さいたまゴールド・シアター「聖地2030」公演中止、松井周「またどこかで」
21/1/8(金) 10:10

2月11日から21日まで埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 小ホールで上演予定だった、さいたまゴールド・シアター「聖地2030」の公演中止が発表された。
さいたまゴールド・シアターでは、感染症対策に注意を払い、1月初旬から本作の稽古を開始する予定だったが、新型コロナウイルス感染症の感染状況に鑑み、高齢者俳優の健康と安全を最優先に考え公演中止に踏み切った。
中止に際し、脚本・演出の松井周は「新しい感染者や死亡者の『数』が報じられる中で、それぞれの者には『個』の人生があるということが見えにくくなっているのを感じます。演劇という表現は、俳優という『個』の放つエネルギーが観客の『個』に作用し、自分や他人の人生を想像する機会になったりもします。『聖地2030』は、よりそのことを感じられる公演だったのになと負け惜しみのように思います」と思いを述べ、「今は撤退するとして、どこかで『また湧いてきやがったか!』という形で始まるのが演劇なので、諦めずに次の機会をうかがうつもりです。またどこかでお会いしましょう!」とメッセージを送っている。
中止に伴うチケットの払い戻しについては、彩の国さいたま芸術劇場劇場の公式サイトで確認を。
松井周コメント
「聖地2030」の公演は残念ながら中止となりました。作品を楽しみにしてくださった皆さま、大変申し訳ありません。
もともと十年前に上演した「聖地」の再演を考えていたのですが、このコロナ禍だからこその公演形態を模索する中で、安楽死をめぐるシンポジウムや儀式を中心にした「聖地2030」という全く新しい作品を上演したいと準備を進めてまいりました。
しかし、新型コロナウイルスの勢いを甘く見ることはできず、協議の結果、重症化リスクのある高齢者であるゴールド・シアターの面々との共同作業は難しいという判断に至りました。
新しい感染者や死亡者の「数」が報じられる中で、それぞれの者には「個」の人生があるということが見えにくくなっているのを感じます。
演劇という表現は、俳優という「個」の放つエネルギーが観客の「個」に作用し、自分や他人の人生を想像する機会になったりもします。
「聖地2030」は、よりそのことを感じられる公演だったのになと負け惜しみのように思います。
さて、今は撤退するとして、どこかで「また湧いてきやがったか!」という形で始まるのが演劇なので、諦めずに次の機会をうかがうつもりです。
またどこかでお会いしましょう!
さいたまゴールド・シアター第8回公演「聖地2030」
2021年2月11日(木・祝)~21日(日)
埼玉県 彩の国さいたま芸術劇場 小ホール
脚本・演出:松井周
出演:さいたまゴールド・シアター / 菅原直樹、大竹直、高橋義和、遊屋慎太郎、佐藤蛍、得丸伸二
※本公演は新型コロナウイルスの影響で中止になりました。
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