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和田彩花の「アートに夢中!」

【番外編】大好きな美術館。行ってみたい美術館(海外編)

月2回連載

第40回

緊急事態宣言の解除により、美術館・博物館の再開が本格化してきました。今回は、和田さんがいままで訪れたお気に入りの美術館、ぜひ行ってみたい海外の美術館や芸術祭などについて、引き続きおうちで語っていただきました。

名画しかない!
オルセー美術館(フランス・パリ)

パリ、オルセー美術館の館内 写真:アフロ

私が一番好きな海外の美術館は、やっぱり(注1)オルセー美術館です。

地上階の展示は、ジャン・オーギュスト・ドミニク・アングルから始まったと思うんですが、それがまず最高なんです。19世紀の美術の流れをこの建物の中で追うことができる上に、その全てが名画なんていう、ある意味恐ろしい美術館(笑)。初めて訪れた時はただただ圧倒されました。

オルセー美術館には、素晴らしいエドゥアール・マネのコレクションがあります。特に5階には「印象派」のギャラリーがあり、その中にマネの作品がひと通り並んでいるんですが、それ以外にも下の階に重要な作品が展示されていたりと、館内のいろいろなところでマネの作品を見ることができます。

でも残念ながら、どういう基準で各場所にマネの作品が展示されているのか、という美術館や学芸員の意図や構成を読み取るところまでには至らなかったんです。なので、早くまたオルセー美術館にまた行って確かめたいですね。

※注1
オルセー美術館

1848年から1914年のフランスおよびヨーロッパ、アメリカの美術品をコレクションするフランスの美術館。1900年のパリ万国博覧会のために建設されたオルセー駅を改造して、1986年にオープン。そのコレクションは、印象派を代表する絵画作品が多数収蔵されていることで有名だが、そのほか彫刻や装飾美術、写真、設計図面など多岐にわたる。

海外ではただ街を歩くだけでも楽しい

日本とはまったく違う海外の街を楽しむ中で、いろんな出会いがあります。それは建物であったり、風景であったり、街そのものであったり。

私は海外に行ったときに教会や大聖堂などを見るのが好きなのですが、教会の建物やステンドグラスなどは、日本ではなかなか見かけないもので、海外に行くからこそ楽しむことができますよね。

イタリアやフランスでは、名のある画家や彫刻家が贅を尽くして大聖堂などを飾りました。もともとは美術品として作られたわけではないですが、美術品の範囲としても語ることができるものであり、重要な文化財です。

これこそ、体感しないとわからないものだと私は思っています。実際に足を運び、実際に目にすることでその荘厳さや美しさ、そして建物の持つ力というものを感じることができるはずです。そして何より豪華さ。日本の引き算足し算の美や、質実剛健なところ、それに日光東照宮のような豪華さなんかも面白いと思いますが、それとは違った豪華さを海外の建物からは感じます。

それに街中にもたくさん美術の片鱗というか、歴史的に重要なものが残っているのも面白いところ。

パリ アベス駅  写真:アフロ

例えば、私が今度パリに行ったらぜひ見たいと思っているのがパリのアベス駅。建築家エクトール・ギマールによる貴重なアール・ヌーヴォー様式のエントランスが現存する駅です。パリのメトロが開通し、パリ万博が開催された1900年に作られたのですが、ギマールが設計したオリジナルのアール・ヌーヴォー様式のエントランスは、アベス駅とポルト・ドフィーヌ駅しか残っていません。こういう歴史的な造形物が街中にポンッと急に出てきて出会えるのが、ヨーロッパの街歩きの楽しいところですよね。

近現代美術の宝庫
ポンピドゥー・センター(フランス・パリ)

パリ ポンピドゥー・センター 写真:アフロ

まだ行ったことはないんですけど、一番行ってみたいのは、パリの(注2)ポンピドゥー・センター。2016年に東京都美術館で開催された『ポンピドゥー・センター傑作展―ピカソ、マティス、デュシャンからクリストまで―』には行ったんですが、現地にはまだ行ったことがないんです。

実はSTAY HOMEな日々を送っている時に、20世紀の美術をもう一度おさらいしていたんですが、私は19世紀以降に関心をほとんど持っていなかったんだな、ということを痛感。全然知らないことが多くて、いまも復習をしています。だから、私が知りたい19世紀以降の、特に20世紀の近現代美術の宝庫であるポンピドゥー・センターにはぜひ足を運んで、その素晴らしいコレクションを見たいんです。

それに建物も面白いですよね。ポンピドゥー・センターは、足場を組んだ工事中? と思わせるような不思議な外観。デザインはいま見ても斬新で、歴史的建造物が建ち並ぶパリの中でも、ひときわ目立つ建物です。だからこそ、その建物と周囲の景色や建物との差や違いっていうのも楽しめそうだなと思います。

※注2
ポンピドゥー・センター(ジョルジュ・ポンピドゥー国立芸術文化センター)

近現代美術の擁護者であった、フランスのジョルジュ・ポンピドゥ元大統領発案の総合文化施設。ホイットニー美術館(アメリカ)をデザインしたことでも知られる建築家、レンゾー・ピアノとリチャード・ロジャースらのグループのデザインにより、1977年に完成。ピカソやマティス、ダリ、ウォーホルなどの作品をはじめとする100,000点以上の作品を所蔵し、近現代美術のコレクションとしては欧州最大。

