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年末企画:成馬零一の「2020年 年間ベストドラマTOP10」 日本の実写映像で生まれた表現

リアルサウンド

20/12/29(火) 8:00

 リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2020年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメの4つのカテゴリーに分け、国内ドラマの場合は、地上波および配信で発表された作品から10タイトルを選出。第14回の選者は、ドラマ評論家の成馬零一。(編集部)

1.『映像研には手を出すな!』(MBS/TBS)
2.『今際の国のアリス』(Netflix)
3.『リモートドラマ Living』(NHK総合)
4.『MIU404』(TBS系)
5.『コタキ兄弟と四苦八苦』(テレビ東京系)
6.『ゆるキャン△』(テレビ東京系)
7.『不要不急の銀河』(NHK総合)
8.『#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜』(日本テレビ系)
9.『これっきりサマー』(NHK総合)
10.『警視庁・捜査一課長2020』(テレビ朝日系)

 今年は新型コロナウイルスのパンデミックを抜きには語れない年だった。ドラマも例外ではなく、春クールに放送予定だった多くのドラマが撮影休止となり、放送は夏クールへ延期された。その結果、プライムタイムのドラマ枠を埋めたのが旧作の再放送だったが、もっとも素晴らしかったのが『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)だ。2005年に作られた木皿泉脚本の学園ドラマだが、コロナ禍の現在の方が、染みるものがあった。再放送なので選外としたが、今年を代表するドラマである。

 コロナ禍の高校生の夏休みを描いた9位の『これっきりサマー』も、木皿泉が脚本を担当したミニドラマ。日常の中にロボットや幽霊といった異界の住人が登場するファンタジーを描いていた木皿泉が、2020年に一番リアルな高校生の青春ドラマを描いたということは、我々の日常自体が異界になってしまったからだろう。

 一方、撮影休止の自粛期間に多数作られたのがリモートドラマ。その多くは記録としての作面が強く、純粋なドラマとして視聴に耐えうる作品は限られている。そのため、この時期だけの徒花として終わりそうだが、例外的に射程の長い作品となったのが、3位の『リモートドラマ Living』。広瀬アリス&広瀬すずといった実際の姉妹や夫婦が共演するドキュメンタリー性と、坂元祐二が紡ぐ寓話性が同居する物語は、現在を語っていると同時に今後の未来を語っているように感じた。

 7位の『不要不急の銀河』は、又吉直樹の脚本を『いだてん~東京オリムピック噺』(NHK)の井上剛が演出を務めた単発ドラマ。スナックを営む家族がコロナ禍に直面する現実を描いたドラマパートと、コロナ禍で混乱しているドラマ制作の過程をみせるドキュメンタリーパートの二本立てとなっており、当時の生々しい記録となっている。

 4位の『MIU404』は、チーフ演出・塚原あゆ子、プロデュース・新井順子、脚本・野木亜紀子という『アンナチュラル』(TBS系)を手掛けたチームが作った刑事ドラマ。2019年から始まり、東京オリンピック開催間近の7月に全14話で終わる予定だった物語は、コロナ禍の影響で11話に短縮され、当初の予定が大きく狂ったが、その影響自体を作品に取り込み、最終的にコロナ禍の現在につなげることで、現状に対する批評的な作品となっていた。

 10位の『警視庁・捜査一課長2020』は人気刑事ドラマシリーズの最新作だが、マスク着用やリモート配信といったコロナ禍の風景を、途中から巧みに取り込んだ。元々、遊び心に溢れた作品だったが、アベノマスクを使ったコメディパートは「よくぞ、やってくれた」と思う。

 8位の『#リモラブ~普通の恋は邪道』は、多くのドラマがマスクをつけない(コロナのない)世界を描く中、マスクを着用する(コロナのある)日常を描いていた。そのこと自体は高く評価するが、物語とコロナ禍がリンクしていないのが惜しい。また、コロナに対する意識が楽観的に見えて、12月現在の視聴者の心境とはズレたものとなっている。

 本作に限らず、コロナ禍を描いた作品の多くは、希望を見せたいという意図があるのはかわるが、踏み込みが浅く、今起きている社会問題を避けているように思った。かといってコロナの影響で起きている辛い現実を、ドラマで観たいかと問われると「今は観たくない」というのが正直な気持ちで、個人的には「コロナにまつわるすべての現実」と距離を取りたいと思っていた。

 そんな気分にもっともフィットしたのが、レンタルおやじを営む兄弟の日常を描いた5位の『コタキ兄弟と四苦八苦』と、女子高生がキャンプを楽しむ姿を描いた6位の『ゆるキャン△』。どちらも他愛のない話だが、パンデミックが広がり、刻一刻と状況が変わっていく中、現実を遮断して虚構の世界に引きこもらせてくれるシェルターとなっていた。

 1位の『映像研には手を出すな!』(以下、『映像研』)、2位の『今際の国のアリス』も『ゆるキャン△』と同じ漫画の映像化だが、虚構性の高いドラマとして純粋に楽しめた。

