Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ぴあ

いま、最高の一本に出会える

MUCC ミヤの“40歳”をlynch.やROTTENGRAFFTYが祝福 誕生日イベントレポ

リアルサウンド

19/8/9(金) 7:00

 2019年7月26日。この日、一人の男の誕生日を祝うべく、様々なバンドとそのファン達が新木場STUDIO COASTに集結した。この日開催された『MUCC BIRTHDAY CIRCUIT2019「40」』はMUCCメンバーそれぞれの40歳の誕生日を祝うライヴイベントで、『~COMMUNE Feat.EN Miya40TH SPECIAL~』と銘打たれた今回はギタリスト・ミヤのバースデーイベントである。4人のバースデーの中でも最初に開催された今回のイベントは、平日の早い時間からのスタートにも関わらずチケットはSOLD OUT。それもそのはず、出演するバンドの名前が並んでいるだけで壮観とすら言えるほど、アクの強いメンツが揃っていた。

(関連:己龍、MUCC、NOCTURNAL BLOODLUST、0.1gの誤算…代表的なV系バンドを系統別に紹介

 トップバッターで現れたのはX SUGINAMIだ。今回のイベントの主役であるミヤがPATAに扮し、X JAPANを本気でコピーしているバンドである。各メンバーが登場するとトップバッターとは思えない程大きな歓声が沸き上がり、ミヤが登場すると会場はより一層大きな歓声に包まれた。ToshIに扮したNoGoD・団長のハイトーンシャウトを皮切りに「BLUE BLOOD」へ。機材も本家と同じ物を使用していることもさることながら、あまりの完コピぶりに観客のテンションもみるみる上がっていく。HIDEに扮したMERRY・結生とミヤのツインギターソロで会場のボルテージは早くもMAXに。

 団長の笑いを誘うMCから「Silent Jealousy」、「破滅に向かえるかー!」という煽りから「Rusty Nail」とたたみかけ、最後のサビではフロアから大合唱が巻き起こる。ラストの「X」ではミヤの「天井ぶち破っちまえ!」という煽りを現実にするかの如く、“Xジャンプ”が巻き起こる。まだライヴは始まったばかりにも関わらず、超満員の会場は大きく揺れた。

 かなり温まった会場に続いて登場したのはメトロノーム。シャラク(VOICECODER)の「お邪魔しまーす!」の声から「血空」。ゲームのようなポップな電子音から一転、激しいヘッドバンギングが巻き起こる。ギターとベースがどちらもTalboというボディがアルミで出来た楽器を使用しているため、サウンドは不思議な空気を醸しており、そこにシャラクの飄々とした声質が重なり、独特の浮遊感を生んでいる。続く「孤独氏」では観客全体が意識を持った一つの生命かのように、彼らの音に浮かされ気持ち良くフロアを漂っているようですらあった。

 MCでシャラクは「こんなイベントに呼んでいただけて光栄です。ですが! 対バンは戦国。僕は皆に好かれたいので裏ではMUCCの足を引っ張って行こうと思います」と笑いを誘い「Catch me if you can?」から「さくらん」へと続いていく。ベーシストのリウ(TALBO-2)がキーボードを弾くなど、枠にとらわれないサウンドでフロアの熱量を上げていく。ギターのフクスケ(TALBO-1)が「ミヤが俺達を好きで呼んでくれたわけだから、全員が次の曲に参加してくれればミヤが好きなメトロノームが盛り上がるので、皆ワキが裂けるぐらい手を挙げてくれ!」と煽り「MATSURI」へ。様々なバンドのファンがいるということを忘れるぐらい、この瞬間を楽しんでいく。そしてラストの曲の前に「最後の曲はオイオイする感じで。かっこいい言い方をすると、イヤモニ越しでもお前らの声聴かせてみろって感じです」とシャラクが煽ると客席からは大歓声が上がり「強くてNEW GAME」をパフォーマンス。「お邪魔しましたー!」とステージを締めくくった。

 会場を温かい空気が包んだのも束の間、次に控えているlynch.がサウンドチェックで「GREED」を演奏した瞬間、客席は大きな歓声を上げる。思わず葉月(Vo)も幕越しにお礼の言葉を述べるほどに会場の期待値は高まっていく。暗転し、改めてlynch.が登場。いきなり鋭いスラップから「INVADER」へとなだれ込み、盛り上がりは一気に最高潮に。先程までの歓声が怒号へと姿を変えていく。そして葉月が「この曲が出た時はこんな激しい曲を40歳がやるなんて考えられなかったです。時代は変わったんです!」と煽り、MUCCの楽曲「茫然自失」を繰り出すと驚きの歓声とともにフロアが大きく乱れ始める。激しいヘッドバンギングの嵐が巻き起こり、ダイブする者も現れるほど。続く「EXIST」では大きなサークルピットが発生。「俺らがやらかした時にMUCCが『COMMUNE』で救ってくれた曲です。届け―!」という熱い叫びから「MIRRORS」「THE FATAL HOUR HAS COME」へと続いていく。展開が複雑な楽曲にも呼応していくこの日の観客はさすがの一言に尽きる。

