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イタリアのハードコアフェスの特徴は? DEATH SIDEとMUSTANGがヴェネツィアに残した爪痕

リアルサウンド

19/6/8(土) 8:00

 2019年5月1日にアメリカ西海岸ツアーから帰国したDEATH SIDEだが、翌週5月8日にはイタリアのヴェネツィアで行われる『Venezia Hardcore Festival 2019』への出演のため、今回はDEATH SIDEでギターを弾いている弁慶によるバンド・函館のMUSTANGと共に再び日本を旅立った。5月10日と11日の2日間に渡り行われるフェスであるが、アメリカのフェスとの違いなども混ぜながらイタリアフェス事情を紹介していきたいと思う。

(関連:日本のハードコアが世界で認められていることを実感ーーISHIYAのアメリカ西海岸ツアー記

 ロシア・モスクワ経由でイタリア・ヴェネツィアに深夜到着し、翌日は1日休みのためにゆっくりと観光することができた。

 宿泊場所もキャンプ場のコンドミニアムのようなところで、キッチンとシャワー、ベッドがあり快適だ。

 ゆっくり一晩休んだ後にヴェネツィア旧市街観光に行ったのだが、DEATH SIDEで海外へ行く場合は単発のフェスが多く、基本的にライブ会場と空港への行き帰り以外は自分たちで全て行動することになる。

 ヴェネツィアでも同じで、観光のためにGoogle マップで観光地や交通手段を探して地元の電車やバスを使い行動する。

 アメリカのオークランドでもそうだったのだが、オークランドでは3日目のライブハウスへ行くことができず、地下鉄駅周辺で迷っているところを、DEATH SIDEだと知っている人間が車で通りかかり、トラックの荷台に乗せて行ってくれた。

 アメリカ、特にオークランドはかなり治安が悪いために帰りもタクシーだったが、イタリアで治安の心配はスリや置き引きなどの窃盗犯だけなのでかなり安心だ。知らない国の電車の乗り方やバスの乗り方を体験したり、街を散策するのもオフ日の楽しみであるが、DEATH SIDEのツアーでしか堪能することができないのが残念なところではある。

 旧市街で観光を堪能し、そこで食べた食事が非常に美味しかったので、帰りにスーパーで食材を買い込み、宿泊先で料理をしてみんなで呑みながら夜に行われるフェスの初日を待っていた。

 イタリアの食事は何もかもが美味しく、日本人の口にもかなり合うので食事で苦労することはないだろう。食事が合うか合わないかも海外ライブでは非常に重要な部分なので、これには非常に助かった。

 夜になり会場へ到着すると、敷地内には2つのライブスペースとスケートボードランプが設置されている大きな物販スペースという3箇所の屋内スペースがあるほかに、ピザが食べられる場所と野外の観客がいられるスペースがあるかなり広い会場だった。

 アメリカでは別の場所にあるライブハウスなどを使い、街全体を使ったフェスが多いが、イタリアは一箇所で全てが済むようになっていた。

 初日は開いていなかったが、スケートボードランプと物販スペースのある場所はかなり広く、そこではライブをやらずにかなり多くのショップや物販が並び、2 日目は楽屋的部分もあるなど、観客や出演者のことを考えたスペースになっていた。

 アメリカのライブでは楽屋があるだけで珍しいのだが、大きな会場で楽屋があった場合でも会場規模に見合わない小さな楽屋がほとんどなので、この楽屋はかなり助かった。

 様々なショップが出店することも海外フェスの特徴で、ライブに来ればレコードやTシャツが手に入るのは観客にとってかなり嬉しい部分であるし、日本ではほとんど見ることができないライブの楽しみのひとつである。

 見たことのないTシャツやレコードがたくさんあったが、ANTIFA(アンチ・ファシズム)が浸透しているようで、そういったデザインのTシャツが多く見られた。イタリアシーンにANTIFAの思いが浸透していることは、観客達の対応でも感じられた。

