Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ぴあ

いま、最高の一本に出会える

山口智子、唐突の別れ 『なつぞら』で全うした、岡田将生との“純粋な親子関係”

リアルサウンド

19/8/15(木) 12:00

 みんなの「風車」にて開かれた、なつ(広瀬すず)の誕生日と、兄・咲太郎(岡田将生)と光子(比嘉愛未)の結婚を祝う会。煙カスミ(戸田恵子)や茂木社長(リリー・フランキー)、藤正親分(辻萬長)らに囲まれて、非常ににぎやかな会となった。

 連続テレビ小説『なつぞら』(NHK総合)第118話では、咲太郎が母である亜矢美(山口智子)に新しい店のことを任せてほしいと申し出る。しかし彼女には彼女なりの考え、想いがあるようだ。

【写真】咲太郎と亜矢美

 川村屋の“マダム”との愛称で親しまれていたものの、気がつけば“光子”と、親密さを感じさせる呼び方に変わっている咲太郎の嫁。演じる比嘉のクールビューティーな立ち振舞も柔和な笑顔に取って代わられ、この会を微笑ましいものにしている。

 ここで咲太郎は、間もなく「風車」を閉めなければならない亜矢美の今後について、考えを述べる。彼の考えは、「新しい店は俺に任せろ」というものだ。これまで息子同然に育ててくれた“母ちゃん”への、彼なりの親孝行なのだろう。しかし、これを亜矢美は拒否。さらには「元々、母親でもなんでもない」とまで言い放つ。どう考えたって、強がっているようにしか見えなかったが、彼女からすれば「親孝行なら十分」ということらしい。

 それでも引かない咲太郎に続き、なつとその夫・一久(中川大志)までもが亜矢美への協力・援助を申し出るが、これにも彼女はやはり「ノー」だ。そんななつも気がつけば30歳。随分と大人になったものだと感慨深い気持ちになる間もなく、亜矢美の「この店をやれたのは、咲太郎となっちゃんがいたから」という発言に、しっとりとあたたかな空気が「風車」の店内には満ち、私たちの心にも沁み入ってくる。

 そうして、亜矢美は新宿の町を去っていった。もっと言えば、咲太郎にもなつにも何も告げずに、姿を消したのだ。カスミいわく、心から咲太郎の結婚を喜んでおり、光子に嫉妬したくなかったからだという。少々衝撃的な発言ではあるが、そういう想いを押し殺して、亜矢美は咲太郎の母親を演じ続けてきたのだ。彼女が何も告げずに去ったのは、“純粋な親子”でいたいからだったのである。唐突にやってきた、大切な人との別れ。だが、永遠に会えないというものではないはずだ。いつか笑顔で会える日を、ただただ願うばかりだ。

(折田侑駿)

アプリで読む