 さらに熱量が上がっていく会場に「時間が無いんで用件だけ言います。SEXしませんかー!」と恒例のお誘いから「pulse_」が始まると超満員の会場全体から“ヤリたい”、という怒号が飛ぶ。「あと1曲で終わっちまうよー!」と名残惜しそうにする葉月。その言葉に応えるように最後の「GALLOWS」では会場全体が彼らのライヴを最後の一滴まで楽しもうと本気でぶつかり、lynch.も負けじとスタイリッシュで洗練された重低音で応戦していく。彼らがステージから去った後には外の日差しよりも遥かに強烈な熱気が残った。

 その熱気を引き継いで登場したのがROTTENGRAFFTYだ。ステージに上がるや否やフロアを煽り倒していく。すでに熱すぎる会場にギターの単音リフが鳴った瞬間、会場が爆発的に沸いた。のっけからMUCCのキラーチューン「蘭鋳」で奇襲をかましたのだ。意表を突かれた観客のボルテージはまだ上がるのかというほどに高まっていく。もはや定位置などわからない程乱れたフロアに「ロットン始めるぞ!」の声で「PLAYBACK」「夏休み」と続けていく。これまで漂っていたダークな空気感を吹き飛ばすかのような飾り気のないラウドサウンド。ツインボーカルによるスキの無い煽りの応酬。そのステージの熱量にあてられ、フロアも暴徒と化していく。

 エレクトロなイントロからダンサブルな4つ打ちが鳴り響き「D.A.N.C.E.」へ突入すると、会場全体が大きく揺れ、あちこちにサークルピットが発生。先程まで大きな生き物のようだったフロアは、さながら大荒れの海原のようにうねっていく。「やりてぇように今日はやれよー!」と「世界の終わり」「THIS WORLD」と彼らの攻勢は一層激化。ラストの「金色グラフティー」で先ほどの煽りに応えるかのように、8の字に頭を振り回すヘドバン、あちこちで発生するサークルピット、男女問わず続出するダイブなど自由に楽しんでいく。“無法地帯”を作り出し、彼らはMUCCへとバトンを繋いだ。

 そして、いよいよこの日の主役・MUCCが登場。SE「壊れたピアノ」からメンバーがそれぞれ現れてジャム形式で演奏に参加していく。ミヤが登場した際にはこの日一番の大歓声が沸いた。ピアノを交えたセッションに逹瑯(Vo)もハープで参加し、無法地帯を異世界へと塗り替えていく。ギターの単音リフが鳴り響くと同時に、ステージ両脇からバイオリンを携えた男女が登場し「サイコ」が始まる。MUCCが持つ独特の退廃的な空気を、ピアノとバイオリンの音色がさらに深化させていく。緻密に組み上げられた重低音が、会場を地下へ地下へと落としていくかのようだ。

 バイオリン2人がステージを去った後に「塗り潰すなら臙脂」へとなだれ込むと彼らの圧巻の轟音とフロアの熱気が一体となり、会場ごと地獄に落ちたかと錯覚するほど異様な空気に包まれていく。モッシュ、ダイブの嵐が巻き起こる中、ステージを暴れまわる彼らはまるで鬼にすら見える。続く「アイリス」のエフェクティブなドラムと逹瑯の語りで時空を歪ませたかと思いきや、「謡声』」この日の暑すぎる外界とリンクする夏の情景を演出。爽やかな空気感にフロアも思わず笑顔で溢れていく。新曲の「アメリア」ではフロアに大きなサークルピットを作り出し、「ミヤが夏を連れてきました!」の逹瑯の声から「ハイデ」へ。どこか子供の頃を思い出させてくれるような爽やかな夏の匂いが会場を包むと、あちこちで涙が流れていた。そんな空気が流れたのも束の間、フロアは分断されこの日の主役であるミヤが客席へ。担がれたまま「MAD YACK」の超攻撃的なリフを弾き倒していく。

 「全てをぶち壊すカウントダウンを始めようじゃないか」という逹瑯の言葉からの「カウントダウン」皆残りの体力を出し切るかのようにフロアを駆け回り、あらん限りの声を上げていく。追い打ちをかけるように「蘭鋳」のイントロのリフが鳴ると、今まで体力を温存していたのではと錯覚するほど全体が一斉に暴れ始める。そこは日常とは無縁の、狂気が渦巻く凄まじい空間だった。そして最後は再びバイオリンを交えての「Living Dead」。逹瑯とミヤの美しい掛け合いから始まり、轟音が会場を満たしていく。これまで暴れ倒していた観客席はじっと耳を傾け、ステージから降ってくる激情のサウンドを余すことなく受け止めるかのようだ。だがそれでも音が鳴りやむ最後の一瞬まで会場の熱気が冷めることはなかった。

 筆者自身今まで様々なライヴを見てきたが、ここまで攻撃的なセットリストを全バンドが組むようなイベントをかつて観たことがない。誰よりも音楽を愛しているミヤという男が主役だからこその、最高にアツいバースデーパーティーであった。(タンタンメン)

アプリで読む