 『今際の国のアリス』は、現代の東京を舞台にした激しいアクションが撮れると証明した正攻法の作品で、今後、日本で制作されるNetflixドラマの可能性を大きく広げた。一方、『映像研』は、実写でアニメや漫画をやるにはどうしたらいいのか? という問題意識を突き詰めた結果、アイドルとCGを活かした破茶滅茶な迫力を獲得。世界に届くのは『今際の国のアリス』の方向性だろうが、『映像研』は日本の実写映像からしか生まれなかった表現だ。まさに最強の世界である。

TOP10で取り上げた作品に関連するレビュー/コラム

『#リモラブ』はディスタンスがおかしい人々の群像劇 水橋文美江ドラマが内包する“笑い”と“狂気”
『警視庁・捜査一課長』小ネタ投入でテレ朝刑事ものに新風? 病みつきになるその仕掛け
坂元裕二がコロナ禍に見せた“作家の矜持” 『リモートドラマ Living』には『最高の離婚』要素も
世間の厳しい目を跳ね返す? ドラマ版『映像研』がもたらしたキャラクタードラマの可能性
『コタキ兄弟と四苦八苦』はなぜ“懐かしい”のか 野木亜紀子の脚本と山下敦弘の演出の相性の良さ

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

■配信情報
Netflixオリジナルシリーズ『今際の国のアリス』
Netflixにて全世界同時配信中
原作:麻生羽呂『今際の国のアリス』(小学館『少年サンデーコミックス』刊)
監督:佐藤信介
出演:山崎賢人、土屋太鳳、村上虹郎、森永悠希、町田啓太、三吉彩花、桜田通、朝比奈彩、柳俊太郎、渡辺佑太朗、水崎綾女、吉田美月喜、阿部力、金子ノブアキ、青柳翔、仲里依紗
脚本:渡部辰城、倉光泰子、佐藤信介
音楽:やまだ豊
撮影監督:河津太郎
美術監督:斎藤岩男
アクション監督:下村勇二
VFXスーパーバイザー:神谷誠、土井淳
エグゼクティブ・プロデューサー:坂本和隆
プロデューサー:森井輝
企画・制作:(株)ROBOT
(c)麻生羽呂・小学館/ROBOT
Netflix作品ページ:https://www.netflix.com/今際の国のアリス

■リリース情報
ドラマ『映像研には手を出すな!』
Blu-ray&DVD発売中
価格:Blu-ray BOX(完全限定生産盤)10,800円(税別)
   DVD BOX(完全限定生盤)9,800円(税別)
<収録内容>
・本編全6話
・ビジュアルコメンタリー(全6話分)
・VFX BREAKDOWN
・SCENE BREAKDOWN
・TVCM
<封入特典>
・ブックレット
出演:齋藤飛鳥、山下美月、梅澤美波、小西桜子、グレイス・エマ、福本莉子、松崎亮、鈴之助、出合正幸、高嶋政宏
原作:大童澄瞳『映像研には手を出すな!』(小学館 『月刊!スピリッツ』連載中)
監督:英勉
(c)2020 「映像研」実写ドラマ化作戦会議 (c)2016 大童澄瞳/小学館

『MIU404』
Blu-ray&DVD発売中
【Blu-ray】
価格:28,800円(税別)
仕様:2020年/日本/カラー/本編(540分)+特典映像(180分)/16:9 1080i High Definition/Vol.1~3:2層、Vol.4:1層/音声:リニアPCM2chステレオ/字幕:日本語(本編のみ)/全11話/4枚組(本編ディスク3枚+特典ディスク1枚)
【DVD】
価格:22,800円(税別)
仕様:2020年/日本/カラー/本編(540分)+特典映像(180分)/16:9LB/片面1層/音声:ドルビーデジタル2ch/字幕:日本語(本編のみ)/全11話/6枚組(本編ディスク5枚+特典ディスク1枚)
<特典映像>
・ポリまる presents 未公開&NG集 一挙公開スペシャル!
・見どころ初動捜査スペシャル!特別版
・オールアップ集
・SNSジャック! ライブ配信会見+アフタートーク 
・ロングインタビュー集(綾野剛 星野源 岡田健史 橋本じゅん 麻生久美子)
・「MIU404」ベストシーン×「感電」
・Happy Birthday Movie(岡田健史 伊吹藍 志摩一未)
・伊吹&志摩のシートベルトMovie
・MIUチャンネル
・SPOT集
<特典音声>
最終話オーディオコメンタリー(綾野剛×星野源×脚本・野木亜紀子×演出・塚原あゆ子)
<初回生産限定>
劇用車「まるごとメロンパン号」クラフト(PP素材)
※数に限りがございますので、無くなり次第終了となります。
<封入特典>
ブックレット(脚本家・野木亜紀子による各話ライナーノート“nogi note”を掲載!)
出演:綾野剛、星野源、岡田健史、橋本じゅん、黒川智花、渡邊圭祐、金井勇太、番家天嵩、菅田将暉、生瀬勝久、麻生久美子
脚本:野木亜紀子
主題歌:米津玄師「感電」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
音楽:得田真裕
発売元:TBS
発売協力:TBSグロウディア
販売元:TCエンタテインメント
(c)TBSスパークル / TBS

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