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ヒプノシスマイク、ライブパフォーマンスにおけるインパクト 6ディビジョンが初めて揃ったAbemaTV特番を観て

リアルサウンド

20/4/4(土) 10:00

 男性声優によるラッププロジェクト・ヒプノシスマイク。声優・ラップ・キャラクターを掛け合わせることで新たな境地を切り開いたこのプロジェクトは、見る間に人気を博し、昨年2019年9月には大阪城ホールでのライブを大成功させた。

(関連:ヒプノシスマイク シンジュク・ディビジョン「麻天狼」ソロ曲考察 “病める街”の闇は晴れたか

 これに続き、今年3月、初のドーム公演となる5thライブ『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 5th LIVE@サイタマ《SIX SHOTS TO THE DOME》』を開催予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を考慮し、開催中止に。それに代わる形で、ライブ開催予定日だった3月29日、AbemaTVにて特別番組『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 5th LIVE@AbemaTV《SIX SHOTS UNTIL THE DOME》』が放送された。

 この配信はリアルタイム時での累計視聴数が300万を超え、「#アベマでヒプマイライブ」がTwitterの世界トレンド1位を獲得。日本のみならず世界をも巻き込んでリスナーを熱狂させた、ヒプノシスマイクのライブの魅力に迫りたい。

 ヒプノシスマイクのライブの大きな特徴は、“音楽で勝負している”ということだろう。ヒプマイには、目を引くキャラクタービジュアル、武器ではなく言葉が力を持つ世界観、人間関係が絡み合うストーリーなどの要素があるが、ライブでフォーカスされるのはあくまでも楽曲。公演中、キャラクタービジュアルが使われるのもほんのわずかで、ほぼ全編を歌とパフォーマンスに費やす構成は、一般的な音楽ライブと変わりない。

 山田一郎(CV:木村昴)の「画面越しだろうが関係ねえぜ! 思いっきりブチ上がってってくれよな!」というセリフで開幕した今回の特別番組も、“音楽とパフォーマンスで魅せる”といういつものアグレッシブな姿勢を貫いていた。

 ヒプノシスマイクを彩る楽曲は、日本のヒップホップシーンを牽引するクリエイターを招いて制作されており、とにかくクオリティが高い。ハイレベルなサウンドやリリックに各ディビジョンやキャラクターの個性が盛り込まれることで、一度聴いたら忘れられない中毒性ある曲が揃っている。

 そしてライブで驚くべきは、それらの曲を完璧に乗りこなすキャスト陣のパフォーマンス力だろう。歌詞を追うだけでも難しいリリックを流れるように歌いながら、声音、表情、仕草を駆使してキャラクターを浮かび上がらせるテクニックは圧巻だ。

 不敵な笑みとダイナミックなパフォーマンスを見せるBuster Bros!!!の山田一郎も、アンニュイな表情で凄みのある声を響かせるMAD TRIGGER CREWの碧棺左馬刻(CV:浅沼晋太郎)も、その人にしか見えなくなっていく。カメラの隅でじゃれあうFling Posseや、アイコンタクトで互いを励ましあう麻天狼の様子からは、その関係性が感じられる。セリフでのかけあいやビジュアルに頼ることなくここまでキャラクターを再現できるのは、見事としか言いようがない。

 また、今回の配信は、6ディビジョンのメンバー全員が初めて揃った場でもある。キャラクターの特徴を生かした衣装を纏う18人が並び立つ様子はまさしく壮観だった。見どころは、なんと言ってもオオサカ・どついたれ本舗とナゴヤ・Bad Ass Templeによる初パフォーマンスだろう。

 まずはどついたれ本舗の「あゝオオサカdreamin’night」。Creepy Nutsが手がけたこの曲は、三味線で始まる特徴的なイントロから、他ディビジョンとのカラーの違いを感じさせる。白膠木簓(CV:岩崎諒太)の関西弁満載のリリックと人を喰ったような振る舞いは、キャラクターを完璧に掴んでいるし、バウンスビートに乗って三人がコミカルに踊って見せる様子も、おちゃらけているのにどこか油断ならないどついたれ本舗そのもの。

 一方、Bad Ass Templeの「Bad Ass Temple Funky Sounds」を手がけたのはnobodyknows+。ギターとベースを利かせたファンキーな1曲で、リリックにもパフォーマンスにもそれぞれの個性が光る。特に波羅夷空却(CV:葉山翔太)の表情、全身を使ってパワフルに歌う様子は、他のキャストからも「憑依している」と言われるレベル。後発である2組が、オリジナル44ディビジョンに見劣りしないレベルまで仕上げてきているのには舌を巻く。

 対するイケブクロ・ヨコハマ・シブヤ・シンジュクの4組は、これまでライブを重ねてきたことでさらに掘り下げた表現を獲得しているように感じた。4thライブと今回までの間には4ディビジョンのメンバーの2曲目となるソロ曲がリリースされており、それらの初パフォーマンスがもうひとつの大きな見どころだ。

 最初のソロ曲は、それぞれのイメージをわかりやすく表現した曲が多かったが、2曲目ではそこから一歩進んで、違った側面を見せてきた楽曲が多い。例えば、やんちゃで直情的な山田二郎(CV.石谷春貴)だが、「School of IKB」で自分の想いを歌詞に込める姿は繊細さが際立っていたし、自信満々で隙のない入間銃兎(CV:駒田航)も、思いをはせるように歌った「Uncrushable」でセンチメンタルな顔をのぞかせていた。こうした“新たな一面”も違和感なく歌い上げることができるのは、それぞれがキャラクターの輪郭をしっかり掴んでいるからだろう。

 今回は現地でのライブは叶わなかったが、特別番組のサブタイトルは《SIX SHOTS UNTIL THE DOME》。ドームまでにさらに腕を磨いた18人を、次こそは大きな会場で目撃することができるだろう。(満島エリオ)

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