら絶対無理ですよね。相当しんどいはず。もうダブルキャストで、村井さんがいてくださって本当に良かった。休憩したいからとかじゃなくて、それだけの辛くハードな役を初めてやるにあたって、本当に頼りになりますから。このインタビューの前にもたくさんお話したんですけど、先輩であり、お兄ちゃん的存在でもあります。いっぱい頼らせてもらいます(笑)。そして同じ板には立てないけど、同じ役っていうのが映像ではありえないので、村井さんの月がすごく見たいです」

過去の『デスノート THE MUSICAL』は、実は直接見たことはないという。

「僕、過去の『デスノート THE MUSICAL』が上演していた当時は、高校生でサッカーばかりやっていて、お恥ずかしながら観る機会がなかったんです。できれば直接見て、舞台のヒリヒリ感を味わいたかったなあ……。熱烈なファンの方には『知らなかったのか!』とお叱りを受けることもあるのですが、知らないなりに今研究していますし! DVDでは見させてもらいましたので、どうかご安心くださいね。それに今回、オールキャスト一新、脚本もブラッシュアップされて、本当に新しいものになります。僕が言うのもおこがましいですが、初演・再演があったからこそ僕らができることがあると思うので、いいものはキャッチして、ありったけの熱量で演じて、『最高の舞台だった』とファンの方に感じていただくのが目標です」

2020年1月20日(月)〜3月8日(日)の長丁場というのも、映像の仕事が多い甲斐には新鮮だ。

「地方も回らせていただくので、たくさんの方に観に来ていただけるチャンスだと思っています。ぜひ、劇場に足を運んでいただきたいです。ミュージカルファンの方、デスミュファンの方が来てくださるのは本当に嬉しいのですが、ミュージカルをまだ観たことがない方にもっと知っていただきたいと、強く思います。因みに今回の開幕の1発目の月は村井さんで、僕は翌日の出演です。初日に村井さんの演技を見て、次の日に持っていけるというは、正直、安心というか今からもう救われています(笑)。ただ僕は新人なので、とにかくパワーパワーッ!って感じで、お客様にもスタッフさんにも全力でぶつかっていきたいです。そしてそのぶつかった先で、化学変化で生まれる新しい『デスノート THE MUSICAL』を見出せたらいいんじゃないかと。僕は主演と言えば主演ですけど、そこは意識しすぎず、みんなで作り上げていくことを大前提にしたいです」

脇を固めるキャストを見ると、ベテランとフレッシュな若手がバランスよくそろっており、新たな世界観を予感させる。

「女性フレッシュ陣は何と言ってもこのふたり、西田ひらりちゃんは月の妹の粧裕そのもだし、吉柳咲良ちゃんのミサミサも、僕は楽しみです。月の父親役の今井清隆さん、死神リューク役の横田栄司さん、死神レム役のパク・ヘナさんは、もう皆さん大御所です。僕、このキャスティングを知って『月は僕で本当にいいんだっけ?』って考えてしまいました(笑)。この方々から学ぶことが、星の数ほどあると思うと、現場が楽しみです。特に横田さんとはかなり絡むので、どんな『リュークになるんだろう』って、すっごくワクワクしています」

甲斐にとり初ミュージカルだからこその緊張感は、じょじょに「よいものを作る」という強い心構えに変わっているようだ。

「稽古でのダメ出しは、もちろん覚悟していますし、失敗すること、できない自分にイラつくこともあると予想しています。また、ある種自分を持って真っ直ぐやっていきたいけど、いろんな人が関わっている以上、柔軟にもならなきゃいけない。自分を事前に作りすぎると、『俺は今までこうやってきたんだ!』ってパンクしてしまうから、クリエイティブな脳みそ作りもしなきゃならないですね。サッカーをずっとやってきて、どうしてもうまくいかないことが9割、1割が成功すればいいっていう世界を知っているので、これはテレビで知った言葉なんですが『失敗を喜べる自分』になっておかないとなって。失敗をすることによって、同じ轍は二度と踏まない。失敗は最高の成長期。だから失敗を大切にしていきたい。稽古場で失敗することが、本番をバッチリこなす近道なんだと僕は思います」

『デスノート THE MUSICAL』は2020年1月20日(月)の東京公演を皮切りに、静岡、大阪を経て、福岡で千秋楽3月8日(日)まで上演。爽やかなイメージの強い甲斐翔真が、渾身で演じるダークヒーローに期待が高まる。

さらなる進化を遂げる『デスノート THE MUSICAL』、チケット情報はこちら。
【関連リンク】『デスノート THE MUSICAL』

撮影/木村直軌、取材/藤坂美樹 構成/中尾巴

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