 2012年から始まり今回で7回目を迎える『Venezia Hardcore Festival』だが、このフェスに日本のバンドが出演するのは初めてらしく、初日に会場を東洋人のパンクスがウロウロしているだけで珍しがられ「どこから来たんだ? 出演するのか?」と話しかけられることが多かった。

 その対応は純粋に珍しくて話しかけてくるようだった。アメリカの一部地域などではあからさまに蔑んだ目で東洋人を見下す人間もライブにいるが、今回イタリアでそれを感じることはなかった。

 人種や国などで偏見を持つことなく、フラットな目線で知らないものに興味を持ち、良いものに対しては最大限の反応を見せてくれる。どこの海外でもその部分は同じであるが、今回のイタリアではそういった部分が強く感じられたのも事実である。

 ほかの海外ではDEATH SIDEの知名度もあり、事前に知っていてライブに来る人間が多いが、今回のイタリアではほとんどDEATH SIDEは知られていないためにライブが非常に楽しみになった。

 出演しているバンドを観ていても、ニュースクール系やメロコア系のバンドが多く、DEATH SIDEやMUSTANGのようなバンドはひとつもないどころか、観客にもモヒカンや鋲ジャンを着ているような、いわゆるパンクスがほとんどいない。

 そんな中のフェス2日目に、まずMUSTANGのライブが始まった。

 ライブが始まると最初は遠巻きに観ていた観客が、演奏が進むにつれ前に出てきて、サークルモッシュができあがっていく。会場内に次々と観客が押し寄せ、入りきれないほどの人間で溢れかえり、反応も凄まじい。初めて観る日本のバンドのレベルの高さや情熱的なアティテュードにどんどん引き込まれて行く様子が手に取るようにわかる。

 MUTSTANGのライブは、テンション、技術、情熱、何もかもがこの日の出演バンドの中でダントツだった。これを観て気分が高揚しないわけがない。

 間に1バンドを挟んですぐDEATH SIDEの演奏のため、ギターの弁慶は非常に大変だったと思うが、いよいよDEATH SIDEの出番が近づいてきた。

 この時偶然にも外が豪雨となり、外にいる観客のほとんどがDEATH SIDEのプレイする会場に入ってきた。

 始まる前にステージの前にいた観客や、ステージ横にいた友人にイタリア語を教えてもらい記憶する。

 超満員となった観客の前に立った瞬間、見知らぬモヒカンの東洋人がイタリア語で話し出すと、一気に観客がステージに注目する。間髪入れずに英語で煽りライブをスタートすると、客席が瞬時に沸騰点に達した。

 こうなればあとは信頼し合っているメンバーの呼吸に任せ、相乗効果で上限なしにテンションが上がりまくる。

 日本のハードコアパンクはこれだ! CHELSEAを感じろ!

 その日来ていた観客のほとんどが知らないバンドであるにもかかわらず、異常な盛り上がりを見せ、ギターのORIによると横にいたエンジニアも1曲終わるたびに拍手していたほど好評のうちにライブは終わった。

 ライブが終わりバーにいくと、バーテンダーに写真撮影を頼まれたり、MUKAIは酒を奢ってもらったりしていたようだ。

 『Venezia Hardcore Festival』 に初めて出演した日本のバンドとして恥ずかしくないライブをMUSTANGとDEATH SIDEはやってきた。ヴェネツィアに日本の爪痕を確実に残して来ただろう。これを機に日本のハードコアやパンクに興味を持ってもらえたら嬉しいし、CHELSEAという男を知ってもらえたらこの日のライブをやった甲斐がある。

 世界中のパンクスは確実に繋がっていることを確認できた素晴らしいイタリアだった。最後にこのフェスに出演する交渉をしてくれたGiulioと、最初に声をかけてくれたEU’S ARES、オーガナイザーのSamallに心からの感謝を送ります。

 本当にありがとう! Sono giapponese. Non capisco italiano fanculo!Ciao!(ISHIYA)

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