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生田斗真がヘリクツをまくし立てる! 『俺の話は長い』で繰り広げられる会話劇の“熱戦”

リアルサウンド

19/10/12(土) 6:00

 今夜、生田斗真主演の土曜ドラマ『俺の話は長い』(日本テレビ系)がスタートする。生田が演じるのは、無職のニートで、ヘリクツを駆使するダメ男。ドラマ・映画・舞台と幅広いフィールドで活躍してきた役者・生田斗真の才能大爆発となる本作。第一話を鑑賞した筆者が、その魅力を紹介していきたい。

 ドラマは、『プロポーズ大作戦』(フジテレビ系)、『きょうは会社休みます。』(日本テレビ系)などを手掛けた脚本家・金子茂樹によるオリジナル作品。主人公・岸辺満(生田)は大学中退後、コーヒーにハマって起業するも失敗。実家に寄生していたが、マイホーム建て替えのために「3カ月だけ同居させてほしい」と転がり込んできた姉家族によって、その人生が動き出す。

【写真】『俺の話は長い』会見に登場した生田斗真

■生田が繰り出す、ハイクオリティな会話劇

 生田斗真が喋りっぱなしとの前知識はあったが、ここまでとは思わなかった。そして、ここまで笑わされるとは。

 満は、31歳で金なし、職なし、実家住まいのダメ男。にもかかわらず、プライドだけはやたらと高く、ヘリクツは天下一品。何かひとつ文句を言おうものなら、2倍どころか、5倍、10倍にもなって返ってくる。しかも、そのすべてはヘリクツなのに、生田が生み出す独特の“間”、ドヤ顔、さらには説得力があるセリフに引っ張られ、「なるほど……」と納得させられてしまうからおもしろい。

 一体どんなヘリクツかというと、たとえばこんな具合。満は、6年前に本格的なカフェをオープンするも失敗。以来ニート生活を続けるが、姉・綾子(小池栄子)から珈琲関連グッズの段ボールを「邪魔だから処分しろ」と言われれば、「オレにとってあの段ボールは甲子園の土も同然なの」と。「負けた高校球児に、甲子園の土捨てろって言えるの?」と畳みかけられたら、あなたは何と返すだろうか……?

■納得の配役は、オリジナル作品ならでは

 そんな満の口撃に屈しないのが、姉・綾子。この役を演じられるのは小池以外にいないのではないかと思えるほどのハマリ役で、満のヘリクツを「単なる現実逃避」として断固立ち向かう。

 制作発表会見の際、安田顕が会話劇を“試合”と表現していたが、まさにそれ。言いたいことを感情的に羅列するのではなく、相手の言い分をいったん飲み込み、的確な言葉で返す心理戦ともいえるこのバトル。とりわけ生田と小池の“熱戦”には、釘付けになること請け合いだ。

 一方、安田が扮するのは綾子の夫・光司。口の強い綾子に頭が上がらず、前夫との子・春海(清原果耶)に父親として認めてもらおうと努力するも、撃沈の日々。光司の背中から漂う哀愁が、物語に言い知れぬ空気感をもたらしている。

 その光司を忌み嫌う娘・春海を演じるのは、清原果耶。私立中学に通うも不登校気味で、実母にも反抗的な態度をとる。どこか陰のある少女役をやらせたら清原に敵う者はなく、今作でも抜群の存在感でストーリーを盛り上げる。

 そして、満を甘やかす穏やかな母・房枝役は、原田美枝子ときた。ヘリクツ生田、ハキハキ小池、タジタジ安田、ツンツン清原、フワフワ原田による五重奏。原作モノではない“オリジナル作品”ならではの配役の妙が、私たちを心地よく物語へと誘ってくれる。

■そんなつもりじゃなかったのに!? なぜか心温まるホームドラマ

 ヘリクツと言い争いが絶えなければ、見ていてイライラしそうなものだが、その感覚は一切ないから不思議。それどころか、鑑賞後には“なんだかんだ、家族っていいよね”と心がほっこり温まるというのが、今作の醍醐味といえるだろう。

 岸辺家で巻き起こるのは、他人だったら許せないことばかり。でも、家族だからこそ許され、時には笑い話になる。そんな究極の家族愛を描くのが、令和のホームコメディ『俺の話は長い』なのだ。

 ドラマは30分×2本立てというアニメのような新機軸で放送され、とにかくスピーディーに進んでいく。いよいよ今夜22時。悔しいけれどクセになる、新感覚エンターテインメントショーの幕が開く。

(nakamura omame)

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