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中居正広の“理想の第二の人生”をのんびりと見守りたいーー記者会見前後のラジオから感じた旅支度の空気

リアルサウンド

20/2/26(水) 6:00

 中居正広を、また好きになった。そんな感想を抱いている人は、きっと少なくないはず。ジャニーズ事務所からの退所、そしてたった1人で新会社「のんびりな会」を立ち上げ、独立することを発表した中居。その記者会見で見せた立ち振る舞いは「さすが」の一言だった。

(関連:KAT-TUN 中丸雄一、中居正広のジャニーズ退所会見を賞賛「一人舞台と化してましたから」

 これまでの形式にとらわれず、どうしたら自分の言葉がしっかり伝わるかを考えた結果、自分で進行していこうと決めた行動力。その場で寄せられる質問に対して、誰も傷つけない形で答えていく思慮深さ。そして後輩Kis-My-Ft2やV6、先輩の東山紀之、城島茂らの名前を出し、笑いを誘うことでジャニーズ事務所の懐の深さを示す配慮。この人が、私たちの愛する国民的グループ“SMAP”のリーダーなのだと、むしろ誇らしい気持ちにさえなった。

 亡き恩師“ジャニーさん“について、事務所とのこれからの距離感について、メンバーとの仲について、そしてファンについて……一筋縄ではいかない質問も多々寄せられた。これまで誰も直接聞けず、憶測が憶測を呼ぶ事態にも発展していった話題も。そんなセンシティブな問いにも、中居は真正面から向き合う。そして私たちに見せてくれた答えは、白黒つけることだけが正義なのではなく、誰にとってどんな答えが最善なのかを考えるということだった。

 メンバーとの仲については「自分たちがわかっていればいい」、今後SMAPが再結成される可能性は「1%から99%の中」、街の人から声をかけられる「“SMAPの中居くん“のままでいい」……もしかしたら世間には、「もっとハッキリして」と言う人もいるかもしれない。でも、彼のこれからに幸あれと願いながら、この会の情報を待ち望んでいる人にとってみたら「十分」な回答だったのではないだろうか。

 中居は今、次の「よし次!」を探しに、新たな旅を始めようとしているということ。その先には、もしかしたらかつての仲間との再会もあるかもしれない。タイミングによってはどうなるかわからないのが、人生。どの可能性も否定せず、あるいは断定せず、今は真っ白な状態を楽しもうという気持ちになったということ。

 決まっているのは、のんびり歩いて進むことだけ。旅に出る理由は、それだけで十分だったりする。旅へ出ることを、誰にどんなふうに伝えたかなんて野暮なことは聞かないでほしい。男は黙って旅に出た、そんな感じにでもまとめてくれ、と言わんばかりに。

 ファンは旅支度の空気を、薄々感じていた。中居がパーソナリティを務めるラジオ『中居正広 ON & ON AIR』(ニッポン放送)では、発表前の2月15日放送回で数年ぶりにリスナーと直接電話をする企画が復活。モノマネをして見事合格となれば、賞金をゲットできるという流れなのだが、もちろんファンにとっては賞金よりも中居と話せることがすでにご褒美というものだ。

 いつもファンに対して天の邪鬼な言動でおなじみの中居だが、この日は「(愛が重くて)気持ち悪いとか言っちゃう人だから、気を付けてくださいね」「たくましくないとやってけないですよ」「じゃあね! もう一生会わないと思いますけど」「強いね。いや、思うんだよね。なんか僕のこと支持してくれる人……ちょっとやっぱり……なんだろ、強いよね」と、突き放しつつ、改めてファンの愛を感じ取ろうとしているような素振りが印象的だった。

 そして、記者会見後にオンエアされた2月22日放送回では、18歳と70歳のファンと電話がつながる。「真ん中(の世代)いないの?」と茶化しながらも、それだけ幅広い人に支えられているのだということを、番組スタッフも伝えたかったのではないだろうか。

 さらにマイケル・ジャクソンのモノマネ「フォー!」を「Flowって言った?」と聞き返す一幕も。ファンなら、木村拓哉のオリジナルアルバム『Go with the Flow』を思い浮かべて、ざわつくのはわかっていたはず。また、今回は合格者は出ず、次回へと持ち越しになったのも、さらに多くのファンとつながるチャンスを続けようとしたため……に感じる。中居が「よし次」となる第一歩は、この電話で言葉を届ける恩返しから、かもしれない。

 『新しい地図』を広げた稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾も「一緒に頑張ってきた中居くんの新しいスタートにエールを送りたいと思います」とコメント。そして、中居の会見前日に、コンサートで「俺たちに明日はある」を歌った木村拓哉も「それぞれが決めたこれからの人生、お互いに前に進もう」とメッセージを寄せている(参照)。「1人じゃできない」中居が会見で放った言葉に、どんな希望を抱くのかは、それぞれがわかっていればいいこと。私たちが好きなSMAPの物語は、まだまだ終わらない。

 アイドルとしてバラエティ番組に乗り込み、様々なジャンルを開拓してきた中居。その中で理想のリーダー、理想の上司、理想の先輩……と評されてきた中居は、きっと迷いの多い現代において「理想の大人」を更新してくれているのかもしれない。そんな彼なら、理想の第二の人生を見せてくれるはず。人生100年時代の新たな大人の夢を見せてくれるアイドルに。その歩みを、こちらものんびりと見守っていきたい。(佐藤結衣)

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