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ろりえ『いけない先生』

19/12/20(金)

「ろりえ」主宰であり、脚本・演出を担う奥山雄太さんと初めて会ったのは、2007年秋、三鷹に招聘した「smartball」という劇団の演出助手を務めていた時であった。もうかなり記憶が定かではないが、その時から彼は、常に<だぶだぶの服装>を着こなし、ファッションに全く興味の無い私は、それが流行なのかアイデンティティなのかもわからず、ただただ「楽そうだなあ」と思いながら見つめていた。特に下半身の<だぶだぶさ加減>は尋常ではなく、股下が地面に擦れんばかりの状態にまでだぶついている、スエットのような柔らかそうな生地のものを履いて歩いていた。その彼から「来年、旗揚げ公演を予定しているんです」と告げられて観に行った舞台が、「ろりえ」第1回公演『ヤクザとアリス』(2008年4月/早稲田どらま館)であった。セリフに光るものがあり、鋭利な小刀でスパッと切られるような切れ味のある言葉に吸い込まれていく瞬間があって、湧き上がるアイデアを舞台上に叩きつける破壊力と、時に少しスカした感じで放り込んでくる笑いの角度がセンスに満ちていた。惜しむらくは演出の部分で、やりたいことを叩きつけた後に、その舞台をシャープに観客に届けるための『編集』の力が備わっておらず、良いシーンと良いシーンの間に冗長なシーンが繋がれ、スムーズに走れれば快適なはずの高速道路で、何度も何度もブレーキを踏み、ノッキングをしているような残念さがあった。 その「ろりえ」の最新作は、劇団初の学園物。『いけない先生』。 <<<>>> 中間テストが目前に迫ったある日。 女生徒たちは試験問題を盗むため、真夜中の職員室に忍び込んだ。 しかし、学内最強の女教師軍団がこれを迎え撃ち、計画は失敗に終わる。 ……はずだった。 主犯格の女生徒がやけっぱちで盗んだ書類の中から、セクシー映画のシナリオが見つかる。 いけないんだ、いけないんだ。 先生に言ってやろ。 <<<>>> チラシの裏面に書かれたコピー文からは、旗揚げの頃からいささかも衰えぬ、湧き上がるアイデアに外連味をまぶしたかのような、「ろりえ」の真骨頂とも呼べる舞台への期待が膨らむ。あの頃、だぶだぶの服装を身にまとっていたのは、自らの心を縛り付けない、自由で、だぶだぶなまでに余裕の有る心持ちを創作の軸として求めていたからに思えてならない、奥山雄太率いる「ろりえ」の舞台。 旗揚げから10年以上の時を経た、劇団の今を、見つめたい。

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