社会派の芸術祭
ドクメンタ(ドイツ・カッセル)

あと、ドイツの(注3)ドクメンタにずっと行きたいって思ってるんです。大学生の時に、いろいろな先生から社会派の芸術祭だと聞いていて。

第1回のドクメンタは1955年に、ナチ独裁体制下で退廃芸術と弾圧されてきた戦後ドイツの芸術やモダン・アートの復興と名誉回復を目指し、そしてその業績を振り返るために開催されました。ドイツの社会的・歴史的背景を考えると、その“社会派色の強さ”も、日本とは比べものにならないのだろうなと。

それがどういうものなのかを肌で感じてみたいと思っています。それに現代美術の動向を映し出す展覧会としても有名なので、いろんな角度から楽しめると思っています。でも5年に一度なので、次回は2022年。それまでに入念にいろんなことを調べて、行けることを祈っています。

※注3
ドクメンタ

ドイツ中央部ヘッセン州の小都市カッセルで1955年以来、5年に一度行われる現代美術の大型グループ展。通常6月から9月にかけて100日間開催されるため、「100日間の美術館」という通称を持つ。1975年以降は毎回チーフキュレーターが選ばれ、テーマや作家選考を一任。キュレーターはその時の世界情勢や時代背景を考慮し、確固としたテーマを掲げる。美術界の動向に与える影響力が大きく、世界的に重要な展覧会の一つに数えられる。

美しい水の都への憧れ
ヴェネツィア・ビエンナーレ(イタリア・ヴェネツィア)

イタリア ヴェネツィア 写真:アフロ

そして芸術祭といえば、(注4)ヴェネツィア・ビエンナーレ。ビエンナーレにももちろん行ってみたいのですが、ヴェネツィアという土地にも行ってみたいんです。これも、大学の先生から“絶対行った方がいい。行くべき!”と言われていたので、行かねばならないと思っています(笑)。

水の都ヴェネツィア。車が通らず、船で行き来するこの街は、古今問わずたくさんの芸術家を魅了してきました。ビエンナーレは1895年から開催されていますが、この都市がどうしてそれほどまでに美術と結びついてきたのか。それを自分で感じて、考え、体感することで、大きな経験を得られるんじゃないかなって思ってます。

実はいままで研究的にも、パリばかりを視野に入れていたので、なかなかほかの国のことを調べたりすることが少なかったんです。これからはフランス以外の美術や街、建物、そしてパブリック・アートなんかも見ていきたいなって思っています。

※注4
ヴェネツィア・ビエンナーレ

イタリアのヴェネツィアで1895年から開催されている現代美術の国際美術展覧会。歴史的にも規模的にも国際美術展の代表格。この展覧会は、万国博覧会や近代オリンピックのように国が出展単位となっており、参加各国はヴェネツィア市内のメイン会場となる公園やその周囲にパビリオンを構えて、国家代表アーティストの展示を行う。国同士が威信をかけて展示を行い賞レースをすることから、「美術のオリンピック」とも称される。

海外で美術を楽しむということ

海外の美術館は、日本とは規模が違ったり、コレクションの種類も違ったり。だからこそ、腰を据えてじっくり向き合うにはかなりの時間がかかってしまいます。一日一作家ぐらいの勢いで見ないといけないことも多い(笑)。だから行くとなると、しっかりと時間を確保して、ゆったり見られるようにしたいですね。

それに日本もそうですが、その国の素晴らしいコレクションが国内にあるんですよね。そういうのを見て回るのも面白そうですし、日本ではなかなか見ることができない、開催することが難しい作家や美術館の企画展があったりしますよね。海外に行かないと見られない展覧会というのも、行きたいという心をくすぐります。

それにヨーロッパって、電車に乗って降りたら違う国ということが当たり前。それは日本人の私たちにはなかなか体験できないことですよね。短時間で違う国を横断できて、歴史の違いをつぶさに感じとることができるなんて贅沢だなって思います。大陸じゃないと味わえないその醍醐味も、体験したいですね。

でも反対に、日本の素晴らしさ、美しさを再確認する旅になるかもしれません。日本にも素晴らしい場所、建物、美術品があふれています。でも当たり前の景色になってしまい、その美しさや重要さを忘れてしまっているのかも。そういったところを見つめ直すことも、いまの私たちには必要なことかもしれませんね。

いま国内外で、どんどんと美術館や博物館、ギャラリーが再開を始めています。まずは早く日本の美術館に行きたいと思いますが、一日も早く海外の美術館にも足を運べるようになることを祈っています。


構成・文:糸瀬ふみ

プロフィール

和田 彩花

1994年生まれ。群馬県出身。2004年「ハロプロエッグオーディション2004」に合格し、ハロプロエッグのメンバーに。2010年、スマイレージのメンバーとしてメジャーデビュー。同年に「第52回輝く!日本レコード大賞」最優秀新人賞を受賞。2015年よりグループ名をアンジュルムと改め、新たにスタートし、テレビ、ライブ、舞台などで幅広く活動。ハロー!プロジェクト全体のリーダーも務めた後、2019年6月18日をもってアンジュルムおよびハロー!プロジェクトを卒業。一方で、現在大学院で美術を学ぶなどアートへの関心が高く、自身がパーソナリティを勤める「和田彩花のビジュルム」(東海ラジオ)などでアートに関する情報を発信している。

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